スマホで最後の大玉?5つのスタートアップ動画メディアを比較

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國光さん曰く「スマホで最後の大玉市場」という動画市場。本誌でもたびたび取り上げてきたが、2016年に入ってC向け動画サービスが勃興してきて、プレイヤーが出揃ってきた感がある。

本稿では各動画プレイヤーに対する所感と、今後の展望を述べる。

動画

各社の「月間1億再生!」は盲目的に信じるな

いきなりこれをいうかという話だが、各社がリリースを出す「月間1億再生突破!」とかはどうでもいいと思っている。これはあくまで広告主向けのメッセージだ。Facebookのタイムラインでは自動再生されても1再生にカウントされ、Facebook上でいかに金を積むかと再生回数はかなり連動すると思っている。言い換えると「Facebookにこれだけ金払ってますよ!」と高らかに宣言しているようなものな気がする。

本質的にはFacebookでは「視聴完了率」が重要なKPIであろうし、各ソーシャルメディア経由ではなく、本体アプリのアクティブが高いに越したことはない。

「分散型メディア」が2015年からバズワード化し、今回紹介するサービスの中にも「本体サイト」をまだ持たないメディアも存在する。しかし、最終的には自前のサイトやアプリを持ち、そこのアクティブ率をいかに高めるかの勝負であると思う。

2016年における「スマホ動画メディアの戦い」は、2014年頃の「キュレーションメディア(MERYなどの話で、グノシーなどの話ではない)」の戦いと構造的には比較的似ている気がします。

最終的には「ブランド」を構築できたところが勝ちで、「ブランド構築」のためには「業界の先頭を走り切る」そしてそのためには「資金力があるほうが有利」であると思います。

5大動画メディアサービス比較とジャンル別収益予想

本誌が注目するスタートアップ動画メディアサービスを5つピックアップしました。2016.7.24時点での情報をもとに整理します。FBファン数はあくまで「各社の一番大きなページのみ」のカウントで、分散型の各ページを合算したものではないので悪しからず。

動画1

動画2

当然ではありますが、古参サービスの方がFBファン数は多い傾向にあります。

特徴としては5サービスの中では「MINE」はファッション特化型で「GINI」というECアプリも出しており、EC売上を狙っているという点。LeTRONCは動画アドネットワークのVideoTapを提供するOPEN8のサービスであり、母体がアドテク会社であるという点が大きく異なります。他3メディアは純粋にメディア事業がメインであると考えられます。

<ファッション>

各メディアの提供コンテンツの「ジャンル」に目を向けましょう。MINE以外は「ファッション」はあまり注力しておりません。実は「ファッション」は非常に敷居の高いジャンルであり(これは私も実務で東カレWEBをやっているので理解できます)新参者が「ちーっす」と参入できるジャンルではなかったりします。

しかし一度広告が取れてしまえば、かなり大きな予算を持つ広告主が多いことから、バコバコ売上が上がっていきます。MINEを提供する3MINUTESは動画制作とインフルエンサーアサインも強みとしていることから、その辺と動画配信をパッケージに、ファッション系クライアントからの売上を積み重ねているとみます。「ファッション系」は参入障壁が高いですが、売上が上がる分野であり、その点においては3MINUTESに優位性があります。

<グルメ>

一方でMINE以外が手がける「グルメ」ジャンルは実はさほど広告ポテンシャルは大きくありません。東カレWEBを手がける私が言うので、説得力はあると思います。内食系広告主のポテンシャルはありますが、クックパッドの広告事業かて年間売上は50億程度なのです。あまり大きくない牌を数社で分け合うのは美味しくはないジャンルです。

考え方次第ですが、クッキング動画は「客寄せパンダ」と割り切った方が良いかもしれません。グルメ系でグロースしてそこで取れる広告主の広告単価は、ファッション系の単価には遠く及ばないでしょう。

<ビューティー(美容)>

ファッションとグルメの中間くらいの収益ポテンシャルがある広告主が、美容系かと思います。これはハウツー動画などで、C Channelに今のところは先行者優位性があるといえそうです。女性向け化粧品、資生堂とかP&Gとか相当な予算持ってますから、そこの広告費をどれだけTVCMなどから奪えるかがポイントかと。

その他の「イベント」「旅」はさほど収益性が良くないのでは。メディアを広告ビジネスで売上を立てる際には「どのジャンルの広告予算が大きいか」ここを外してはいけないと思っていて、「このジャンルならまだ競合が少ない」とかニッチジャンルで攻めるのではなく、とにかくでかい市場を。

広告ビジネスにおいては、ジャンルニッチのトップより、大きい市場の2位の方が、スケーラブルであると感じます。

シミレーション:2-3億で1サイクルを回すというプレイか

スタートアップによる動画サービスプレイ。経営シミュレーションをしてみましょう。「経営」においては「MERY」などのキュレーションメディアよりも「グノシー」のようなキュレーションアプリの戦い方に近い気がします。

