少しタイムリーなネタではないですが、10月に発表されたトーマツの日本テクノロジーFast50、これは未上場企業で調子が良いところを発掘する格好の良い資料ですね。ただ、過去3年の売上成長率という指標は如何なものかというツッコミもありますね。営業利益成長率ベースで見た方が有意義じゃないかという指摘も。
毎年トップ3くらいの上位は発表時に日の目を浴びますが、上位だけじゃなく50位までどんな企業がランクインしているのかを詳細に見ていくと、次のIPO予想なども含めて有意義かと思います。
未上場でインターネットセクターに分類できそうなものは14社ありましたので、その14社をさらにジャンルごとに仕分けしてみます。備忘録として私が存じ上げなかった企業には(未知)マークを付けておきます。社名の前の数字はFast50内での順位です。
メディア系6社:じげん、Voyageが注目株?
ざっくり括るとメディア系に分類される業種が最も多くなりました。個の中から個人的に注目しているのはじげんとVoyageです。
■5位:エスキュービズム(未知)
ECのパッケージ販売が主力に見えますが、トーマツでは「会社なび」というメディアを押しているように見えたので、メディアに分類。会社の評判などのCGMっぽいですね。リブセンスの転職会議とかが競合になるのでしょうか。なぜか不具合で会員登録できなかったのですがw 会社なびにどれくらい口コミが集まっているのか見てみたかったですね。
■13位:Speee
モバイルSEOの印象が強いですが、バーティカルメディアやスマホアプリも手掛けている模様。利益ドライバーは未だにSEOな気がしますが、実態は如何に。
■17位:じげん
リクルート出身の経営者ということもあるのか、リクルートやリブセンスが手掛ける領域(ライフイベント)のバーティカルメディアを多数保有していますね。〜EXシリーズは各分野のアグリゲーションサイトでしょうか。アグリゲーションでtoB課金というのは手堅そうに見えます。
■20位:アブラハム・ホールディングス
富裕層メディア「 YUCASEE」を運営していますね。私もたまに記事を読んでいます。ターゲティングメディアとしてどのようなマネタイズ手法を取っていくのかは今後着目したいです。最近リリースされた金融サービス「いつかはゆかし」はある種けっこう話題になっていますね。
■29位:イード
メディアに限らずリサーチやシステムなどかなり幅広く手掛けていますね。資本金の額が大きいこと、本誌注目のVCであるGCPとITVが揃い踏みで株主に名を連ねているのは注目に値します。バーティカルメディアを複数展開しているようですが、リサーチ業やシステム業なども手掛け、どの辺がキャッシュポイントになっているのか見えにくい構造です…
■42位:VOYAGE GROUP
サイバーエージェントから独立した気鋭の宇佐美氏が率いる様々な事業を展開している会社。現在、サブマリンモードのようですが、アドテクのadingoやZucksの調子がいいらしいと聞いています。ZucksはTapjoyやってたんですね。知りませんでした… 次代の注目分野のスマートTVでもGREEとの提携による「emcon」を発表したばかり。どの事業が当たっていくのか、今後に期待大ですね。
ゲーム系2社:ソーシャルゲームは終盤戦?
既に上場している企業が多かったですね。モブキャスト、GREE、ドリコム、ボルテージが上位にランクインしていました。しかしドリコムは業績予想を大幅に下方修正するなど、SAPのボラティリティは高そうですね。
■1位:gumi
本誌の読者にgumiの説明は不要でしょう。gloopsやポケラボなどが買収されて、cygamesもDeNA資本が投下される中、国光さんの経営手腕にますます注目が集まっていますね。
■8位:エイタロウソフト
GREEのSAPともいえますが、中国展開をしていたり、ガンホーと組んでラグナロクオンラインのモバイルゲームを開発や3Dアバターも展開するなど、幅広いゲーム会社ですね。
その他6社:カヤックなど多数の注目銘柄
メディアにもゲームにも分類されない分野を寄せ集めました。
【アドテク】
■9:エージェントゲート (未知)
アドテクなんですね。フォーミュラというスマホ向けCPCアドネットワークを展開しているようです。あとはSEOなども。アドテクが私の門外漢過ぎてコメントできないのですが、スマホは全体的にアドネットワークが盛り上がっている印象ですね。CPCにしろCPIにしろリワードにしろ。
【日本的面白業務】
■15:カヤック
説明不要なほど有名ですね。IPOも遠くないと噂されていますが、利益ファクターは自社のゲームなのでしょうか。受託も多いでしょうから受託で結構稼いでいるのかな。どちらかわからないので断言は控えます。「カヤック的なベンチャーにしたい」と目標にされるくらい、そのワークスタイルやカルチャーは人気があるなと周りを見ていて感じますね。
【コマース】
■22:ペットゴー(未知
ペットビジョンというペットのドラッグコマースを手掛けています。コマース事業を核にペット向け広告やライフログサービスも展開。現代風に呼ぶとバーティカルコマースといえ、バーティカルコマースが裾野分野に事業領域を拡大する際に参考になりそうです。
【Saas】
■35:オロ
本誌のビッグデータの記事で話題にしましたが 、ZACはかなり人気のあるERPのようですね。詳細は前述の記事をご覧頂くとして、個人的にもこの辺の分野は注目しています。Saasって20代の若者ではなくいぶし銀な方々が手掛けて手堅く儲けているイメージがありますね。
【クラウドソーシング】
■41:リアルワールド
今話題のクラウドソーシングですがタスク系の細かいクラウドソーシングですね。「げん玉」などのポイントメディアを持っています。ユーザーとしての利用経験があるのであえていいますが、マージンが高すぎるのとマージン率を上手く隠した商売をしている印象で、サステイナビリティは低いとユーザー視点で感じました。
【O2O】
■43:エンターモーション
トーマツによるとO2Oに分類されていますが、オトクーポンはたしかに昔からあるO2Oといえるかもしれませんね。モバイルですかいらーくグループのクーポンを落とせるというサービスですが、たしかにOnline to Offlineです。一方でモバイルCMSであるMobile Appsが売上を伸ばしているのかもしれません。サイトを覗くとなぜかTech Crunchの西田さんによるインタビュー記事があったのが興味深いです。
この中から来年は何社IPO銘柄が出るか?
以上です。来年は1-2社はこの中からIPO銘柄が出るのではないでしょうか。ただし、あくまで売上成長率なので、利益で見ると各社はどうなんでしょうかね。スタートアップステージではないレイターステージのベンチャー情報を仕入れる指標としてはトーマツFast50は有意義ですね。
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