ゲームの「事業買収」で急成長のマイネットが上場承認

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<2015.11.18追記あり>
2015年通期予想数字を適用

スマホゲームのセカンダリー事業(他社タイトルの買収・協業で再生・運営する「リビルド」事業と同社は表現)を主とするマイネットが上場承認。類似ビジネスモデルとしてはメディア事業買収の比率が高いイード。主幹事は大和証券。

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資本政策:案外高いGREE比率。Mr.ワタナベも登場

公開日発行済株式総数:3,203,900株
想定価格:1,680円
想定公募時時価総額:53.8億円
2015年通期予測当期利益:0.83億円
2015年通期予測当期利益適用PER:65倍

予想より利益率が低いという印象。2015年通期予想では売上28.8億、営業利益1.32億。2015年4Qだけでアプリボットからの事業授受があったからか、売上10億営業利益0.93億を見込む。このペースが来期も続くと仮定すると、営業利益ベースで4億近くの確保が見込まれる。

資本政策は下記。

スクリーンショット 2015-11-17 11.01.06上記は東京IPOからの出展だが、SBI&サイバーエージェント研究会に推移が詳しく記載されている。

参考記事:マイネット資本政策

リリースを見かけていませんでしたが、GREE比率が高い。次はMr.ワタナベ氏似寄るB Dash Ventures。レイターステージの大人プレイです。こういうプレイはIVPにはできなそうだな…。Mr.ワタナベラウンドでのvaluationは逆算すると36.5億。公募53.8億に対してどこまで跳ねるか。

リビルド事業の中核を担うと思われるCFOの嶺井氏が案外高い7%。しかしこれはサイバーエージェント研究会によると既存株主のリクルートからの譲渡が多かった模様。モル☆スタ出身の嶺井氏は筆者と就活時代の遠い同期であり、外銀からスタートアップに転職してマイネットのような事業買収がフロントプレイヤーになるような職についてバリューアップするという事例は良いですね。隠れたキーマンかと思います。まだ外銀で消耗してるの?って記事でも出そうかなあ。

創業期からmixi創業者の笠原氏が株主という点も興味深いですね。

リビルト事業は売上原価に注視せよ

スクリーンショット 2015-11-17 11.00.22セグメント別を見ると、他者からのゲーム事業買収が一番伸びています。イグニス、gumi、GREE、セガ、アプリボットから事業買収した模様。協業事業も伸びているが、協業先は非開示。自社開発は減っている。B Dash Campのセッションでも話がありましたが、開発ではなく運営に特化している点が特徴的。

PLを見ると「売上原価」が相当高い点が気になります。売上原価内訳は外注費と経費。外注費は人件費ですが、「経費」ってなんなんだろう。。

☆マイネット2015年3QPL

売上:18.79億
売上原価:12.9億
売上総利益:5.89億
販管費:5.49億
営業利益:0.39億

売上原価が下がれば利益が出るはずなんですよね。「経費」が事業買収の経費であれば翌期以降グッと利益率が上がる可能性あり。とはいえ、事業買収を継続していくはずなので、それでいうと都度「経費」に計上されていきそうな気もして、PL予測は安定しにくいかもしれません。この辺断定できないので誰か教えてください。。涙

マイネットの事業上のポイントは「事業」買収にあり

ゲーム会社の買収ではなく、事業買収という点が最大のポイント。企業買収より事業買収の方が価格を相当抑えられるケースが多々あります。筆者のようなM&Aブローカーにとって事業買収は仲介業者泣かせです。他社のニッチもサッチもいかないタイトルを事業買収し、マイネットの運営方法に適用させてグロースさせるという手法を取っています。

ゲーム会社といっても開発から運用までの工程の全てが得意なわけではなく、マイネット派開発を捨てて運用に特化した。ゲームの開発費は高騰しており1タイトル数億円かかるのが普通。数億かけて開発したゲームが全然当たらず、運用ノウハウも乏しい場合、二束三文でもマイネットに売却できた方が、売却益を得られて運用コストもかからないので良いのではと。ゲーム会社のそういった需要が高まっていることから、ゲームのセカンダリー(虹流通)市場が形成されてきています。

2015年3月に上場したイードはメディア領域において全く同じ戦略であり、企業買収ではなく事業買収というアプローチは多くの買い手側の企業が参考にすべき手法でしょう。企業買収だと無駄にvaluationが高騰していたりしますので。

スマホゲームのセカンダリー市場は数年後に1,000億市場ともいわれており、明確な競合が見当たらない中、運用特化のノウハウを溜めておき、スマホゲーム再生工場としての地位を築くのがマイネットの中長期的な狙いでしょう。本稿執筆時点での来期予測が見えないのでなんともいえませんが、公募時時価総額53.8億は比較的安い印象。公募時に買っておけば、上場後の推移で公募価格の半分になるようなビジネスモデルではないと思うので、お買い得な予感はします。初値は公募の1.5-2倍と予測。

リビルト事業のゲームが当たれば、当然業績も上がるので、アップサイドはそれなりにありそうな銘柄です。



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