①:コンテンツを得る(含むCGM)
②:再生回数を得る(視聴者を得る)
③:広告を得る(売上を得る)

基本はこの繰り返し。キュレーションメディア領域の戦いの際は、首位のMERYが早々とDeNAに買収されてしまったので、アーリーステージでの②にあたる「広告投下」プレイはあまりありませんでした。そこはSEOに代替されていたともいえます。いまやMERYもTVCM打ったりと、広告投下フェーズに入っていますが。

キュレーションアプリではグノシー vs スマニューの広告投下プレイが凄まじく、その結果としてグロースが早かったといえます。今回の動画メディアでもC Channelを中心に②のために広告を派手に投下するプレイは結構やっているでしょう。

それがまだTVCMというフェーズではなく、オンライン広告、中でもFacebookに寄せていると思われます(アプリDL広告も一部あるでしょうが、比率はFacebookが高そうという本誌予測)

すごく簡単にですが具体的な数値を置いてみましょう。仮にC Channelとしてみます。(あくまで簡単な想定であり、実態は知りませんので、あしからず。算出例までに)

①:CGMコンテンツ制作単価2,000円で5,000本=1億円
②:Facebookファン獲得単価100円で100万人=1億円
③:広告獲得状況は実際は知らないが年間契約系数千万を数本と仮定

①のコンテンツ制作は内製もあるでしょうから実際の単価はもっと高いはずです。②はファン獲得であり、リテンション広告は含んでいません。C Channelは累計20億以上の資金を調達しているので、①と②は何ターンかをグリグリ回せます。

キュレーションアプリと異なるのは、コンテンツを作らなければならないという点で、キュレーションアプリの戦いにおいては①は存在せず、②と③を頑張る。特に③は広告ロジックの最適化とかで収益性は変動する、というのが私の理解です。

単純だが、結局スケールしたもの勝ちなのでは

①のコンテンツを低単価で仕入れた方が後々スケーラブルに見えるというのは、キュレーションメディアの戦いに似ています。①のボリュームと一部のエッジが立ったコンテンツにより、ユーザーをリテンションし、広告収益機会を最大化していくビジネスで、結局のところ当たり前の話ではありますが、スケールすれば勝ちです。

どの程度のスケール規模で「勝ち」とするかの基準は個々人で異なるでしょうが、「5-10年単位でのビジネス的持続性」という観点で見ると、キュレーションメディアはMERY以外の勝利は(少なくとも今のところは)なさそうに見えます。今後Locariとかがガーッと追い上げてくるのでしょうか。

サクッと1年くらいでM&Aまで持っていき、その後は大して伸びなかったという案件を「勝ち」とみなすのは違うかなと。

スマホ時代ではSEOで流入してくるユーザーが減り、スマホのファーストスクリーンという狭い枠での勝負に勝ち、いかに継続的にアプリを起動させるか、習慣に入り込むかの勝負です。

女性誌は紙では複数ありました。TV局も民放5局に後は細いのがチラホラ。スマホ時代では、それほど多くの数が等しく生き残るのではなく、雑誌やTVより少ないプレイヤーにシェアが集中するのではないかと思います。人によっては、KURASHIRUとDELISH KITCHEN両方見るわとなるでしょうが、そのようなユーザーは限りなく少ないのではないか。

女性向けキュレーションメディアのプレイヤーは5媒体くらい主要どころがありましたが、広告主や代理店サイドからの話を聞くと、かなりMERYにシェアが寄っている印象です。媒体によってはダウントレンドのところもあり、2018年には主要媒体のパワー差がかなり明確になっていると思われます。

基本的には動画も女性向けキュレーションメディアのような変遷を辿ることが予想されます。今回はスタートアップ動画メディアに寄せた話だったので忘れていましたが、Abema TVのDL数の勢いは凄まじいですね。

とはいえ、755もかなりパワープレーでDL数は伸ばしたものの、感覚的にリテンションは低そうなので、いわゆる「マーケットプロダクトフィット」の検証が甘い段階でTVCMでパワープレーすると、焼け野原になってしまうことがあるため、Abema TVも同様の轍を踏みそうな気がしないでもないです。

今後はAbema TVのリテンションにも注目しつつ、各スタートアップ動画メディアの動向を注視していきたいと思います。それにしても、主要VCはしっかりこの分野に張ってきていますね。

この分野で首位となるスタートアッププレイヤーは、少なくともグノシー級(300億)の時価総額をつけて上場までいけると思いますし、そのプレイヤーはC Channelであると本誌では予想します。短期的には3MINUTESの方が売上が立つのでしょうが、CGMであるC Channelの方が中長期でのスケーラビリティはあると判断。あとは、資本政策上の動きが肝で、両社に投資しているMr.ワタナベの手腕に注目です。

この先行2社が時価総額を高めている間に、KURASHIRUやエブリーがサクッとクックパッドに買収されるとかあると、面白いなと個人的には思っているのですが。

皆さんはスマホ動画メディア市場をどう占いますか?twitterなどでぜひご意見ください。



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