マッチングアプリ、参入続々。Winner takes allにはならない?

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マッチングアプリですが、より細分化されたものが国内で2017年に多数登場しています。

私自身、マッチングアプリの買収を仕掛けて、短期間ですがPMIで東カレデートをプロデュースしていました。ユーザーとしても様々なアプリを使っていたので、ユーザー視点のインサイトは結構持っているつもりです。

最近こちらのDineというマッチングアプリに関する記事を読みまして、「検索型」「カジュアル型」「強制会わせる型」の3段階あるという話を聞いて、なるほど感がありました。

本稿で上記の記事を元に、今後日本国内でマッチングアプリ市場がユーザーにとってどういう存在になっていくのかを、考察していきたい。結論を言うと、ユーザーニーズはいくつかの要因でどんどん伸びる。タイトルにある通り「Winner takes allではない市場」であり、もういくつか勝ちサービスが出る。というのが私の見解です。

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「出会いたい」以外のユースケースが増えている実態

本来マッチングアプリとは、その言葉の通り「デート相手を探すためのもの」と解釈されることがほとんどだと思う。しかし、必ずしもそうではなく、むしろそれ以外の用途が主になる可能性がある。

上記の記事によると、マッチングアプリの利用目的トップ3が「出会いたい」以外だと「エンタメ」「エゴブースト」だという。

「エンタメ」に関しては、はあちゅう氏がどこかで発言していたのですが(動画か何かかな)

彼氏と喧嘩した時にマッチングアプリで男のプロフを漁ってみますが、結局彼氏の方が良いということがわかり、「アプリを眺めるだけ」という浮気未遂をしています。(たぶんそんなニュアンスだったと思う)

たしかにマッチングアプリで様々な人のプロフィールを閲覧するのは面白い。自己紹介クソ長いなとか、なんでこの写真をプロフに!?とか突っ込みどころを探しながら見ていくのはエンタメになるだろう。

きっと私も少なくない女性ユーザーから「梅木発見!ワロタ!」とか言われている可能性があります。実際、知り合いからそう思われるのが嫌で登録したくないという声もかなり多く聞きますが、「恥より実益が大事で、マッチングアプリを利用しない機会損失の方が恥より大きい」と思う派の私にとっては、気にしすぎな人って多いなと思います。

その手の類の人は最初は恥ずかしがってSNSとかやらない人なので、SNSがマスに普及すれば同調圧力でやるようになりますね。マッチングアプリって、SNS並に一般的なものになっていく可能性があると感じています。

次に「エゴブースト」ですが、初めて聞いた言葉でした。これは、マッチングアプリ内で「いいね!」をもらって「私もまだまだモテるのね!」と自己承認欲求をカジュアルに満たし、「ホクホクする」ためのものです。

実際に会う気はないし、大したタイプな人からじゃなくとも「いいね!」と言われれば悪い気はしない。必死なメッセージが送られてきて「このメッセージ、キモくない?」と友達に見せて、実際に会いはしないんだが、「私、モテてるっしょ!」とマウンティングになっているという。

インスタグラマーとか自己承認欲求の塊でしょうから、その手の類の人とかも、会いはしないけど「いいね」欲しさにやってみる。とか、あると思うんですよね。これを私は「エアリプ」ならぬ「エアモテ」と呼びます。

こういったユースケースから、マッチングアプリが「出会うため」だけのものではなくなってきていると言えます。SNS並のインフラになる可能性が高まってきている。

モノと人のマッチングは異なる?という仮説

国内ではOmiaiが先陣を切り、Pairsがその後追い上げ首位に。最近ではタップル誕生も勢いがあり、Pairsとタップルはどちらがマーケットリーダーなのか読みづらい状況。

しかし、この辺のマーケットリーダーが会員数を伸ばしていくと、Winner takes allとなる市場なのか?その問いに対して、私はNoという仮説を持っている。

メルカリのようなモノのマッチングと異なり、人のマッチングのため、必ずしも規模の大きさとマッチング精度は比例しない。モノの場合は、出品して買い手が多い方が検索して買いに来てくれそうだが、人の場合は必ずしもそうではなさそうだ。

