先日、B Dash Camp2018Spring福岡のピッチアリーナの本戦出場企業を事前に予測するという記事を出しましたが、本戦出場6社中4社が的中していました。悪くない的中率ですね。
優勝は薬剤師向けSaaS「Musubi」を提供するカケハシ、スペシャルアワードはjustInCaseでした。
いや〜、TheStartup予想のHERPは外しましたね。しかし、ピッチの内容を聞くと、明らかにカケハシのトラクションが出ているので、納得感は高かったですね。月商4,000万円すでにでているし、解約率低そうなSaaSモデル。ちなみに過去のピッチアリーナの中で最大得点だったようです。
各社紹介の冒頭には、前回記事と同じ情報を貼っておきます。全ては記載できていませんが、会場での審査員からの質問による登壇者の回答も記載しています。
ちなみに、B Dash Campの初日のクラブでのアフターパーティーはピッチアリーナの予選に敗退した方々が「なんて予想記事を出してくれたんだ!」と言わんばかりに、私に向かってエレベーターピッチをかなりの数の起業家の方々がされていきましたw
直接ピッチされると多少評価が変わることがありますね。whatsmoneyの方が「うちはモゲチェックよりイケる!」と力説されていたのが印象的でした。
☆TheStartup予想
<優勝候補>
HERP:HR(自動連携採用管理)
Subdream Studios:VR(ソーシャル)<妥当な線>
ベルフェイス:インサイドセールス
ニューレボ/ロジクラ:クラウド在庫管理(AI)
カケハシ:ヘルスケア(薬剤師)
<大穴>
FactBase:仮想通貨(AI)☆実際の出場企業
HERP:HR(自動連携採用管理)
Subdream Studios:VR(ソーシャル)
ニューレボ/ロジクラ:クラウド在庫管理(AI)
カケハシ:ヘルスケア(薬剤師)
justInCase:FinTech(P2P保険)
ラボナビ:研究支援
審査員は下記の方々でした。敬称略。
朝倉祐介(シニフィアン)
福島良典(Gunosy)
木村新司(DAS Capital)
國光宏尚(gumi)
塩田元規(アカツキ)
HERP:自動連携による採用管理SaaS
投資家:赤坂優氏、西川順氏
前回ラウンド:2017/12/19に数千万円調達
記事URL:こちら
企業HP:こちら
ウメキワークス評価:B
採用関連の事務作業を、自動化一元化するというサービス。HPなどを事前に見た情報と、特に印象は変わらず。
定量的な話としては、採用アシスタントの人件費は月40万円程度で、事務作業に充てられる人件費は推定1.5兆円程度ある。採用に関する人件費を75%圧縮する。
2018/2までに500社の企業が事前登録しており、大企業の事前登録も多い。まだプロダクトがローンチしていない中で、コンセプトだけでもウケが良い状態です。
事務作業の自動化一元化のみならず、採用マーケティングプラットフォームを目指すとのことです。
Q:ベータ版の利用状況は(國光氏)
A:20社程度。月間5-10万円くらいでのSaaSモデル。
Q:なぜ今までこういうモデルが成立していなかったというインサイトを聞きたい(塩田氏)
A:中立な立場だからできる。一元管理する事業なので、エージェントなどの立場からは事業ができなかったのではないか。
Q:どこと連携しているか。ユーザー企業の課金率の想定は(木村氏)
A:web系の媒体が主に多い。課金率は根拠はないが50%程度と見ている
ラボナビ:研究室の購買データ管理SaaS
企業HP:こちら
研究室は非常に非効率で、紙で購買情報が管理されていたりする。ラボ・研究施設の購買情報をワンシステムで完結できるサービス。
購買の手間が1/3、購入金額は8%ダウンという効果が、東京医科歯科大学への導入で実証された。
18施設80ラボにβ版で導入している。
ANRIやメタップス?が投資家として名を連ねているようです(メタップスはパートナーかも)
Q:ビジネスモデルは(國光氏)
