家入さんが「お金が教えてくれること」で教えてくれたこと

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お金が教えてくれること ~マイクロ起業で自由に生きる~

1週間前くらいに「書評書くから家入さん、本送ってくれないかなー」とつぶやき、「送る!」っていわれたけど、すぐに送ってはこない性格なのは知ってて、twitterでしょっちゅう本の宣伝とか見かけるから欲しくなって買って読んでしまいましたよ。

もっちくんの【書評】家入さんの『お金が教えてくれること』を読んでみて。お金は稼ぎ方より、使い方のほうが大切。も事前に読んで考えさせられました。

家入さんと僕って、パッと見接点がないようにみえますが、実は去年一緒に熱海の温泉に合宿に行ったりしています。twitterで知り合って、DMで「会おうよ!」という話になって、レスしても4回くらいスルーされて、やっと会えた。という懐かしい思い出があります。なぜか彼は僕しか入っていない「umekidayo」というtwitterのリストを持っていました。

僕はLivertyがLiverty的な活動を始める前に少しだけその中に関わっていたわけですが、家入さんのお金に対する考え方というのが本書でよくわかって面白かったです。労働とお金、お金の稼ぎ方と使い方という観点で思ったことを書きなぐってみます。僕がLivertyについて公の場でコメントするのははじめてですね。少し長いですが、生々しく話ます。

インサイダーから見たLivertyの非貨幣経済

当時(今もではありますが)駆け出しのフリーランスだった僕が家入さんにはじめてお会いしたのはフリーランス4ヶ月目くらいのことだったでしょうか。六本木の家入さんがよく出没するあの店でお茶してたのですが、何か一緒に仕事ができそうな雰囲気になり、ぶっちゃけ「お!新たなクライアントを獲得できるかも」と思いました。

しかし、すぐにお金にはならなそうなことがわかりました。フリーランスは時間を対価に変えていく側面もあるので、他の案件も多数抱える中で無料で働くのはどうなんだ?と頭を過りました。でも家入さんと何かやってたら面白そうだし、貨幣以外のリターンがありそうだと考えました。

現に僕は今まで無料で何度も働いてきたことがありました。スタートアップの本当に立ち上げの時期にボランティア的に手伝ったり、アイディアを無料で提供してきたり。いずれも転職活動中や会社員時代のことです。特に後悔はないですし、貨幣以外のリターン、それは新たな人との出会いであったり、レピュテーション的なものも少しは得られました。

「雇用関係は、給与を払います。給与分働きます。以上」
「経営者は搾取するのが当たり前」(P96)

という表現はすごくしっくりきていて、この関係はたしかになんだか悲しいです。極論すると貨幣を介して関係を買っているわけです。貨幣がなくなれば関係は終わる。そういう関係ではない関係を作りたくて(本当にお金がなかったというのもあるかもしれませんが)家入さんはLivertyで雇用関係ではなくフラットなプロジェクト関係を成立させる実験をしたかったのだということを身を持って感じます。LLC方式の話もありました。

僕が会社員であれば土日とかにLivertyのプロジェクトに関わり続けるのは良かったのかもしれません。しかしフリーランスの立場としては時間を切り売りしている側面があるため、どれだけ時間をかけても収益に直結しない活動を続けていていいのか?と当時は思っていました。結論、当時の僕は1円にもならない活動に自分の時間を投資し続ける意義を見出すことができず(胆力がなかった、ともいえます)自分の担当プロジェクトの将来の収支予測も立て(アップサイドで分配したらどうなるかまで見越して)当該プロジェクトにおいてはROIが良くないと判断し、撤退しました。

関わっていたことも撤退したことも特に後悔はなく、家入さんを含めたあの時だからこそ出逢えた人たちから多くの刺激を受けましたし、楽しい時間を過ごしました。強いていうならば僕は団体行動が嫌いなので、大規模な組織に関わるのはあまり向いてないなあと思うくらいで。

また、経営者的な視点では「搾取するのが当たり前」とかいうと非難を浴びそうですが、実際にはその通りだと思います。社員が頑張ったからとか、世間的な相場というよりかは社長の鶴の一言で被雇用者の待遇は決まるのが事実。今まで複数の中小企業に私も勤めてきましたが、中小企業ほどまあ搾取だわなと思うケースが多い。一方で自分が社長でも同じことするだろうなとも思います。その点大手の方が仕組みがそれなりに出来上がっているので「搾取されてない感」はありましたね。

貨幣経済と非貨幣経済、そして評価経済

長くなりましたが、「労働とお金」という観点では、バズワードなので今まで触れてきませんでしたが「貨幣経済と評価経済(またの名をソーシャル・キャピタル)」という観点があります。従来は貨幣経済がベースの社会でしたが、貨幣経済に縛られない人が、労働時間の対価として貨幣を求めるのではなく(非貨幣経済)貨幣以外のリターンに期待して働くという兆候が出ています。NPO活動なども「評価経済」に入りそうなもの。

誤解なきように図解しておくと「貨幣経済 vs 評価経済」は二項対立ではありません。非貨幣経済は評価経済になることを期待されますが、貨幣経済だからといってその中で評価経済は成り立たないとはいえません。貨幣以外の信頼も蓄積していくことで、貨幣以外の関係性もできていきます。

非貨幣経済は短期的にはお金にならない場合がほとんどですが、これは投資みたいなもので中長期で評価経済としてバラまいていおいた信用が貨幣経済へシフトしていくこともあります。

これは僕がUmeki Salonでリアルに体感していることでもあります。無料で事業のアドバイスをした人が何人か入会してくれていたりして、サロン内容に価値を感じてくれているのか、借りがあると感じてくれているのか本意はわかりかねますが、そういう人もいるものです。

「預金口座がゼロになるよりも、twitterのフォロワーがゼロになる方が怖い」

と言っていたのが印象的で、特にゼロイチを作る側の人は貨幣経済よりも評価経済の方が大事なんだろうなと。評価経済圏をそれなりに築けていれば、何とかなりそうなものだ。

Livertyにおいては雇用関係ではないフラットな関係で価値創造して儲かれば分配する。この方式は面白いとは思うのですが、当面は時間に対する貨幣リターンがゼロであることに耐えられる忍耐力が必要ですし、プロジェクト方式の場合は関係者が多ければ多いほど分配なので貨幣リターンは減る。後者が僕は特に気になってしまいましたね。勿論関係者が増えれば非貨幣以外のリターンは増えるわけですが。家入さんとの思い出を通して、こういう働き方もあるんだということを学んだと思い出しました。

場所や時間から自由になってもお金から自由になれない?

