合コン市場の考察とオペレーション改善提言:リワード広告によるAクラスマッチの可能性も

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スクリーンショット 2013-07-08 11.14.39街コンや料理合コンという明らかにスタートアップとは関係ない記事が10%くらい含まれる本誌だが、その関係ない記事たちが実は人気である。今回は合コンという極めて非効率な市場について、実地調査を元にした現状と改善案を提言する。詳細な個別レポートに関しては別のところで発表済みだが、公にはできない。あくまで客観的な視点で本稿を発表する。

The Startup的な合コン用語解説

まずは本稿をお楽しみいただくために、用語解説から。サッカー、ベンチャーファイナンスなどに喩えた用語が多かったため、誰にでもわかるように共有したい。

■1:女性のファイナンスステージ

・シード:女子大生
・アーリー:社会人1-2年目
・ミドル:社会人3-5年目
・レイター(プレIPO):社会人6年目以降
*ベンチャーファイナンス用語を元に算出、IPO=結婚

一般的にステージが上がるに連れて難易度もあがるが、レイターステージ銘柄は30歳を超えると一気にValuationが下がるケースも散見される。

■2:Valuation(バリュエーション):女性の時価総額

女性を口説くために掛かりそうな心理的および金銭的コスト。攻略難易度とも言い換えられる。難易度が高い場合は「Valuationが高い」という。

算定式①(付き合うまで。をゴールと仮定した場合)
Valuation=女性自身の魅力×競合者数
女性自身の魅力=ルックス×性格×経験値

算定式②(結婚=生涯一緒にいる。をゴールと仮定した場合)
Valuation=女性に掛かるであろう年間コスト×約30年
*美人の場合、ルックスの維持費。ワガママな場合は外食費が高騰する傾向にあるため、年間コストは数百万円単位のボラティリティあり

女性自身の実力以上に攻略難易度が高いと感じる場合、「不当に高いValuation」という表現を用いる。競合者数の多さにより、Valuationが高騰するケースが見られる。(類似語:不良債権)良い投資家は女性の実力に対してValuationが低いと思われる「バリュー銘柄」への投資を好む傾向にある。Valuationが高いことは決して悪いことではなく、高い銘柄を攻略できた際には男性に対してそれ相応の心理的リターンをもたらし得る。

■3:合コンの試合の名称

ルックスやコミュニケーション力など、相手の総合的なレベルに応じてサッカーで喩えられる。

フレンドリーマッチ:合コンっぽくないカジュアルな試合
アジアカップ:イマイチな相手(B-Cランク)
北中米カリブ海予選:悪くはない相手(B-B+ランク)
国際Aマッチ:レベルが高い相手(Aランク)注:外人相手ではない
キリンチャレンジカップ:レベルが更に高いSランクの相手に挑む試合
CA女子カップ:安定的なクオリティが見込める良質な試合。国際Aマッチかキリンチャレンジカップ相当。

アジアカップになった場合は消化試合といえる。お前は自分を何ランクだと思っているんだというツッコミは、いつも通り受け付けない。あくまで客観的に解説する。

■4:デューデリジェンス(精査。略称:デューデリ/DD)

相手の様々なスペックや、コミュニケーションを鑑みて、自分の好みと合っているのかを精査すること。近年はFacebookの浸透により、試合前のデューデリジェンスが捗る社会環境にある。女性の場合は男性の職業から年収や資産などのPLとBSを無意識的にデューデリしていることもある。

参加目的と合コン市場のブラックボックス性

まず各プレイヤーの参加目的を整理する。

・その場を楽しめれば良い(あわよくばいい人がいるといい)
・(自分がホストの場合)招待した相手との時間を楽しみたい
・ガチで出会いを求めているので、次のラウンド(1on1)に繋げたい

女性チームは「合コン」というストレートな言葉を好まないケースが多く、「飲み会」「お食事会」というファジーな表現が使われる。ファジーな表現の方が、試合をセッティングできる難易度が下がるため、市場ではよく使われる表現。ちなみに、男性の場合は招集されて参加した場合に知らない方と出会うことが多く、そこでの出会いの方が女性との出会いより有益であることが多い。

