スマホ時代のコマースの価値軸は即時配達にあり？

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フラッシュセール、セレンディピティ、バーティカル、C2C、C2B2Cなどコマースの新潮流は毎年のように出てくる。流行って廃れるものもあれば、定着するものもあるだろう。「割引」「商材」「商品との出会い方」「リセール」が今まで出てきた価値軸だが、スマホ時代においてはこれに加えて「配達スピード」が価値になるのではないかと。

海外ではInstacart（インスタカート）のような生鮮食品の即時配達が話題になっており、同社は2014年11月に約2,000億の時価総額で100億円を調達している。生鮮食品の即時配達はAmazonもAmazon Freshで既に参入しているが、インスタカートはクラウドソーシングモデルで、注文が入れば登録している主婦とかがスーパーに行って1時間から3時間の間に買い物してきてモノを届けてくれる。

実際の主婦の声としては、料理中にたとえば調味料が足りないことに気づく。買いに行くのは手間がかかるし、料理を中断するわけにもいかない。そんな時に使うと便利。働く女性にとっては普段スーパーが開いている時間に買い物に行けないこともあり、そういった場合に機能する。

生鮮食品コマースといえば国内ならオイシックスがあるが、在庫を内製している同社の商品が1時間後に届くということはない。北海道の農家の梅木さんの家のじゃがいもじゃなくても、近所の東急ストアのじゃがいもでいいから1時間で届けてほしい。そんな需要は確実に存在する。配達速度が速いということは十分価値になるのだ。これを他の商材などと照らし合わせてマッピングするとこうなるだろう。

インスタカートとオイシックスが同じ生鮮商品として比べやすいが、国内の他サービスに目を向けるとbento.jpは20分以内で来るし、一方の海外から買い付ける輸入コマースのBUYMAは注文から到着まで1週間かかるが、国内で買えない商品であれば1週間待ってでも買う価値があると考えるユーザーもいる。

商材ごとにユーザーが求める配達スピードは異なるであろうが、基本的には早いに越したことはない。筆者はAmazonで本を買う時すら、翌日に配送されてないとイライラしてしまうし、Kindleであるならば必ずKindleで買う。
Fast is Goodなのは間違いないと思う。特にスマホ時代においては、即時的な欲求が高まるシーンが増えるであろう。

しかし、IVSのメルカリ進太郎さんとYahoo!小澤さんのセッションでは、米国では「コズモ」というファストデリバリーが2001年頃できて、70億突っ込んで華々しく死んだという話もある。これは時期が早すぎたのと、コスト構造に欠陥があった（配送コストが高く付くために内製するとコスト高になる）のではないだろうか。

あくまで現状のモデルでの話ではあるが、コズモとbento.jpのモデルが類似しており、一方でインスタカートはクラウドソーシングモデルのため、買い物してくる人を内製で抱えてはおらず、変動費化している。

クラウドソーシングモデルのリスクとしては、注文に対して誰もやってくれる人がいないというリスクがあり、コマースながらに確実性に欠ける。通常のクラウドソーシングサービスでは「アプリ開発募集」という募集をかけても、実際にエンジニアを獲得できないこともあるので良いが、コマースという観点で見ると、お使いを頼みたいけど誰も買ってきてくれなかった。というのは著しくユーザー体験が悪く、一度そういった体験をしてしまうとリピート率に確実に影響するだろう。

ゆえに一部内製＋クラウドソーシングが一番ワークするように思える。（発注に対して配達してくれる人が5分以内に誰も表れない場合は、内製で対応するなど。これが実際のクラウドソーシングビジネスの立ち上げの定石ともいえると思いますが）。

需要は今後明らかに顕在化してくるファストデリバリー（オンデマンドコマース）。インスタカートに2,000億円の時価総額が付いているとは予想以上でした。国内ではLINEも参入しており、一見スタートアップであるbento.jpは涙目に見えるのですが、勝ち目はあるのかLINEは案外新規サービスを立ち上げるのが下手に見えるので（LINE MALLとか上手くいっている印象ないし）LINEがやっていてもやり方によっては勝てるんじゃないでしょうか。他にもプレイヤーは出てくるのか。2015年の秘かな注目市場になるかもしれません。

参考記事
The Startup：2分で届く！bento.jpが実現するアスクルではなくイマクルの世界
ネットコンシェルジュブログ：AmazonのサービスでAmazonを超えてみせた食料品販売ECサイト「Instacart」