A:ラボ単体で月額9,800円から。ラボの売上は年間2,000万円くらいを目標にしている。
Q:どの財布からこのサービスにお金が支払われるのか。大学などの予算を動かすのは難易度が高そうだが、大学側の導入インセンティブは何か(福島氏)
A:ラボの運営費からと考えている。不正防止になるので、導入インセンティブがある。
Q:購買システムは相当数世の中あるはずだが、それらとラボナビはどういう差があるのか(塩田氏)
A:業界のルールがあり、取り扱いが難しいものが入っていて、そういう場合専門商社を通さなければならない。
Q:大学ごとにルールが異なり、SaaS的に提供する際に、個別チューニングが必要になってこないか(朝倉氏)
A:汎用的なサービスなので、なんとかなるかなと。。
うーん、個人的にはよくこれで本戦に進出してきたなと感じました。
ロジクラ:需要予測のできる在庫管理型SaaS
投資家:ジェネシア・ベンチャーズ
前回ラウンド:2017/12/20に5,000万円調達
記事URL:こちら
企業HP:こちら
ウメキワークス:B
過剰在庫が原因で、1週間に1社倒産しているという。勘や経験で発注するしかなく、紙での管理となっている。
中小の卸売小売り企業は120万社あり、全体の卸小売りの93%とのこと。
ロジクラを使うと、アナログな作業から70%の工数が可能となった。業界トップシェアのキーエンスのデバイスでもできないという。
事前登録60社の問い合わせがあり、ターゲットはまずはアパレル化粧品などの4.2万社からとしている。
従量課金がビジネスプランで、数年後に年商60億円を目指している。
Q:ユーザーはECか(朝倉氏)
A:最初はECで、その後リアルな小売りに広げていく予定
Q:どこと連携しているか(木村氏)
A:現状はSTORES.jpやshopifyと連携している。今後はヤフーショッピングや楽天とも提携したい
Q:どの領域が一番導入されやすそうか。導入ハードルは何か(塩田氏)
A:一番課題が大きいのはアパレル。サイズや色などの複雑なSKU管理が必要で、ロジクラはそこに対応できる。オペレーション上、初期のセッティングに工数がかかるので、導入に時間が多少かかる。
Q:専用デバイスがさほど普及していない理由(福島氏)
A:業界トップシェアのキーエンスでもデバイスが30万円する。中小企業にとっては高いので、普及しづらいのでは。
Q:具体的にどう事業者がターゲットで、いくら払っているか(國光氏)
A:自社で物流を行っている事業者がターゲットとなる。有料課金は4社で、基本料金+出荷機能に応じた従量課金で月1-3万円程度
Q:顧客をどう集めるのか(福島氏)
A:3つある。1つ目は銀行やSIerを販売パートナーとして迎える。在庫データが見えることで融資に繋げやすくなる。2つ目は既存のEC事業者。3つ目はプラットフォームとして進化したいので、PaaSになりたいと考えている。
カケハシ:薬剤師向けSaaS
投資家:Draper Nexus Ventures、GREE Ventures、500 Startups Japan
前回ラウンド:時期不明
企業HP:こちら
薬局薬剤師向けに提供。コンビニより数が多く、日本全国で6万店ある。
薬局のペインポイントは、薬を受け取るだけのイメージがあるが、対物業務ではなく対人業務をしろと厚生労働省から圧力がかかっている。
薬歴を記載する必要があるが、人によっては2時間かかるものを、15分程度で可能になる次世代薬歴記入サービス「Musubi」を提供している。
SaaSで初期費用100万円+月3-4万円程度がメインだが、初期費用数千万円+月数百万円の大手での導入事例もあるとのこと。
Q:何店舗くらいに導入しているか(福島氏)
A:問い合わせが7,000店舗あって、そこから実際に訪問してからのCVRが60%程度。70社に導入されていて現状は継続率100%。月商は4,000万円程度
Q:そもそも薬局は利益出てるいるものなのか。カケハシのコストは(塩田氏)