次は合コン市場のブラックボックス性についての考察。

基本的にスターティングメンバーは当日ピッチに入るまで開示されないことが多い。たとえ幹事同士であったとしても、「幹事MAXの法則」により、行ってみたらアジアカップだった。というリスクは否めない。スターティングメンバーが事前に分からないと対策も立てられず、機械損失に繋がることもある。アジアカップだった場合に前半30分で自主的に退場した損切りの早い個人投資家がいたが、この手のリスクは軽減したい。

効率の良い合コンとは、2-3時間という試合の中で、質の高いコミュニケーションを通じて次のラウンドへの進出確率を高めることを指すといえよう。

試合の質を上げる効果的なQ&Aセッション

合コン時のコミュニケーションの質を上げるために質問力と回答力がポイントだ。これは就職活動の面接とさほど変わらない。いかに印象的な質問をして相手から有益な回答を引き出し、相手の質問に対して刺さる回答ができるか。下記によくあるQ&Aとその対策や効用を述べる。

■1:自己紹介は失点しないことが最重要

実は僕にとっては一番難しいといっても過言ではない自己紹介。うっかり、フリーターですなどというとこんな目に遭ってしまう。PRが過剰すぎるのもNGだが、未だに僕は「起業家です(`・ω・´)キリッ」ができない。最低限相手に覚えてもらえる程度の、失点しない自己紹介で留めておけば良いであろう。喋りすぎはよろしくないので、不必要に喋りすぎないことも大事だ。

■2:好みのタイプを正直に話す必要はない

就職活動でいう「あなたのビジョンは?」的な質問と同様、仮にフレンドリーマッチであったとしても100発100中ある質問。対戦相手に言われてハッとしたのが、必ずしも正直に話す必要はない。模範解答は相手が4人だったとして、その半分に合致しそうなことをいう。そうすることで相手が少し気になってくるという心理に持ち込む。マナーとしてもその場に該当する人がいなそうなタイプは言わない方がいいだろう。例:慶應経済の子がタイプ。

■3:グータンヌーボゲームで錯覚させる

これはアジアカップで中東の笛に苦しんだ後のロッカールームで教えてもらい覚えたのだが、相手チームをABCとラベリングしてこの中で「恋人」「結婚相手」「友達」なら誰を選ぶ?というゲーム。グータンヌーボであったらしいので、The Startup界隈では「グータンヌーボゲーム」と称される。

合コンの目的を次の1on1ラウンドへの進出と仮定した場合、この中で選ぶなら誰だと思考して軽くシュミレーションさせることで、いざ誘われた際の承認率が向上するのではないかと思われる。

この手のコミュニケーションにより自分の中で相手のアリなしを判断し、相手にもある程度の情報を与えた上で、アリなしを見極めてもらう。2-3hの試合でかつ参加人数も多いと相互受信できる情報は限られている。就職活動時のグループディスカッション同様、戦略的な受け答えが要求される。よくある「気が利くかどうか」などはあくまで+αでの加点程度であり、キラーコンテンツとはならないと思われる。

経営者合コンとサラリーマン合コンの差異

従業員がいないとはいえ、経営者の端くれである私は、男性チームが経営者のみで構成された場合とサラリーマンとの混戦チームで臨んだ試合を通して、両者の特徴の違いを見出すことができた。

■職業的な特徴の違い

経営者:点を取ってナンボであるため、とにかく攻める
会社員:減点主義であることが多いため、不用意に攻めない

■試合中の動きの違い

経営者:前半から下ネタなどを投下して飛ばしてくる。必ず1点(1人)は決めるという強い気概が感じられる。FW的な動きが多い。チームワークなど関係ないワントップタイプ。
会社員:無難な会話に終始する。ボランチ的な動きが多い。チームワークを重視し、男性同士でのパス交換やポジションチェンジを好む

■試合会場(スタジアム)

経営者:会員制個室BARラウンジなど
会社員:雰囲気だけそれっぽいが味がチェーン系な店

■コスト感覚

経営者:男性陣による全額驕りが基本。1次会でも最低1.5万円前後
会社員:女性陣から3,000円程度回収することも。1次会は最大1万円

よって経営者の方が決定力が高いという相関が見られた。経営者はアジアカップでもValuationが高そうでも特に気にせず、とにかく攻める。個人的には単純に美味しいものを食べる「グルメカップ」のニーズがあるのだが、グルメカップはコストが高騰する上に「美味いものは求めていない」という男性がほとんどであることが判明した。

これは喩えではなくマジな話で、投資家はデューデリジェンスの一環として起業家と合コンに行ってみるのはアリだと思う。営業力を中心としたエグゼキューション力や、諦めない力を見極めることができるだろう。

オペレーションエクセレンスな合コンとは?

