名前は聞いていたけど、今まで真面目に見たことがなかったOmiai。調子が良いらしいというのは噂で聞いており、Omiaiを運営するネットマーケティング社は2012年11月にリクルートインキュベーションパートナーズ(以下RIP)から1億円の投資を受けている。RIPの億単位の案件は久々に見かけた気がします。サービス詳細:IVS Launched Pad動画(リンク )IVSの動画によると、2012年11月の事業数値は下記。
マッチング件数:15万件
月商:3,000万円(月額2,980円で男性のみ課金)
課金会員数:1万人(月商から逆算で算出)
会員数:10万人以上(リスティング広告の説明文から推測)
気になったのでサービスを隈なく見てみました。課金はしていませんが。Omiaiが流行っていると思われる理由を考えてみます。
女性登録者のクオリティが高い?美人が多い?
Facebook連動のアプリであり、Facebookのプロフィール画像が使用されています(名前は匿名)。男性で無料ユーザーの場合(私の閲覧環境)は女性のプロフィールが約1万名閲覧できるようです。閲覧してるとけっこう女性の画像のクオリティが高いように思えるのです。
一般的にそれなり以上に美人な女性はなぜか自分のFacebookプロフィール写真を「あれは詐欺写だから」と謙遜しているように見せて、自信満々のプロフィール画像を投下してくるという調査結果がThe Startup調べで判明しております。明らかな美人の場合は実態との乖離があまりないので問題ないですが、「美人っぽい」場合には注意が必要です。実際に詐欺写である確率は高く、期待値を上げておくと男性は痛い目に遭います。
Omiaiも当然玉石混合なわけですが、男性が課金するというビジネスモデル上、質の高そうな女性(美人)ユーザーの数がセンターピンといえます。「こんな美人と出会えるかも」というドキドキ感が、男性の課金ハードルをグッと下げるのです。Facebookフレンドは検索対象外にしているなど、セキュリティ面は他のサービスも当然同じことをやってくるので差別化にはなりません。美人女性登録者数。これが最大の競争優位性です。
初期の女性ユーザーをどう獲得したのか実際のところは知りませんが、私のFB広告でもよく見かけたくらいなので、特に20代の交際ステータスが独身の女性にはかなり広告費を投下したのではないでしょうか。人づての人海戦術もあったでしょうが。2012年12月には婚活本もリリースしたようで、これでさらにレバレッジが掛かるでしょう。後は地道なSEOを結構頑張っていたように思えました。この記事を書く際にリサーチしていてけっこうその手の記事が多そうだと見ていて思いました。
美人が多そうに見えるファーストビューが課金の罠に
実際には条件を色々当てはめて検索できるわけですが、最初から好みをピンポイントで入力して検索するユーザーが多いとは思えません。よって、UX上は条件入力前のファーストビューの印象が非常に大切に思えます。(というかトップページが異性の検索結果一覧ページですね)
筆者の目視では、このファーストビューで上位表示される女性の美人率が高いと思われ、おそらくサイト内での「いいね!」数などによるロジックが働いており、美人が上位表示されやすいアルゴリズムになっていると思われます。「いいね!」される女性ユーザーはアクティブ率も高いと思われ、プロフィールもしっかりしています。そうしたユーザーのプロフィールを何人か閲覧した男性は「こんな美人とひょっとしたら出会えるかもしれない…」と夢を見て課金してしまうというUXループといえます。
同様の婚活マッチングサービスも多数ありますが、どれだけ魅力的な女性登録者がいるのか可視化されておらず、男性がイマイチ課金する気になれないケースは多いと思われます。マッチアラームなどは従量課金制を採用しており、これはこれでアリだと思いますが。
「美人ユーザー数」×「それが一目で分かるUI(トップページ)」