アプリによって微妙にマーケットが異なり、Pairsウケは良いけど、タップルウケは悪いとか、人によって相性の良いアプリは異なる場合もある。

私自身がユーザーとしてその手の感覚(Winner takes allにならない)を感じたため、マッチラウンジの買収を仕掛けて東カレデートにし、アッパー層特化のポジションを取った。実際に他大手アプリよりも金持ち男と美女の含有率は高いと思う。逆にいうと、経済力なき男とブスな女は相手にしていないサービスだ。

こういった東カレデートのようなユーザーセグメントで単純に切ったサービスもありつつも、UXのバリューチェーンに踏み込み、そこで「検索型」と異なったアプローチを取ろうとするサービスが複数出てきている。

各課題に対応するマッチングアプリが勃興してきている

UXのバリューチェーンを整理すると下記となり、いくつかの課題が想定される。各課題ごとに対応しているサービスを紹介していこう。

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課題①の「いいね!もらえる男は全体の1/6」というのは、Patoのプレゼン資料にあった、タップルかどこかが出典元のデータだ。感覚値的には、大きく外していないと思う。

☆課題①の解決:「いいね!」もらえない男は金で解決

対応サービス:Pato、Patersなど

残念ながらPairsを利用しても、いいね!がもらえないため、マッチングに至らず当然会えもしないという男性が5/6もいるという。5/6というと相当なインパクトで、さすがに1件もいいね!をもらえないことはないんじゃないかという気がしているが、「マッチングアプリを利用したが、一人も会えなかった」という男性が5/6くらいと言われると、あり得なくもない。

この課題に対して、PatoはキャバクラC2C、Patersはパパ活C2Cという価値軸でサービス提供をしている。

実際にPatoを利用してみたのだが、「西麻布の高級ラウンジの入店審査には通らないであろうようなルックスの子」が多く、30分単位でチャージされる。

個人的には女性に課金してまで、食事に行く相手を探すことに困ることはなく(そこまでして行きたいと思わない)私自身が運良く「マッチングアプリでいいね!をもらえないユーザー」ではないため、ペルソナ的にドンピシャのユーザーではない。

おそらく男性も、西麻布のラウンジに行くような層ではないユーザーが使っているのだろう。会って1時間1-2万円チャージされほどの価値を提供しているユーザーがどれほどいるのかは疑問に思った。

☆課題②の解決:強制的に会わせてしまえ!

対応サービス:いきなりデート、Dine

「マッチング後に会うまでに至らない」というのは、マッチングアプリの大きな課題と思われる。上記の「エンタメ」「エゴブースト」目的のユーザーもおり、大規模サービスになる程、ユーザーの期待値は一致しなくなってくる。

この「エンタメ」「エゴブースト」目的ユーザーを極力排除できるのが、「会える」というコンセプトを押し出すサービスだ。ここに該当するのが、いきなりデートとDine。

いきなりデートを何度か使ってみたが、「年齢」「学歴」「職業」のデータだけ送られてきて、それを元に会うかどうか判断しなければならないという過酷なサービスだ。初回の満足度が高かったので、リピートしてみたものの、15秒で帰りたくなった回もあり、この程度のデータでのマッチング精度は当然ながら高くない。やや乱暴なサービスといえよう。

本稿の冒頭で紹介したDineは最近知ったので少しアプリを触ってみた程度だが、マッチング後にまず会う日付を埋めるようにと促される。メッセージで話してすらいないんだけどな。と思うが、マッチングまでの過程は通常のマッチングアプリ同様、プロフィールを見て互いに「いいね!」しているので、いきなりデートほどの乱暴感はない。

サービス設計思想としては「人は会ってみないとわからない」という考えなのだろうが、この手の「とりあえず会えよ」的なサービスは、会ってみた際のUXが2度くらい悪い場合が続くと、継続率はガクッと下がるだろう。検索型の場合は「この人と会う」と様々な材料を元に自分で判断するが、大した材料もない中で会って「微妙だった」という体験は、けっこうマイナスのインパクトとして覚えているものだ。

☆課題③の解決:相性が良さそうなら付き合う確率も高いのでは?

