TaskRabbitはスケールするのか?

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tr_logo_6-9de8764fe40ffdd174e218373d90ded6日本国内でもフリマアプリを中心ににわかにCtoCが盛り上がりを見せてきている。今回は米国の先行事例としてTaskRabbitを取り上げたい。TaskRabbitはざっくり言うと、お手伝いのマーケットプレイスだ。家具を組み立てるとか、子供が居るため行きにくい食料品の買い出しとか、そういった少し面倒なことをアウトソーシングできる。リリース時は「パシりプラットフォーム」ともいわれていたこともあった。マックでハンバーガー買ってきてくれたら5ドルの手数料とか。

2011年7月にiphoneアプリをリリースしているが、現在の事業状況はどうなのか。そしてこのビジネスモデルはどれほどのマーケットポテンシャルを秘めているのかを本稿で考察する。

■参考記事

「そのお使い引き受けます」サービスのTaskRabbitがiPhoneアプリをリリース from Tech Crunch
ネット経由で誰かへ自分の代わりに仕事をしてもらうように頼めるサービス「TaskRabbit」from gigazine

TaskRabbit現況:14都市9カテゴリーを展開

Infographic-fe2778608edc6df4dc9f50ed48723c73まずはHP上にあったインフォグラフィックを左で見てみてよう。左の絵の注目すべきところをテキストに起こすと、トップクラスのユーザーだとTaskRabbitだけで1ヶ月約50万円稼いでいる人がいて、ライティングや写真、料理代行がTaskRabbit上では対価が大きそうな人気カテゴリー。最も人気なカテゴリーは家具の組み立て。固定の一人のお手伝いさんではなく、家事で様々なことをアウトソーシングする感じ。

Taskposters(タスクやってくれる人、って意味ですよね)の仕事量を合計すると4.5年節約してくれた。そうです。

■TaskRabbitファイナンス概要

エンジェル/シード/シリーズA-Cで累計$37.7M調達
(最新は2012/7にシリーズCで$13M)

■展開都市:米国14都市

人気都市:ボストン、NY、SF

■大カテゴリー:9個

配達/家事/買い物/オフィス系
日曜大工/引越/オンライン/イベント
特殊技能?

ちなみにビジネスモデルは成約金額の15%を手数料として抜くモデル。オンライン分野は「調査」とか「Craigslit help(クレイグズリストの代行業?」などがあり、これらはある種クラウドソーシングともいえますね。サイトのカテゴリーの1つとしてCraigslistが成立するのが米国市場でのプレゼンスの高さを物語りますね。

1回限りではなく、継続利用に繋がるカテゴリーが鍵

この仕事をいくらでお願いします。という依頼者が求めるサービス内容を出品する感じです。例えば、病院にいる父親に食事を届けて下さい:34-46ドルくらいで。という風に。それに対してその仕事をしたいです!と応募するCtoC。上記のインフォグラフィックによると、退職後のお父さんや学生、主婦が仕事をする側のメインユーザー層のようです。

人気エリアらしいボストンの各カテゴリーの投稿を目視で確認しましたが、そんなに投稿数は多くないように見えますね。成約金額の平均は目視する限りだと30-50ドルくらいではないかと。

このビジネスは一見、需要があるように見えるのですが「継続的な需要」を創造することは難しいのかなと。カテゴリーを見回しても、スポットの仕事が多く、継続性がありません。継続できそうな小カテゴリーは「洗濯代行」とか「料理代行」とかでしょうか。継続して依頼できそうな小カテゴリーの方が少ないですね。成約金額の平均単価からも、成約のボリュームが伸びないとプラットフォームとしては機能しません。現状のサイト状況はけっこう厳しそうに見えますね。

国内の家事代行の市場は1,720億円?

TaskRabbitの事業は「家事代行事業」をオンラインでCtoCでリプレイスしうるものかと思いますので、参考までに日本国内の家事代行市場を見てみましょう。こんな記事がありました。

1720億の有望市場に参入続々 「人」がすべての家事代行サービス

これは「介護」を含んでいるので、市場が膨らんで見えますね。TaskRabbit的なCtoCよりもBtoCの方がサービスクオリティ安定してそうですね。「業者」っぽい感じではなく、「素人」に家事を依頼する良さ。というのはありそうですが。女子大生が洗濯してくれる。とか。

昔にわかに話題になったTaskRabbitですが、けっこう無理ゲーだなと思いました。スケールは厳しいでしょうね。これはCtoC全般にいえることですが、CtoBtoCとかBtoCなど微妙にビジネス構造を転換することで活路を見出せる場合があります。とはいえ「低単価でのスポット」は仕事をするユーザーには魅力がないので、「低単価でも継続しやすい」とか「スポットでも単価高い」とかカテゴリーによって異なるでしょうが、そういう価値あるタスクがサイト上にどれだけあるかがユーザーが継続利用する鍵だと思う。

とはいえ、クラウドソーシングもそこそこ成立するご時勢ですので、上記のロジックじゃTaskRabbitがスケールしない理由にはならないのかなと思ったりも。どこか注力カテゴリーを決めて、そこをナチュラルにPDCA回すっていうのがスケールさせる一番の近道だとは思いますが。難しそうな市場。

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