起業家よ、資本市場でのマーケット感覚を持て

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今日は婚活市場ではなく資本市場での話。

本誌読者でも数は少ないであろうが、投資家の皆さんに関してはスタートアップ企業のバリュエーションがここ1-2年で無駄に高騰しているのは日々の業務の肌感覚でお持ちだと思う。僕も投資やM&Aの仕事をしていて「この事業で○○億?ちょ、ちょ、ちょっと待って起業家さん?」というシーンに遭遇することもあり、起業家の目線を下げるプロセスを経ることもある。

起業家と投資家でバリュエーションを巡る攻防はいつの時代もあるだろう。

構造的にマーケット感覚があるのは投資家の方だ。複数の案件に投資しているし、日頃投資検討もしている。そういった中で、その事業の市場性や成長性、IPO市場やM&Aでの出口の需要などを模索する。

起業家が提示してくるバリュエーションにほぼ根拠はない。未上場株市場は相対取引市場であるため、発行体と引受側が「YES!」といえば成立する。たいていは「競合の企業のバリュエーションが50億だからうちは60億!」「友達のあの起業家のサービスのアプリDL数が100万で30億。うちも100万DLだ!30億!」といったノリな世界です。ガチです。

capital-market昨今は事業会社中心に投資家が増えたりIPO市場の活況で金融系VCも緩くなってきて、投資側のプレイヤーが増えています。スタートアップ側には選択肢が増え、VC側はセカンドティア以下は競争力がないため、多少高いバリュエーションでも案件を取りにいかないと、投資実行に繋がりません。ゆえにやや不当に高いハイバリュエーションでも投資するVCが全くいないわけではない。

しかし実力に見合わないバリュエーションでスタートアップが投資を受けるとどうなるか。次の資本政策が厳しくなる、M&Aでの出口可能性が大きく狭まる。未上場時に100億前後付けても数字が見合わないと上場時で100億割る可能性も出てくる。

起業家の世界では仲間内でバリュエーションで張り合っている側面があることは必ずしも否定できない。事業数値などで切磋琢磨するのは結構だと思うが、バリュエーションで切磋琢磨しても自らの首を苦しめるだけだと思う。

大抵の起業家が自らの事業価値よりだいぶ盛ったバリュエーションを提案してくる。本当にその事業にそんなに価値があるのか。思い込みの力が強いのも結構だが、競合や友人起業家のバリュエーションを参考にするのではなく、投資家にこの事業のバリュエーションはいくらくらいが妥当だと思うかをもっと聞いて回ると良いだろう。

投資家としては低いバリュエーションで投資し、極力IRRを高めたい目論見はある。そのラウンドでは投資検討はしない知り合いの投資家などに世間話がてら聞いてみるのもアリではなかろうか。

僕はメディアとしての情報も投資のソーシングとしての情報もあるので、それなりの未上場株マーケットの肌感覚はあるつもりだ。投資検討には繋がらない案件でもあっても、バリュエーションの相談などがもしあれば気軽にしてほしい。

シリーズAで実力に見合わないバリュエーションを付けると、後半のラウンドで価値が上がらずに非常に渋い出口となる事例があることを本誌読者のみなさまには覚えておいていただきたい。

ちなみにどんなに頭が良い起業家でも、マーケット感覚が投資家側とかなりズレている人は少なくない。

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