PinterestやSumallyなどファッションEC付加価値分野の未来

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最近、EC領域の注目度があがっていませんか?従来型の売るという機能のECだけではなく、その周辺領域に注目が集まっている気がします。ファッションEC関連周辺の事業相談をここ3ヶ月くらいでいくつか頂いたので、その辺の流れを追いつつ、全体感を本稿で展開します。まずは下記をご覧下さい。各バリューチェーンに対して、グレーの色が既存の市場、オレンジの色が今後拡大が予測される領域です。

 グレー+④の二次流通は「成約領域」としました。①の検索はGoogleなど、②のモールは楽天、Amazon、ZOZO。③はロコンドやBuymaなどのバーティカルコマースやモールに出店する単独ECというイメージ。今回はグレーの領域ではなく、オレンジの領域(付加価値領域+二次流通)を追っていきます。

グレーの領域で今後が注目されるZOZO TOWNに関して詳細を知りたい方は、我らがナカムラユキ先生の今、ZOZOTOWNは何を考えているのか?をお買い求め下さい。僕も読みましたが、ZOZOの今後の可能性を頭に入れておきたい人は読んで損はないでしょう。300円ですし。

PinterestなどのセレンディピティSNSが流入のメインに

セレンディピティSNSは本誌の読者であればしつこいくらい出てきたと思いますが、ファッション領域に関してはPinterest、Sumally、iQonのような画像起点SNSサービスが親和性が高いです。改めてバリューチェーンから考えてみると、今までは欲しいモノを検索して見つけて単独ECへ飛ぶか、モールをウロウロするかしかなかったのです。

セレンディピティSNSは買い物する気がなくても、暇な時にふらっとアプリを見たりして、画像を見て認知し、Re-pinやwantしてその後買おうかどうか「検討」できる。このRe-pinやwantからのCVRが如何ほどかは懐疑的ではありますが、認知経路としてECへ送るトラフィック数は増大していくことが予測されます。

下手したら、検索エンジン経由でECを訪れるよりも、セレンディピティSNS経由でECを訪れる割合が逆転する日も遠くないでしょう。Sumallyは最近伊勢丹の公式ページを発表し、この分野は私としては今年目が話せない注目分野の一つです。

【参考記事】

なぜ女性はPinterestにハマるのか?
なぜPinterestよりもSumallyにハマるのか?

セレブ起点とアルゴリズム起点に分れるスタイリング分野

この辺からがわりと新しい話。自分で洋服を選ぶのがめんどくさくて選んで欲しいという潜在ニーズある。昨年話題になった定期購入は、選ぶのが面倒くさいというニーズよりかは、セレブが選んでいますという体でshoe dazzleなどが成長しているという話題はこの記事で触れた。

セレブのスタイリングによる定期購入は、潜在ニーズへのマッチよりも、ファンクラブ的な価値に近いといえます。よって市場拡大の余地は限定的であると私は判断します。一方で、「自分で服を選ぶのが面倒くさい」「面倒くさくはないんだが、自分にもっと合う服があるのではないか」そんなニーズを満たすサービスとして、BestStyle.meというサービスが登場し、事前登録を受け付けている。

聞くところによると、スタイリングのアルゴリズムをプロのスタイリストから得たデータを元に算出するらしい。このシステムの精度が高ければ、ECサイトの売上を上げるの機能としてシステム提供できるだろう。To C向けでは自分の服をわざわざ登録するだろうかという疑問があるので、どこまでスケールするか未知数だ。従来は対面で人力だったパーソナルスタイリングをシステムに落とし込んだモデルといえる。

ミーハー心でのセレブ起点でのレコメンドか、自分に合うものがシステムでレコメンドされるか。上記の表では「スタイリング」「レコメンド」と敢えて分けたが、似たようなものである。引き続き、注目したい分野。

リメイクやオーダーメイドの「加工」分野のニーズは、?

次は「加工?」というバリューチェーンに入る「リメイク」分野。そもそもこの市場にさほどニーズがあると思えないので、バリューチェーン上で「?」としたが、この分野でサービス展開をしている方にお会いしたので入れてみた。U+というサービスだ。

聞くと、自分が持っているジャケットなどをサイトを通してリメイクできるショップ?であるという。コンセプトでの想定としては、ユニクロなどのファストファッションにリメイクかけるという人が多いという仮説を持っているとのこと。しかし、ファストファッション層の人が加工するまでファッションが好きかという点に疑問を感じる。手持ちの古くなった服をリメイクする方が需要がありそうだが、ユーザーの出品数に限りがあるので、正直難しいモデルかなと思いました。

加工という観点では、購入と同時にはなってしまうが、オーダーメイド分野は結構おもしろいと思う。具体的なサービスは見ていませんが。

ショップ起点でのオンライン・コミュニティ?

続いてコミュニティ領域。ここはサービスを見た訳ではなく、完全に僕の妄想です。セレンディピティSNSはあくまで画像起点でリアクションする場合がほとんどで、テキストコミュニケーションで楽しむ仕様ではありません。しかし、好きな分野のファッションについて語りたいニーズは明確にあります。僕自身、そういう時間は楽しいと感じますからね。

既存だとzozo peopleがそれに近しいのかな。僕は北海道出身で、高校時代に地元のショップに通って店員ととても仲良くなったというユーザー体験があります。上京してからは行けるショップも増えましたが、行きつけ感やローカル感は地元には勝てず、特定のショップに対するエンゲージメントは低下したように感じます。

ショップに来店するお客さんは自分とテイストが似ているわけで、ショップ&来店客というコミュニティがオンラインであると面白いと思うのです。特定のショップに来店する客同士で服を交換したりすることもあるでしょう。このテイストグラフを上手く利用できれば、良いユーザー体験を提供できると思う。

この着想は、高校時代に地元のショップに行った際に、中学時代の友人が来ていて、そこでファッション談義を楽しんだという経験から来ています。地方のアパレルショップはその空間自体が趣味の近い人が集まるサロン的な性質があったと、振り返って感じました。それこそ僕がやっているFacebookグループのサロンと同様のスキームが適用できると思います。そこでのコミュニケーションでショップへのエンゲージメントが上がり、売上が上がったり、服の趣味が同じ友達ができると嬉しいのですが。

ヤフオクと異なる体験を提供する二次流通スタートアップ

最後に、二次流通。付加価値領域ではなく、成約領域ですが、昨年からこの領域のスタートアップは増えていますね。Frilとか調子いいらしいとよく噂では聞いています。この分野は日本ではヤフオクの独壇場に見える分野ですが、今後どのような成長性を見据えて複数のスタートアップが参入したのでしょうか。

それなりに大きいヤフオクの市場のリプレイスという観点は一つですが、Facebookログインなどにより個を全面に押し出し、ユーザー同士のテイストマッチなどのコミュニティ体験を元に牙城を崩しにいくという感じなのでしょうか。基本的にCtoCになるこの分野のセンターピンは成約率でしょうが、成約だけではないユーザー体験をどう提供し差別化していくかが、サービスが生き残り、ヤフオクの牙城を崩しいていくポイントになると予測します。

という感じ。なのでファッションEC分野は、従来の販売体験を提供するECの裾野にある分野がどう成長していくかという点が興味深いですし、ベンチャーキャピタルの観点では数年後の成長分野として押さえておきたい分野といえるでしょう。

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