最近どんな投資家の投資件数が多いのかな?とふと気になりまして。
noteで販売しているウメキワークス用のデータベースを用いて、作成してみました。あくまで、各種テック系メディアの掲載を中心とした公開情報を拾ったもので、正確性は担保しません。
非公開案件や、抜け漏れもあるかと思いますが、「うちの件数が違う!」などのご指摘をいただいても、「あくまで公開情報を基にした目安」ということで、今回は修正依頼などはご容赦ください。ちなみに今回は「個人投資家」は調査対象外としました。
ラウンドもバラバラですので、あくまで「どんな投資家がアクティブに投資しているのか」という指標の参考程度にしていただけますと幸いです。
投資件数の多さ=イケてるVCという指標はなく、むしろ投資基準がゆるい、ビッチ系VCとすら言える場合もあると思います。起業家がアタックするリストとしては有用な情報かと思います。
2017年国内VC投資件数ランキング(投資件数3件以上)
ソース:2017年1月1日〜9月12日までの国内スタートアップ資金調達案件約210件
☆投資件数目安:10件以上
SMBCベンチャーキャピタル:20
SBIインベストメント:15
みずほキャピタル:13
三菱UFJキャピタル:13
ジャフコ:11
三井住友海上キャピタル:10
ジャフコはリードが多いですが、他はフォロー系VCが多いですね。銀行系はフォロー案件が多いので、件数は積み上げているという結果に。
ここ数年の中では、SBIインベストメントの件数がかなり伸びているのが印象的で、グッドパッチにすらFinTechファンドから投資するという、強引さも感じています。
☆投資件数目安:5件以上
ニッセイキャピタル:9
500 startups Japan:9
ベクトル:9
GCP:8
Draper Nexus Ventures:8
Klab Venture Partners:8
ジェネシア・ベンチャーズ:8
産業革新機構:8
ANRI:7
大和企業投資:7
インキュベイトファンド:6
Skyland Ventures:6
Beyond Next Ventures:6
未来創生ファンド:6
East Ventures:6
YJキャピタル:5
D4V:5
TLM:5
環境エネルギー投資:5
5-10件はかなり様々な投資家がいますが、シード・アーリー系の投資家は投資件数が増えやすいといえます。この中で異彩を放っているのが、ベクトルですね。事業会社ですが、9社に投資しています。フォローが多いのでしょうが。
☆投資件数目安:3件以上
フリークアウト:4
エボラブルアジア:4
コロプラネクスト:4
エイトロード(旧フィデリティ):3
アコードベンチャーズ:3
BEENEXT:3
オプト:3
DGインキュベーション:3
DCM Ventures:3
GREE Ventures:3
アドウェイズ:3
西武しんきん:3
ツネイシキャピタル:3
ここも様々な投資家の顔ぶれ。事業会社では、フリークアウト、エボラブルアジアあたりが積極的ですね。
2013年国内VC投資件数ランキング(投資件数3件以上)
比較対象として参考までに、2013年版も手元にデータがあるので調べました。1億以上出資のデータしかないので、2017年と全く同じとはいかないのですが。
ソース:2013年1月1日〜12月31日までの国内スタートアップ資金調達案件約80件
☆投資件数目安:5件以上
ニッセイキャピタル:11
ITV:9
ジャフコ:9
SMBCベンチャーキャピタル:6
KDDI:6
GCP:6
YJキャピタル:5
首位はニッセイ。当時は「俺たちのニッセイ」という合言葉がスタートアップ業界の暗黙の言葉としてあり、GCPなどに断られても、最悪ニッセイが出資してくれる。それくらい、DDがゆるい。ニッセイ(笑)という風潮がたしかに存在した気がします。最近はそうでもない気がしますが。
2017年と大きな傾向の違いとしては、ITV(伊藤忠テクノロジーベンチャーズ)の存在感があったことです。2017年はTS調査ではボクシルに出資したのみ。2016年も4件なので、2013年が投資件数のピークだったのかもしれません。
☆投資件数目安:3件以上
サイバーエージェント:4
産業革新機構:4
ドコモイノベーション:4
DGインキュベーション:3
みずほキャピタル:3
NVCC:3
フェムトキャピタル:3
5件以上でもありますが、KDDIやドコモの投資が、2017年と比べて積極的です。KDDIはグローバルブレインのKOIFに移行している場合もあるのでしょう。
事業会社ではサイバーエージェントが藤田ファンドで鳴らしていた時代でした。ちなみにこの4件は、レアジョブ、クラウドワークス、ウォンテッドリーの3社が上場。もう1件はBASE。藤田ファンド、恐るべしヒット率。
2013年と2017年の国内投資家傾向の違い
上記の2つの年代を比べると、このようなことが言えそうです。
・投資件数と投資家数が共に確実に増えている
・事業会社の投資家が増えている。フリークアウトやエボラブルアジアなど、2013年には未上場だった企業も積極的に出資しており、エコシステムが発展してきている
・ジャフコ、ニッセイ、GCPはコンスタントにシリーズA以降の投資を継続しており、主要プレイヤーといえる
・金融系VCがフォローで投資する案件がかなり増えた
・アーリーステージの投資家数が増えている。500 Startups、ジェネシア、ANRI、Skyland、TLMあたりの件数の存在感がある。
以上です。
起業家たちの資金調達の参考になりますと、幸いです。
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