対応サービス:Tailor、Pancy、with

Pairsのような検索型でも、いきなりデートのような強制面会型でも良い。とりあえずマッチングアプリで会ってみた。しかし、最大の成果である「付き合う」まで至らない。数はこなしてはみたが…

ここのデータを拾うのは難しいが、会って付き合うに至る確率は、TheStartup調べによると3-10%程度と思われる。10人から30人会えば1人付き合える。人によってはもっと多いだろう。ちなみにあくまで「付き合う」なので、「付き合う以外のコンバージョン」はここにはカウントしない。

Pancyは最近mixiグループのクトからリリースされているが、性格検査による相性診断が組み込まれている。これは旧くはイグニスのwithなどもあるが、私はこの領域はユーザーとしての体験に乏しく、体験談を語れない。

Tailorもmixiグループのダイバースのサービスで、これは結婚相談所の手前のようなサービス。ユーザーは全員カウンセラーと面談し、性格診断とカウンセラーの定性的な判断を組み合わせて、ユーザーに「この人どうですか?」と提案する。

自分自身の判断のみではなく、第三者の判断が入っていることから、「会ってから付き合うまでの確率」は一般的な検索型サービスよりも高そうである。(データがないのであくまで感覚値)

とりあえず何かのマッチングアプリに登録。が普通に?

長くなったが、国内のマッチングアプリはPairsやタップルを中心とした「検索型」が席巻する時代から、細分化が進む第二世代に突入した感がある。課金モデルによる収益性の高さから、多くのサービスが市場に投入されているが、広告費の高騰に苦しみ喘いで、ほとんど撤退していくのが筋であろう。

しかし、ユーザー視点では米国の既婚者の16%がマッチングアプリ経由というデータもあり、日本国内においてもマッチングアプリの利用が浸透していくことは明白である。

マッチングアプリがない場合、①学生時代からの友人、②仕事関係、③合コン、④結婚相談所の4つくらいしか選択肢がなく、特に社会人になってからは人材交流の流動性は非常に低い。

アラサー女性にヒアリングすると①はアラサーになると既婚友人も増えてしまうので、結果的に③に誘われる回数が激減してしまうという。30代女性の合コンというのは、かなり希少な機会のようだ。

確実にマーケットはあり、Winner takes allではない市場(少なくとも私はそう仮説を立てる)なので、細分化されたマッチングアプリからもういくつかヒットサービスが出てくるのではないだろうか。

ユーザーにとっては、とりあえず登録しておいて、恋人がいる時は「エンタメ」利用や「エアモテ」利用で楽しみ、恋人がいなくなると会ってみようかな的なノリでメッセージを返してみたりする。

男性にとっては、良い出会いがあるのであれば、月4,000円など全然痛くない。むしろ保険的感覚で支払っておこうという文化になる可能性が高いのではないだろうか。普段はエンタメ感覚。非常時は恋人探し。的な位置付けになっていくのではないか。

一方で、彼氏がマッチングアプリに登録していることを知り、「浮気だ!」と言って別れたというケースも最近聞きましたが。

読者の皆さん、国内のマッチングアプリ市場は今後どうなっていくでしょうか?私の予想は「市場は結構拡大し、Pairsやタップルを別の価値軸で脅かすアプリがいくつか登場する」という見解です。そのアプリが本稿で紹介した中にあるかどうかは定かではない。

特に20代のユーザーに意見を聞いてみたい。30代以降の人と20代とでは、マッチングアプリに対する感覚が全然異なりそうである。



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