時価総額1兆円以上!超有名未上場企業6社の直近Valuation

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国内ネタが正直尽きてきたので、海外のユニコーン(時価総額1,000億越えの未上場企業)研究に年内は勤しみたいと思います。まずは入門編ということで時価総額1兆円を超える超有名企業6社(欧米のみ)に絞り、直近ラウンドのvaluationをご紹介。実は米国版TechCrunchにユニコーンのリストがあって、これ超便利ですね。

参考URL:CrunchBase Unicorn Leaderboards

この6社のvaluationを押さえておけば、インターネット業界の最低限の雑談ネタには困らないでしょう。

*valuationなどの情報は上記URLから引用。株主や資本政策に関しては本稿でフォーカスしないので、そちらを参照に。
*1ドル=120円で換算

1:Uber 6.12兆円

uber-logo未上場企業の雄・Uber。他でよく報道を見ていたこともあり、Uberについて個別で扱う記事を本誌で出したことがありませんでした。

<Uber事業数値>
2015年予約売上予測:108.4億ドル(1.3兆円)
2015年売上予測:最低20億ドル(2,000億円)
ユーザー数:1日200万人が利用(2014.12.31)
ビジネスモデル:手数料(乗車料金の20%)

参考記事
THE BRIDGE
東洋経済オンライン

ちなみに2015年10月29日時点の日産の時価総額は5.5兆円で、Uberは既に日産よりも時価総額が上。

いろいろ規制やデモなどもある中でグロースし続けるUberですが、日本国内ではさほど普及している印象を受けません。東南アジアではマレーシアのGrab Taxiがソフトバンクなどから出資を受け、時価総額は1,800億円でユニコーン入りを果たしている。米国ではLyftもいるし、Uberがタクシー業界のイノベーションを独占できるわけではなさそうだ。だが競合の手強さを鑑みても、タクシー業界や輸送手段のディスラプトは市場が大きく、Uberは上場後に10兆円企業となるポテンシャルが十分あるのであろう。

2:Airbnb 3.06兆円

Airbnb_Logo_Bélo.svg国内でもAirbnb周辺領域の事業も人気が出てきていますね。Airbnbも本誌では単独で過去に扱ったことはなかったようです。

<Airbnb事業数値>
2013年売上:2.5億ドル
2015年売上予測:9億ドル
2020年売上予測:100億ドル
ビジネスモデル:手数料宿泊額の約10%前後
(ゲスト支払いの6-12%、ホスト受取の3%)
参考記事:WSJ

尚、ヒルトングループの時価総額は2015年10月29日現在2.9兆円。僅かながらに未上場のAirbnbの時価総額が勝っている。2015年の売上予測は大きな誤差はないとして、2020年に1.2兆円の売上を上げることができればすごい。シェアリングエコノミーはそれだけ普及すれば爆発する可能性があり得ることを証明できるか。実際に空き部屋を宿泊商品化することが文化として定着すれば、かなりのスケールは見込めるであろうし、実際に文化として定着しつつある。

3:Snapchat 1.84兆円

snapchat-logo消えるメッセンジャーサービスSnapchat。

<Snapchat事業数値>
2015年売上見込み:0.5億ドル(60億円)
MAU:2億(2015.5時点)
ビジネスモデル:広告

メッセージング分野の買収案件は下記。

Facebook×WhatsApp:2.2兆 MAU4.5億(2014.2)
楽天×Viber:900億 MAU1億(2014.2)

性質が若干異なるとはいえ、WhatsAppとViberを類似に置くと、Snapchatのvaluationはどうなのか。3サービスのvaluationをMAUで割ると下記。

Snapchat:9,200円
WhatsApp:4,900円
Viber:900円

Snapchatは1MAUあたりの企業価値が9,200円となっており、Viberの10倍だ。こうした比較が無意味である可能性が高いことを否定しないが、ViberはMAUの割には割安であり、WhatsAppとの5倍の差はなんだったのか。FacebookによるディフェンスM&Aの可能性もあるが、Instagramのような大成功事例もあり、現時点でのMAU価値はあまり意味がない指標かもしれないが参考までに。

ちなみにUmeki SalonでSnapchatのvaluationを議題にあげたところ、消えるメッセージングであってもMAUが2億あればタイムライン広告などでしっかり稼げるだろうということで、優先株であれば投資したいという意見を何名かからいただいた。

4:Pinterest 1.34兆円

Pinterest_logo日本国内では2012年5月に楽天によるシリーズCでの1億ドル出資後に日本版UIの楽天化もあり、使われている印象がないPinterest。しかしその後しっかり1兆円企業の仲間入りを果たしている。Pinterestに関しては本誌では2012年1月に紹介している。2015年5月のラウンドで時価総額1兆円を超えた。

参考:なぜ女性はPinterestにハマるのか?

