師走に向けてIPOラッシュですね。各ブロガーたちの記事とどう差別化するか悩ましいところです。発表当日に予定が詰まっていた日には完全に乗り遅れる。本日10月23日に上場承認が降りたアライドアーキテクツについて調べましょう。ヴェンチャーユナイテッド丸山先生によると公募時の時価総額推定は59億円です。ソーシャルメディアマーケティング事業である「モニプラ」事業が中心です。売上と営業利益の推移は下記。
モニプラはファン数を「買う」のに良いツール?
モニプラってざっくりいうとブログやFacebookを活用したキャンペーンプラットフォームサイトです。
モニプラはブログに投稿したら試供品がもらえるというものから、Facebook上のキャンペーンに参加して(キャンペーン開催中の企業のFBページに『いいね』することが参加条件)景品をもらうなど複数のパターンがあります。売上を見るとFacebook関連の方が伸びているようです。収益はモニプラのツールをASPで企業に販売してシステム利用料をいただく感じ。
ソーシャルメディアマーケティングと聞いても今はなんとも珍しくなくなり、Facebookページのファン数がその企業の人気の指標と見られがちですが、こうしたキャンペーンの参加条件にすることなどである意味ファン数を「買っている」と見ることができます。
そのFBページがオーガニックにファンを伸ばしたのか、こういったキャンペーンなども含めて買ってきたファンなのかは、投稿に対する「いいね!」CTRを算出すればわかります。1万人以上を超えてくるとCTRが下がるのは致し方ないですが、比較的人気のあるところでCTR1%前後のようです。ゆえに1万人のファン数であれば「100いいね!」で上出来。定常的に「10いいね!」程度だと、投稿内容に魅力もなく、買ってきたファンがほとんどなのでは?と思われます。
モニプラを利用しているかはわかりませんが、はっきり言って、Grouponなどは確実にFacebookのファンを買っていると思われます。
ファン数が78,000人に対して「いいね!」数が64人です。これはCTRにして0.1%。0.1%はけっこう低い部類に入ると思います。
モニプラの場合は単にファンを買うだけでなく、キャンペーンでユーザーの興味を惹くと点もあるため、単にファンを売るサービスよりはまともでしょう。しかし、そうして獲得したユーザーは純粋にそのFacebookページのブランドに興味がある比率はオーガニックよりは低い。一種のアフィリエイトのようなものです。
ユーザーの可処分時間は限られており、情報は既に供給過多
このような構造にあるモニプラ事業。ソーシャルメディアマーケティング事業は今後伸びる市場なのでしょうか?下記2点で私は厳しい市場だなと感じています。
■1:ユーザーの可処分時間は限られている
1年前に比べてもFacebook上に流れるコンテンツ量が増えていることは読者の皆さんも肌で実感しているでしょう。コンテンツ量が増えてもコンテンツを咀嚼できる時間は限られており(スマホ普及で時間は微増しますが2倍にまではならないでしょう)、コンテンツ量が増えれば増えるほど企業はそのアテンション競争に巻き込まれてユーザーにリーチできなくなっていく構造です。
同様にブログ書いて試供品をもらうモニプラの方も、ブログ執筆者自体は増えていくのでしょうが(コンテンツ自体は増えていく)ユーザーが読める分量は大きく伸びません。需要に対して供給が既に過多になっていると思われる市場だと私は感じます。
■2:競争により価格が高騰すると効果と見合わない
しかも、ソーシャルメディアマーケティングは効果検証が従来のSEOやリスティングよりしにくく、競争により価格が高騰すると価格と効果が見合わないということが往々にしてあると思われます。キャンペーンに参加したりサンプル品をもらいたいような、はっきり言ってヒマ人なユーザー層も限られていますし、ユーザー数のアップサイドは遠くないと思われます。
オフラインではオレンジページにあるクロスワードパズルの正解で当たる景品に応募しよう的なものと変わりません。市場が全くない訳ではないですが、社会的に不可欠で大きくスケールしそうなサービスとは言い切れない。
モニプラの顧客資産を活かしたオウンドメディアが成長の鍵
アライド自体はモニプラ事業の限界に気づいているのか、オウンドメディア事業であるSocial-INというのを仕込んでいます。インフォバーンもいる市場とはいえ、まだ完全なる勝ち組がいないオウンドメディア市場においてどう事業展開していくのか。内容の詳細はよくわかりますが、オウンドメディア事業の展開に関してはアライドはモニプラのクライアントからのアップセルが見込めるという点が強みといえそうです。
モニプラ事業のみでは限界が早々に見えそうなため、業績がそこまで伸びず、株価もあまり伸びないんじゃないかと。オウンドメディアの波に乗ってどこまで数字を伸ばせるかが上場後の成長戦略の肝な気もします。私に声を掛けていただいてもいいんですがと軽くPRしておきますが、実は私が新卒1年目の頃に中途採用で面接受けたらあっさり落とされたという思い出がありますねw
ということでアライドアーキテクツは買い推奨はできませんね。時価総額も公募から2倍近く付いても、100億円超えるのはちょっと難しいかも。株価が落ちていって、オウンドメディア事業のブレイクの兆しが見えたら買い。というシナリオでしょうか。
最後に同じくソーシャルメディアマーケティング事業を中心に展開するトレンダーズの上場後ほぼほぼ右肩下がりの株価推移をお届けしてお別れしましょう。ソーシャルメディアマーケティング事業のみだとトレンダーズをマルチプルに置かれてこうなる運命と思われます。トレンダーズの時価総額は約46億円です。
先日のメディアドゥの記事同様、折角の上場銘柄でお祝いムードの中悲観的な記事を書いてもバズらないことが予測されますが、今後インターネット関連の銘柄の上場が増える中で、成長性の見極めは独自にしっかりと展開していきたいと思っています。おそらく半分近くは「高い成長性を期待できるため買い」と言えないんじゃないかな。当然ながらIPO銘柄は全てが伸びるわけではなく、業績が伸びる確からしいロジックを見極めたいところです。
【次号予告?】ココナラ未来会議「メディアの未来」に行ってきた
ネット業界の転職なら帰ってきたブライツ!
■About this media & Yuhei Umeki
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