THE BRIDGEのような「メディアの民主化」の逝く末

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スタートアップ業界で今一番人気があるのはTHE BRIDGEであろう。Tech Crunchも全然面白くない中、メディアとしていろいろと試行錯誤しているのを見ると参考になる。The Startupは網羅的なメディアではないので、THE BRIDGEを参照する機会は多いし、現に助かっている。

しかし、一言もの申したいのはスタートアップスコアリング機能だ。

スコアリング機能とは、twitter、Facebook、Google＋、はてぶ、ポケットのバズ数の総合点のことを指すようだ。この数字が高ければ高いほど、人気があるスタートアップであり、「客観的な評価」として良いとTHE BRIDGEの中の人は考えているらしい。というのをどこかで見かけた。

この「スコアの高いスタートアップがイケてる」的な風潮はいかがなものかと思う。例えば、Classというサービスを例に挙げよう。人気記事があり、結果的にスコアリングも高い。7,000ちょいだ。しかし、リリース3ヶ月で終了という記事がつい最近出た。

The Startupではアプリを触った結果、Classは微妙なサービスで流行らないと判断し、記事で紹介することは避けた。タイムリーだった例を述べただけだが、バズった企業だからといっていいサービスとは限らない。若干の相関関係はあるのかもしれないけど、スコアリングが高いスタートアップがイケてるんだという空気感を作るのは、はっきりいって微妙だと思った。

THE BRIDGEのメディア思想をメタ化すると、スタートアップを応援したいという価値観があり、人気投票的なスコアリングで企業をレーティングする。ある種読者側の意向が反映される民主的なメディアである。清き「いいね！」がスコアリングに反映されるという観点では、CGMともいえる。そういうアプローチは新しくもあり、面白い視点だとは思う。

しかし、メディアは編集長の独断と偏見に依存する性質が強いからこそ面白いと僕は思う。民主的な人気などどうでも良くて、ある程度バズったサービスでもClassのように転けることなどザラにある。むしろ、民主的な仕組みを入れてしまうと、バズったサービスがエラいみたいな風潮になり、中身もないのに話題先行型のサービスがもてはやされ、よろしくないんじゃないかと思う。一方で、こうした読者参加型メディアはPVを集めやすいとは思う。

The Startupではこうした民主的な意見はどうでもいいと考えている。僕の意見が全てだ。まずは黙って俺の話を聞け。これがThe Startupのスタンスだ。雑誌の編集長とかに接しても見ても、そういった良い意味での独断性があり、そのエッジが読者を惹き付けていると僕は感じている。その編集長の世界観を味わいたい読者だけがそのメディアを読めばいい。民衆に迎合する必要はないし、マスに迎合すればするほど無難な記事になっていく。

The Startupで紹介したサービスは伸びる。読者にそういう期待を持ってもらえるように、僕も取り上げるサービスは厳選する。独断と偏見で当てにいくというのが僕のスタンスであり、そのリスクは一手に引き受ける。どうでもいいゴミ（だと思った）サービスの紹介しない。

最後に言っておくが、THE BRIDGEを全面的に批判しているわけではない。あいつらはThe Startupを嫌いそうだけど。むしろ様々な新規的な取り組みはTech Crunchなんかよりよほど面白いと思っている。しかし、このスコアリングというのは如何なものか。このアプローチは「メディアの民主化」を意味する。そういうメディアもあっていいんだろうけど、僕の持論としてはメディアは独断と偏見の方が良いし面白いと思っている。その論点で一石を投じたく、記事化してみたまでだ。

民主化したメディアと独断偏見メディア。それぞれについてどう思いますか？どっちもアリだよねという平凡な意見ではなく、ぜひ突っ込んだ鋭いコメントをNewsPicksユーザーの皆さんにお願いできればと思います。

まあ、記事に対するコメントの付加価値を上げるのもメディアの民主化の一つと言えるんだけどね。