フリーランスになった当時は3日に1回はキャッシュフロー計算書を見ていたくらい、「俺、生きていけんのか?」と不安に苛まれていました。アポの合間はいつもサンマルクだったことを覚えています。フリーランスになって半年くらいの頃でしょうか。イケダハヤトさんとカフェで話していて「時間と場所からは自由になれたが、お金からなかなか自由になれない」という話をしたことが強く印象に残っています。

その後イケダさんはご存知の通り、年収150万円で僕らは自由に生きていくという本を上梓され、生活に必要なコストを逆算した上でどれくらい稼げばいいかを算出して、必要以上に稼げない暮らしを実践されているように見て伺えます。僕は収支管理はかなり細かく、確定申告も初日で終わらせた人間なのですが、不安と欲望から、「できるだけ稼ぎたい」と思っている派です。正直にいうと、稼ぐ強迫観念からまだ自由になれない。お金と時間がトレードオフであればお金を取るという選択をします。

しかし、死ぬほど働いてアホみたいに稼ぎたいとは思わず、洋服と外食というささやかな趣味に気にせず投資できる程度に、最高税率が掛からない範囲くらいまでを稼げればなと思っています。正直ゲーム感覚で「どれだけ売上を伸ばせるのか、やれるところまでやってみたい」というのがあります。これは会社勤めであれば普通の話であり、目標予算がどんどん上がっていくのと一緒です。個人として言うと、ダイレクトに個人の収益に反映されるため多少卑しく聞こえそうですが。

ということで僕は今後はますます、様々な工夫をして稼ぎにいきたいと思うのですが、お金と時間はトレードオフになりがちです。トレードオフ依存度が低いモデルも模索中ですが、様々な稼ぐモデルを開発中です。

お金の時間の投資の仕方:欲望をとっとと満たし続ける

一方で何にどう使えばいいのか。これはもっちくんの書評の指摘通り、稼ぐより難しいなと思います。一時期は趣味であるネット上場企業株の分析を活かした株式投資をすることも考えましたが、株価に一喜一憂するのもアレだなと思ったのと、口座の使い方がよくわからないというまさかの理由でやめました。単純な貨幣リターンのみでも面白みが薄い。

自分の欲望を早く満たす投資をし続けるということが、お金の使い方に関する現時点での僕の一つの結論です。あのバッグが欲しいとか2年も悶々としない。欲しいモノは早く手に入れる。体験してみたいことは体験する。行きたい場所に行く。様々な所有や体験を経て、一流を見極めるセンスを磨き続ける。一方で二流のモノには投資しない。二流のモノへの投資は浪費と見なす。僕にとってグランメゾンでの食事は投資ですが、和民での意味のない飲み会は浪費です。

ちなみに僕は昨年ユニクロのニットを2,980円で買ったことを未だに後悔しています。ユニクロをdisるわけではなく、すぐに使わなくなるモノに投資をした自分のセンスのなさを悔いた。自分の欲望に引っ掛かる情報をキャッチし続けること。アンテナを磨き続けることに投資をし続けたい。

プライベートの話だけではなく、仕事においてもこの話は適用される。安いという理由で選択することはなく、最善のモノなのかという基準で判断し続けるだろう。時に価格の誘惑があるかもしれないが、この基準をぶらさないようにしたい。一方で、お金の投資同様、時間の投資についても考えさせられます。

何に時間を投資すれば自分の人生が幸福になるための最大リターンを得られるのか。お金=幸福とは僕は思いませんので、お金を稼ぐことにばかり時間を投資することはないんだろうなと思います。

いやー、1週間くらい座禅とかしたい

いやー、The Startupとは思えない論調と内容となってしまいましたが、これが今の僕の正直な価値観です。

・貨幣経済と評価経済のポートフォリオのバランスを取りたいし、ポートフォリオを組んだ方がリターンは最大化するであろうが、評価経済における忍耐力がやや不足している
・貪欲に稼げるだけ稼ぎたいが、お金=幸福とは思っていない
・投資判断力を上げるためには一流の経験をし続けることが重要であり、二流の経験をすることは浪費であると捉えている

まとめるとこんなところでしょうか。「お金を使う」観点からすると、僕を良く知る友人は僕を倹約家であると言います。某クライアントは「20代のうちは貯金をしなかった」ともいっており、もっといろいろと投資して経験値を上げていくべきかなとも思いました。浪費ではなく投資で。

ということで体験に投資という観点では、どこかで1週間くらい座禅したいですね。誰か付き合ってくれる人いないかな。あとは何かもう少しぶっ飛んだ体験をしたい。

だいぶ表題からズレたレビューとなってしまいましたが、本を読んでこんなことを考えました。家入さんとシンプルな形でそのうち何かできたらいいなと思います。ポエムユニットとかね。ポエム代行サービスとかどうですかね。BASEでポエムを販売してみるか。

家入さんに話して笑わせたいネタが幾つかありますね。

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