CtoCのファッション売買市場は今後大きなトレンドとなり、国内では競争が激化すると予測されている。スマホに絞ってこの市場を分析した記事を以前発表したが、今回は女性のファッショニスタにターゲットを特化したMaterial Wrldを事例に、別の観点での考察をお届けする。
Material WrldはNYに本拠地を置く、ファッショニスタな女性たちが立ち上げたサービスであることは本誌の読者ならご存知なはずだ。そのサービス概要に関しては下記の記事を参考にしてほしいと思うの。
参考:おしゃれファッショニスタのクロゼットをお買い物できるNY発の「Material Wrld」が本日β版でローンチ(from Tech Wave)
テイストグラフ形成によるコミュニティ型コマース
CtoCのアパレル売買に関して、「オークション」というと如何に安く買うか。高く売るか。というイメージがあるだろう。出品者はサイト上での評価は重要であろうが、その出品者のテイストと購入者のテイストのマッチングというのはさほど重視されていないように見える。
Material Wrldに関しては「世界各国のファッション好きが、自分のクローゼットの中身にあるものを直接売り買いできるオンラインコミュニティ」というコンセプトにもあるように、「ファッション好き」にターゲットを絞ったことにより、ハイセンスな人同士で趣向がマッチングするテイストグラフの形成を狙っているようにみえる。
ヤフオクでは平均落札単価が5,000円前後であるのに対し、Material Wrld上の取引金額の数字はわからないが、ハイブランドの商品がハイプライスで多数並ぶ。成約率はサイトをざっと見た限りではまだまだであろうが(出品者が強く売りたいとも思っていないため、強気の値段でディスプレイ的に置いて、見せびらかしたい。という欲求もあると思われる)テイストグラフ形成によりリピート率が上がり、成約も増えるサイクルが描けると考える。
Haveしているものは、全てSellするポテンシャルがある
出品者にとっては出品した商品が売れることも大事であるが、Pinterest風UIにより色んな商品を眺められ、Like的な「Love?」というリアクションを得られたりすることは嬉しいのであろう。
おそらく私がPushしているSumallyもこの方向へ進んでいくことが予測されるが、従来のオークションでは「売る気があるもの」を出品する傾向が強かった。いらないものを出来るだけ高値で売りたいというユーザー心理だ。
Material Wrldが描く世界観は、「売る気があるもの」だけでなく「自分が持っているもの」をサイト上に展示し、サイト上でコミュニケーションがあり、売る場合もある。という、売買の潜在需要を喚起するサービスであるといえる。その行動を喚起するために「クローゼットを見せびらかす」的なコンセプトとなっていると予測する。
Haveしているモノは、全てSellするポテンシャルがある。
売りたいモノだけでなく、持っているモノを全てオンライン化する。時間はかかるが、この概念のオンライン化に成功し、そのプラットフォームを取れる事業者はCtoCの覇者になれる可能性が高い。市場もかなり大きい。
現状のUX構造では、SumallyよりもMaterial Wrldの方が持っているモノをサイトにupしやすそう。Sumallyでは私はひたすらwantしているので。
「クローゼットの中身=すぐには売る気がないもの」の出品というユーザー行動を引き出そうとする観点は非常に面白く、先端的です。見せたいからサイトに載せる。この行動心理が刺さるのが女性ファッショニスタ。Material WrldがこのCtoCの大きな市場を狙っているのかは知りませんが、大きな市場を取るために立ち上げるターゲットとして、女性ファッショニスタ層は最適だった。といえるでしょう。
やはりこのCtoC売買分野は次のメガトレンドとなる可能性が高そうですね。
【参考記事】
CtoCのeコマースとSNSを組み合わせた「Material wrld」(From ネットコンシェルジュ)
スマホへ主戦場が移るネットオークション:成否の鍵は写真投稿ハードルの低さ(From The Startup)
なぜPinterestよりもSumallyにハマるのか?(From The Startup)
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