A:薬局は普通の小売業よりも粗利率が高い。初期導入でいろいろ手順を教えるコストがある。
事前の本誌のコメントでは、HPからだけよくわからず、薬剤師と患者のマッチングサイトとか書いてましたが、全然違いましたねw
B2Bで問い合わせれば良いのでしょうがHPわかりにくいですねw プレゼンを聞いたら、全然良さげなサービスだなと感じました。トラクションも出ていますしね。審査員の木村氏も「ツッコミどころがない」とおっしゃっていました。
CEOのバックグラウンドも元武田薬品で、家計に医者や薬剤師が多いという、業界のインサイダーである点も、痒い所に手が届くサービス設計を実現できそうですよね。
Subdream Studios:ゲームのトークンエコノミー
投資家:cognitive investments、ジェネシア・ベンチャーズ、DeNA、HTC、Macro
企業HP:こちら
CEOは元コロプラUSAの社長なんですね。1.6Mをシードで調達。バンダイナムコと協業でゲームを出している。韓国のオンラインアーケードに投資している。
価値の分配が平等か?ということに疑問を覚え、プレイヤー中心のゲームプラットフォームを作りたいと考えている。要はゲームのトークンエコノミーの提供です。
Q:VRの受託もしていると思うが、VRとブロックチェーンどっちか(國光氏)
A:VRとブロックチェーンが繋がるわけではなく、ゲームとブロックチェーン
Q:トークンの仕組みはどういう仕組みか。例えば、モンストのトップユーザーがモンスト自体の利益も享受できるような仕組みか(福島氏)
A:そのイメージで合っている
Q:普及のハードルは(塩田氏)
A:イーサリアム上での展開を考えていたが、トランザクションに時間と費用がかかってしまう。なので、イーサリアムを用いない独自のトークン設計も考えたほうがいいと思っている。
Q:なぜそのトークンを持つと株式のような価値になると考えるか(木村氏)
A:トークンの数に限りはない、ブロックチェーン上では数に限りがあるから。需要が上がっても、供給が制限されているので、価格が上がるから株式のような価値になると考える。
Q:一つのタイトルか全てのタイトルか、どちらに適用するトークンか(朝倉氏)
A:全てのタイトルに適用するトークンを考えている
普通にVRゲームのクオリティが高いので只者ではない企業だと思っていましたが、ゲームのトークンエコノミーが成立すると面白そうですし、國光さんもトークンエコノミー二関心がある割に、自社のゲームに適用させる的な動きが今のところ見られないので、跳ねると跳ねそうな企業だなと感じています。
justInCase:保険を変える保険会社
投資家:500 Startups Japan、青柳直樹氏
前回ラウンド:2018/02/07に3,000万円
記事URL:こちら
企業HP:こちら
ウメキワークス評価:D
2018年5月には認可が降りるらしいとのこと。保険商品は300年間変化がない。P2P保険という、友達を紹介すればするほど保険料が安くなる保険。
最後のほうで疲れていて、あまり頭に内容は入ってきませんでした。
Q:マーケティングは(木村氏)
A:毎日スコアリングするシステムは既存の保険会社にはない。大企業に声をかけてもらっているので、プロダクトの独自性で、広告ではなく(アライアンス的な感じで)伸ばしていきたい。
Q:先行事例は(塩田氏)
A:中国にはこのジャンルで時価総額1兆円規模で上場しているプレイヤーもいる。
うーん、私には全然しっくりこなかったんですけどね。グロースのイメージが持てなかった。
最後に雑感ですが、毎回ピッチアリーナ本戦出場企業から2-3社はそれなりにその後順調に伸びていっている気がします。一応参考までに前回記事を下記に紹介しておきます。
・ピッチアリーナの優勝は貿易業務効率化のサークルイン #bdash2017夏
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