上記を踏まえた上でオペレーションを改善を提言するとこうなる。

■1:Facebookイベントによる「オンラインマッチ」を前哨戦とする

事前にスターティングメンバーが開示されない「ブラックボックス」を解消する手立てとして、非公開FBイベントで参加者を募る。これはただの試合ではなく、「ぶどう狩り」のようなイベント性が強い場合は自然な流れである。オンラインマッチでのFBデューデリジェンスで好みがいなそうな場合は、オフラインマッチを辞退するなどのリスクヘッジもできる。

■2:スタジアム(店)選定も重要

試合に適切なピッチを用意する必要がある。照明の程よい暗さや、カラオケなどのレクリエーションの有無でも試合展開は変わってくる。自軍の得意パターンに沿ったスタジアム選定が重要だ。パスサッカーと一発カウンター狙いでは選定するスタジアムは異なる。延長戦(二次会)へ適した店へのスムーズな移行も必要であり、オプションを事前に用意するのがベターだ。

■3:Q&Aセッションの流れを洗練化させる

上記のQ&Aセッションの流れを洗練したり、新たに使えそうなネタを仕込むなどが必要だ。仮に相手の動きが堅い場合には、どういったコミュニケーションで崩しにかかるか。古畑任三郎のモノマネなど、思わぬ突破口が見つかる場合もあるため、多様な相手に対して多様な攻め方ができるよう、芸や自軍でのコンビネーションを磨いておくべきだ。

最後に:Omiaiでよくね?という想定ツッコミへの反論

「オンラインマッチの是非」に関しては周囲では意見が別れた。事前に分かるとつまらない。当日のセレンディピティに期待したいという声も一定以上あった。オンラインマッチなら「Omiai」でいいじゃないかという声も聞くが、それには一つ反論しておきたい。

まず各種合コンには国際Aマッチ的な試合のポテンシャルも十分にあり得る。Aクラス幹事を抑えれば、「Aクラスの友達はAクラス」という仮説の元、幹事MAXマインドでなければ、国際Aマッチを戦うことも夢ではない。Aクラスが「Omiai」に出てくるだろうか?完全に出てこないとは言えないが、戦い方によってはAクラスのチャネルを確保することが可能なのが合コン市場である。Aクラスへのヒット率を向上させるために合コンは有用なチャネルであるといえる。また、男性同士の出会いの有益性も見逃せない。

この点はBクラスの争奪戦となる街コンとは大きな違いであり、賢明な読者はAクラスの幹事をリワード広告で抑えて、国際Aマッチ開催を目指すべきである。決して街コンの餌食になってはならない。合コンは幹事同士が何かしらの知り合いであることが多いため、その安心感もある。

ただし、彼氏持ちでない選手で揃えた国際Aマッチはなかなかなく、RTB(リアルタイムに恋人が欲しい人同士のマッチング)とはいかないため、国際Aマッチは中長期的な目線で臨む必要がある。

■用語解説5:リワード広告

Aクラスに美味しい食事をご馳走したり「Sクラス男子連れてくる」というコミットをすることで、国際Aマッチ開催へのインセンティブを与えること。

以上、5,000字近いレポートとなった。以上を踏まえて、合コン市場の勝利の方程式を考える(しかし、私は決して勝利してはいない)

■勝利の方程式

1:自分とマッチしそうな相手群をターゲティングすること
2:ターゲット群がAクラス周辺である場合は、(男性の場合は)リワード広告による国際Aマッチを目指すこと
3:ゲームも含めた上での冷静な試合運びで、自分の特徴をある程度適切に伝えること
4:アジアカップを避けるために、オンラインマッチやAクラス幹事への全幅の信頼などでリスクヘッジをすること

本稿を持ってして、合コンという非効率な市場の改善の一翼を担えれば幸いである。*クラス分けの是非に関する不毛なコメントはご遠慮下さい。綺麗ごとは聞きたくありません。

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