これがOmiaiがブレイクしたポイントだと思います。 「それが一目で分かるUI」は諸刃の剣で、実際に美人ユーザーが多くないと逆にボロが出る。結局上記の通り「美人女性ユーザー数」がセンターピンといえます。しかしそれなりに美人ユーザー数がいても、男性が課金したいとムラムラするUXがないとダメで、それが「美人率の高さが一目で分かるUI」であり、掛け算として外せまず、このUIが勝因といえます。
今はそれなりの女性登録数になってきているため、「いいね!」ロジックと思われるロジックでますますファーストビューに登場する美人率が上がってきえおり、男性ユーザーのトップページの滞在時間は伸びていると思われます。
注:検索結果のロジックは「いいね!」数だけではないと思われるが、 美人が出やすいロジックになっているであろうという仮説を筆者は持つ。
20代の美人は時価総額が高いという前提条件を忘れるな
Omiaiの事業構造上のカラクリは上記に分析しましたが、前提となる男性心理を考えます。The Startup恋愛投資戦略室では、最近下記の方程式を開発しました。
女性の価値=体験の質×需給関係
・体験の質:簡略すると今までいかにチヤホヤされてきたか。良いレストラン、良いプレゼント。どれだけ男が自分を愛してくれたか。これは美人であるか否かと相関性が高いと思われる。
・需給関係:その女性を狙う男性の数(多い方が価値は上がる)
よって美人≒良い体験をしており、需給関係も定常的に競合多数の状況であるといえる。そのような女性の時価総額は高く、そのような女性を狙う男性は構造上不利であると言わざるを得ない。ただ、需給関係は明確に年齢と比例関係にあり、30歳を過ぎると美人でもマーケットが落ち着いてくるので、思わぬ安値で買収できることもあり、30代に焦点を絞ってOmiaiを活用するという戦略は有用なオプションといえる。逆にマーケットからの引きが強い20代女性は割高になりやすいと言わざるを得ない。しかし、そんな割高な案件に投資したいと思ってしまうのが男心である。
この法則をOmiaiに当てはめると、ファーストビューに登場する女性たちはマーケットからの引きが強い確率が高く、時価総額が不当に釣り上がっている状況にあると思われ、簡単に出会うことはできないであろう。極めて割高な状況になっている女性に夢を見て、アホな男性はメールを送り、課金し続けることになる。
Omiaiは「許容出会いCPA」を決めて取り組むべし
しかし、Omiaiにトライすることを筆者は否定しない。周りを見ても出会いがない同年代は多いし、市場価値が高いと思われるあのCA女子にすら彼氏がいないという状況は珍しくない。だが月額2,980円を支払い、1人に実際に会うまでのCPAの許容範囲を決めておかなければ、Omiaiの収益とPVに貢献する格好の餌食となるだけである。Omiai以外のチャネルとの出会いまでのCPAを比較しておくべきであろう。マルチプルとして合コンで一回あたり4人に出会い、合コン費用が1回1万円と仮定すると、CPAは2,500円となる。マルチプルで考えるには妥当な金額であろう。
事業者の観点で見ると、確率は低くとも(腕次第ではあるのですが)男性に夢を与え、月額課金で回収するというモデルはエクセレントである。婚活市場はそれなりに大きいと思われるので、有料会員がまだまだスケールする可能性は高く、良いモデルだと思います。実際に出会いがなくて困っている人は男女共に多い。腕次第ではあるが、ユーザーにとってはロマンが実現する可能性を秘めたサービスである。
出会いがないと嘆く男女は甘いと思います。Omiaiのような最新のテクノロジーやオフラインでの出会いの回数を増やし、出会いの流動性を高めるべきでしょう。そして相手の条件などを見て足切り方式ではなく、惚れ力を高めることが重要です。奥田女帝の主催のセミナーで「惚れ力が大事」という話(参考リンク)を聞き、感銘を受けたことを覚えています。惚れ力はとても大切だと思います。私も自身の惚れ力を信じ、相手の心を動かしたいと思います。
ちなみに順調な恋愛をされている方は、実家帰りを経て1月に結婚について本格的に考える気運が高まるようですね。そういう方はみんなのウェディングとかで幸せに式場探しでもされると良いかと思いますよー。
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