取引回数×成約単価別C2C分析:バーティカルに月額化の余地あり?

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ここ数年トレンドワードとして定着した感のある「C2C」サービス。当初は消費税増税がとか、モノ余りな時代なので中古品を売って換金するとか、格差拡大で安く中古品を欲しがる層が増える、といった社会的トレンドを見立てた起業家が多かったように思えます(C2Cは国内では2013年ごろから急増しました)。

そこで改めてC2Cをジャンルごとに分け、国内のプレイヤーのおさらい。ないしは勝ち筋となる条件について本稿で考えてみたいと思います。

取引単価と取引回数が肝

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久々に出た通称Umeki Mapです。基本的にC2Cでは「取引単価」「取引回数」がベースだと思っている派です。他の要素も後述しますが。ちなみに今回のマップでは「モノ」が「サービス」に絞っており、Airbnbのような「場所」は省いています。

私は単価が高いビジネスが好みですが、不動産や車など単価が高ければ成約単価の10%を手数料とすれば、1,000万円の車が売れれば100万円手数料が入る訳です。これは1万円の中価格アパレルの1,000回の取引手数料に相当する訳で、でかいですよね。

成約総額=成約単価×成約回数、ですから低価格市場では成約回数はめちゃくちゃ多くないとビジネスが成り立ちません。次に上記マップに国内主要プレイヤーをプロットしたものを貼ります。

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ちなみに1枚目の図で赤カテゴリーにしたものは勝者がほぼ確定したなと思っているサービスです。デーティングならPairs、チケットならチケットキャンプ、低価格アパレルならメルカリ、です。

2枚目の図にメルカリとジモティーが2つロゴ入っていますが、これは誤植ではなく、両社ともオールジャンルに近いのであえてそうしています。

低単価で取引回数少ない象限:本当に回数少ないか?

普通に考えると左下の象限が最弱で、右上の象限が最強です。まずgifteeに関しては単価も高くないですし、ギフトを日常的に送りあう文化も日本にはなく取引回数は少ないと思われます。よって、真っ先に「ないな」と思う訳です。2012年ごろからあるサービスですが、未だブレイクしているとは言い難いのでは。

次にCreemaはハンドメイド品です。GCPが出資していますが「Etsy上場してるしね!」というノリなのでしょう。ハンドメイドは低価格が多いかと思いますが、一定の固定ファンが買う回数が多く、ARPU自体は高いかもしれません(あくまで仮説)。ちなみにEtsyの時価総額は2,000億近いですが、未だ赤字です。一時期は1,000億を割ったようですが。

興味深いのはココナラです。ココナラは「サービスC2C」のオールジャンルに見えます。中でも占いやイラストが強いと聞きましたが、1度利用したユーザーが出品者に転換したり、他カテゴリーも利用するというクロスセルでのアップセル現象が結構起きていると耳にしました。そう考えると、ユーザーあたりの平均利用回数は伸び、APRUも上がります。「占いのバーティカルC2C」とかよりはアップサイドがありそうです。

高単価で取引回数少ない象限:寡占しやすいのでは?

メルカリやジモティーにも「車」「不動産」カテゴリーが存在しますが、単価が高いジャンルは業界特有の空気的なのがありそうで、専業の方が強いかもなと思っています。

もちろん総合C2Cでも成約はするのでしょうが、買い手もバーティカルサイトの方が安心するのではないかと。その意味では、中古車のAncarは注目しています。株主のCAVに少し話を伺いましたが、期待して良さげな香りでした。

家事やベビーシッターなどのインフラなら月額課金を

カテゴリーごとに取引に再現性があるものとそうでないものがあります。たとえば、不動産とかは1度買うとしばらく同じユーザーが買うことはないでしょう。

一方で家事(掃除)やベビーシッターはインフラに近く、継続的に使うと便利です。C2B2Cですが、私は家事代行でベアーズを1年以上利用しており、月2回で月額7,500円くらい。年間APRU約10万円です。インフラカテゴリーこそいち早く月額制に持ち込むのが吉だと思うんですよね。ユーザーが毎回誰を選ぶか考えなくても良いくらいが、楽で良い。

習い事も1度だけより継続した方が定着するし意味があります。かつてC2Cの習い事といえばCyta.jpでしたが、ストリートアカデミーは1対Nの教室型ですよね。しかし、サイトを見る限り継続教室ではなくワンショットが多く見えるんですよね。私なら美人モデル英語教室全10回コースとか、そういう講座をたくさんソーシングしますが。

本来月額の必要性がなかったはずのPairs

継続性と課金モデルで革命的だったのはデーティングのPairsでした。Pairsで月額課金して、いつまでもデート相手探しているやつって、いかがかと思うのですがw 本来はマッチングしたら1通メールするのに従量課金するモデルが多かったのではと。(出会い系はそれ系が多いのでは)。人同士の成約なので、成約単価という概念は存在しないんですよね。男Aが女Bとマッチングしたら10万の価値、とかはないわけです。

Pairsは月額にすることでマッチングしたらどれだけメッセージ送っても定額ですよという形とした。これによって、チャラ男にとってはお得ですし、月に1,2回しかマッチングしなくても月額4,000円程度なので、不毛な飲み会に参加するよりはマシだという絶妙なラインを突いているわけです。課金しても1人も会えない確率もゼロではないわけです。

Pairsは月額にすることで(不必要に支払うこともあるので。月額サービスはサービス享受していなくても一定の人は支払い続ける)成功したのではないかと思います。従量課金だけであれば、男性からのメッセージはそこまで活発にならなかったのではないかと。こいつにメッセージするのに200円か…とか1回ごとに意思決定しなきゃいけないと、課金ハードル高いと思うんですよね。

TheStartupのC2Cへの見解のまとめ

上記考えたこと+αとして、C2Cへの雑感をざっくりまとめておきましょう。

・取引回数と成約単価が肝で、回数多いか単価高いかどちらに振り切るかが重要
・インフラカテゴリーは月額に適しており、月額化の余地があるサービスが多い
・一見月額に適していないカテゴリーでも、発想の転換で月額化してブレイクスルーすることもある(Pairs)
・Pairsの例から、月額化は「バーティカル」の「サービス」C2Cに有効という仮説
・買い手が売り手に転換する、複数カテゴリーでの売買が活性化してAPRU上がる場合もある(ココナラ)

そんなところでしょうか。他にC2Cの成否の鍵について思うところある方いらっしゃれば、記事をツイートしたり、メッセージください。C2Cが普及していくのは不可逆な流れでしょうね。時間軸をどれくらいで見るか、というだけで。以上です。



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