スマホへ主戦場が移るネットオークション:成否の鍵は写真投稿ハードルの低さ

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ネットオークションといえば国内ではヤフオクが巨人だが、Facebookやtwitterのインフラ化と共に、ソーシャルログインを前提としたオークションっぽいサービスが2010年末あたりから多数出てきた。それらのいずれもが大きくヒットすることはない中で2013年を迎えたが、ソーシャルログインというよりもスマホブラウザが主戦場に移ってきたことで、大きなインパクトがありそうな気配がある。

スマホでユーザー行動が大きく変わる分野であり、スマホによってオークション市場のオンライン化比率が劇的に上がると推測する。

1:ヤフオクの売上規模とオークション市場への雑感

少し古いですが通期の数字を見るために、2011年度Yahoo!の決算を見てみました。ざっくり置くと下記な感じ。

■ヤフオク関連事業数値

コマース関連売上高:通期621億(Yahoo!ショッピング含む)
オークション取扱高:1,732億(2011/4Q実績)×4=通期約7,000億円
落札率:11% (2011/4Q実績)
落札対象額:7,000億×11%=通期約770億
平均落札単価:5,091円(2011/4Q実績)

ビジネスモデルはちょっと複雑ですね…

■ヤフオク手数料

プレミアム会員費:399円/月:リンク
⇒「5,000円以上での入札」「特定カテゴリでの入札」「値下げ交渉」「出品」ができるようになる
システム利用料:落札時に商品総額の5.25%など:リンク

僕も学生時代にヤフオクにトライしようとしたことがあるんですが、複雑でよくわかんねーよということで、離脱した思い出があります。手間かかるの嫌だなと思い、安く買い取られてもラグタグで甘んじるか、家の近所にある古着屋に委託販売で出品して、売れたら販売価格の7割バックという手法を使っており、悪くない取引だと思っていました。

私のようなリテラシーの低いユーザーが大半だと思いますから、この複雑なスキームのヤフオクは出品ハードルが高いのです。正確な比率は知りませんが、業者も多いと聞きます。業者:個人の比率はどれくらいなんでしょうかね。リテラシーの低い個人でも気軽に出品できるオークションへのニーズは高いといえますし、ヤフオクが取り切れていない市場もあると考えると、それなりに市場規模は大きいですね。

2:スマホによるオークションへのユーザー行動の変化

オークション市場のポジショニングマップは下記。あまりに知り合いのサービスが多いため、サービス名は割愛。あくまで私の見解。

1に挙げた「ヤフオクって複雑じゃね?」という課題に対して、は「出品ハードルを下げる」という点が最も価値の高いソリューションになります。ソーシャルログインで実名での取引というのは、信頼性が増すため一見良いように見えますが、匿名での出品ニーズもあるため、ソーシャルログインで市場が拡大する可能性は高いとはいえません。それよりも出品ハードルをどれだけ下げるかが最大のポイント。

オークションは写真があったほうが落札率も上がるでしょうし、写真はかなり重要かと思います。特にアパレルに関しては。ガジェットとかはなくてもいいかと思いますが。スマホで写真撮ってその場でいかに少ないクリック数で出品できるかがポイントではないかと。落札過程も極力シンプルに。このユーザー行動が浸透すれば、オークションにおけるオンライン化比率が上がり、市場は拡大すると思われます。

オークションサイトというよりかは、写真アプリにオークション機能も付記するくらいの感覚が出品ハードルを下げる上では最適なのかも。

実は会社員時代に私もこの分野のサービスのプロデュースに携わっていたことがあり、その際に着目したことはスマホでサクッと写真を撮ってupするという至極単純なことでした。ここをどれだけシンプルなUXで実現できるかがサービス成功のインパクトに大きく寄与するかと思う。

3:案外、資金投下量がモノをいうモデルなのかも

出品ハードルを極力下げたら次はいかに落札率を上げるかが重要です。

■落札者を集めるプロモーション手法

webブラウザ:SEO
アプリ:リワード

出品ハードルが低ければ低いほど、落札者の出品者への転換率も上がるはずです。そもそも出品がなければSEO自体もあまり効かないわけですが、出品ハードルが低くて落札率が高いプラットフォームを作り、その上にSEOとリワードでガンガン集客をかけてアクティブユーザー数を伸ばすというのが成長シナリオと言えるでしょう。

CtoCは時間がかかる。というのは呪文のように聞く言葉ですが、立ち上げに時間がかかる点をいかに資本力で短くするか、という点が鍵かなと。正しいUXサイクルをサイトのベースで描けていれば、資金投下スピードで差がつくはず。

■国内でオークション(CtoC売買)で資金を持つスタートアップ

独立系スタートアップ:ジモティー(3億円調達)
大手:パシャオク(サイバーエージェントから2.5億円で子会社化 )

が目に付きます。パシャオクの子会社化のニュースを見た時、なんで資本金2.5億も入れたんだ?と疑問に思いましたが、こうして考えてみると納得です。比較するのもあれですが、クラシファイドのジモティーとオークション特化のパシャオクはUI構造は大きく異なります。

■UI構造(主にファーストビュー)の違い

ジモティー:地域選択⇒カテゴリ選択⇒一覧ページ
パシャオク:トップに新着商品が並ぶ+下部にカテゴリ

サービス特性もありますが、少ないクリック数でユーザーの成功体験を積ませることが重要だと思いますので、パシャオクの方がアクティブ率上がりそうな気がします。ジモティーはあくまでクラシファイドですしね。

4:各スタートアップの成長シナリオ

上記のジモティーやパシャオク以外にもCtoCのスタートアップは結構な数あります。どういうシナリオを描いてこの分野に参入したのでしょう。こんな感じですかね。

■成長シナリオ

独立系スタートアップ:Yahoo!や楽天、ZOZOへ売却かIPO?
大手ベンチャー傘下:ポスト・ヤフオクを狙う?

特にアパレル系の立ち上がりが目立ち、女性向けアパレル特化のFrilなどは私も女性のふりをして出品してみましたが、1日経たずに20いいね!くらいついていて、驚きました。分野とターゲットを特化して、バーティカルで立ち上げた方が立ち上がりやすいのかもしれませんね。

サイバーエージェントのような大手がわざわざコマース関連事業を子会社化してくるところは興味深いです。ゲームや広告の子会社化はよくありますが、コマースはあまり見かけませんからね。ヤフオク一人勝ち状態のオークション市場の牙城をどこが崩すのか、2013年の注目テーマの一つといえそうです。立ち上げ方は資本量で一気に勝負か、ニッチにバーティカルで立ち上げるかのどちらかの戦術になるでしょうね。

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