次世代のメディアについて、最近ぼんやりと考えています。
先日、Umeki Salon内限定でFacebook Liveをやってみました。サロン内でのライブは初めてだったのですが、自分の公開ライブでやるのとは全然違った面白さがありました。
Umeki Salonはコアなメンバーが非常に濃いので、同時視聴者数が15-20人でもすごい濃い人たちが視聴してコメントしてくださります。
インスタライブやSHOWROOMもたまに見るのですが、そこでのライブ体験と、サロンでのライブ体験は結構違う気がしました。
インスタなどは基本1対Nな感覚があるのですが、サロンでのライブは出演者(この日は経沢さんにご出演いただいていました)と視聴者(ほとんど知り合いだった)が顔見知りである確率も高く、ゆえに親近感が非常に湧きやすかった。
一般的にライブサービスは視聴者数が多い方が配信者はエクスタシーを感じやすいかと思いますが、サロンでのライブ配信はサロンの人数の5-10%くらいが視聴するのがリアリティある数字だと思います。500人のサロンなら同時視聴は25人。
しかし、この25人同士が知り合い同士だったりすることもあるという点が、既存のインフルエンサーによるライブ配信とは異なり、そこに面白さがあるのではないかと。
「知り合い率が高い」というのがポイントで、一度話したことがあるくらいか、オンライン上での存在はお互い知っている、くらいの弱い繋がりです。
実はサロンで神レイヤーからよく聞くのは「オンライン上で見たことある人をサロンを通してより身近に感じた。実際にオフラインで知り合うことができた」という話。
例:経沢さんが、Umeki Salonを通して田端さんに親近感を持ち、田端さんのVALUを買って田端サロンに加入した。そうです。(田端さん、私も貢献しているんですよ!)
サロンのように「弱い繋がり」を生み出し、そこから有機的な繋がりや、深い関係性に発展させるというのは、現時点ではFacebookグループが一番それをやりやすいわけですが、インターネットを活かしたメディアの進化系としてアリなのではないかと思います。LIVE配信も有効な手法の一つになると思います。
メディアも編集長や編集者のキャラが立ったメディアもある一方で、名無しの権兵衛的なメディアもあります。特性的には、雑誌は作り手のキャラを立たせやすく、新聞など公共性の高いものは個人を前に押し出すことをあまりよしとしない風潮がありそうです。
実は私は東京カレンダーのプロデューサーを7月で退任しているのですが、インターネット業界では私のイメージが強いとは言われたものの、私自身は動画に自作自演乙な感じで出演したくらいで、WEBも含めての紙面には一切登場しませんでした。
非常にバランスの取り方が難しかったというのが事実なのですが、他のメディアでは編集長が良くも悪くも全面的に出ている場合もありますが、編集長は天皇的な象徴にすぎじ、編集長が読者に対して己とのコミュニケーションをコンテンツとして売っている雑誌はおそらくまだないと思います。
私が考えるに、次世代の雑誌的編集者は、コンテンツ作成能力というコア能力を軸にしつつも、そのメディアの世界観を広めるためのコミュニケーション能力を持っていると良いと思います。
これは自らのSNS発信力もあれば、リアルでイベントを主催して読者とコミュニケーションする。ひいてはLIVE配信も。おそらくコミュニケーションの密度は下記のようになる。
1.リアルイベント(同期)
2.オンラインLIVE配信(同期+アーカイブ配信)
3.FBグループ(サロン的)
4.オープンなSNS
5.テキスト/動画の非同期メディア
上位に行けばいくほど濃いコミュニケーションなので、ユーザーエンゲージメントを上げやすい。
メディアに携わる個人プレイヤーは「政治家的コミュニケーション力」が高いと、どんどん有利になっていく。イベントやライブ配信で、読者に対して「どもども!何卒!」と直接対話していけるプレイヤーが、支持を伸ばしていけるのではないか。
コンテンツだけ作って満足!というメディアプレイヤーは、進化しないですし、これからの時代と合っていないでしょうね。逆にこの「政治家的コミュニケーション力が高いメディアプレイヤー」はまだ競合が少ないので、非常に美味しい市場です。
コンテンツを作って、届けて、読者と共有するところまでが、仕事なんじゃないでしょうか。コンテンツ・オナニストなメディアプレイヤーはまだまだ多そうです。コンテンツ・オナニストは原稿料2-3万円の世界から抜け出せないでしょう。
少し話が逸れましたが、「弱い繋がりを生み出して、それを深める機能を持つメディア」というのはあると良いと思います。プラットフォームで言えばFacebookがやっていることです。
弱い繋がりを生み出すところまでは、イベントとかでやっているメディアはたくさんあります。その繋がりを「深める機能」をうまく設計すれば、ユーザー体験としても好ましいですし、課金の香りもしてきますね。
ユーザーは名無しの権兵衛ではなく、一人の実名ユーザーとして捉えることができるか否かという思想が鍵になる気もします。