Pinterestは米国ではFacebookとLinkedinに次ぐ3位のSNSであり、Instagramやtwitterを上回る人気のようだ。ソーシャルコマースとしての期待もあり、Pinterest経由での売上が上がるECも増えているようだ。

<Pinterest事業数値>
2015年売上予測:1.51億ドル(180億円)
登録ユーザー数:1.76億人
MAU:1億(2015年9月時点)
ビジネスモデル:広告
参考記事:米国TCの記事を要約した西田さんのミディアム

西田さんの要約に助けられました。この場を借りて御礼申し上げます。米国では女性の半数がサインナップしているということで、日本の実感力は信じられないくらいPinterestはインフラになっているようです。Snapchat同様SNSであるがゆえ時価総額に対する売上の小ささは気になりますが、SNSは盤石な地位を築くとネットワーク効果で後々相当スケールするということで、現在の数値を議論するのは意味がなさそうです。

ビジネスモデルはPromoted Pinや動画広告のCinematic Pin、ユーザーにダイレクトに購入させる広告のBuyable Pinなどがあり、ECにとってはPinterestはモールのような集客措置になるのは明白です。ここに楽天はシリーズCで張ったというのは慧眼に敬服しますね。

西田さんによると現在Pinterestは1アクティブユーザーあたり1.44ドルの売上だが2018年には9.34ドルまで伸びるとの予測があるようだ。SNS関連はアクティブユーザーあたりの売上を後々伸ばしていける傾向にあるが、6倍も伸びるのだろうか。

5:Dropbox 1.24兆円

dropbox-logo-large-2000x678今回紹介の6社の中では比較的老舗で地味なイメージ。オンラインストレーズサービスで本誌の読者であれば1度は使ったことがあるはず。アカウントを持っていない人はいないだろう。直近の事業数値は下記。

<Dropbox事業数値>
想定売上:2億ドル(240億円。時期は2013か2014年)
ユーザー数:4億人(2015.7)
想定有料化率:4%という報道もある
価格:1,200円(一般)1,500円(法人)/月額
法人アカウント数:10万以上
ビジネスモデル:フリーミアム

ちなみに非常によく似ていながらもB向けよりなBOXは2015年1月に上場し、上場時の時価総額は28億ドル(3,360億円)で現在の時価総額は14.85億ドル(1,782億円)と約半減している。BOXの直近の売上は約年間2億ドルでDropboxの2013年から2014年の予想とほぼ同じ。BOXには日本からは伊藤忠及びITVがレイターラウンドで参加している。

DropboxはIPO時にはBOXのIPO時よりは売上が上がっているだろう。2014年1月の調達をラストラウンドにIPOできるのだろうか。今回の6社の中では唯一のB2B色も強い銘柄である。実際の個人と法人アカウントの売上比率はわからないが。

参考記事:TechCrunch

6:Spotify 1.02兆円

26-spotify.w1200.h6302013年6月に本誌でも紹介していたSpotify。

参考記事:日本上陸が噂されるSpotifyの事業数値と日本の音楽コンテンツ市場

2年前の時価総額32億ドルから3倍近くまで価値を上げてきています。音楽ストリーミングは2015年に入って国内でもLINE MUSIC、AWAが出て、グローバルではApple Musicが。とはいえ、この分野の先行者はSpotifyです。日本からはShinji Kimura氏が株主であることが界隈では知られている。

2015年10月も「日本進出の準備を強化」的な話が出ていたが、2年前からその話は変わっていない。国内ではSpotifyが参入する前にとの算段でLINE MUSICやAWAが参入してきたのでしょう。Spotifyの2014年の事業数値は下記。

<Spotify 2014事業数値>
売上:10.8億ユーロ(1,400億円)
純損失:1.62億ユーロ(210億円)
*1ユーロ130円換算
アクティブユーザー数:6,000万人(2013.6時点:2,800万人)
有料ユーザー数:1,500万人(2013.6時点:600万人)
有料ユーザー比率:25%(2013.6時点:21.4%)
ビジネスモデル:フリーミアム
参考記事:Spotify、2014年の売上高がついに10億ユーロを超える。音楽配信で攻勢続くも損失は拡大 

有料ユーザー比率が上昇している点は見逃せない。Apple Musicが脅威となるという説もあるが、むしろApple Music登場後も数字を伸ばしているようで、音楽ストリーミングというジャンルにアップルも参入することで、マスに認知が拡がり、結果的にSpotifyも恩恵を受ける流れになりそうである。

Spotifyに関してはジェイ・コウガミ氏が非常に詳しい。より詳しく知りたい方は下記からSpotify関連記事を漁ってみると良いだろう。

参考:ジェイ・コウガミ氏Spotify記事

以上、6社の有名未上場時価総額1兆円企業まとめでした。日本でよく使われいているサービスは、Dropbox、次にAirbnbという肌感覚です。反応があればアジア版もやってみましょうかね。案外この記事書くのに時間かかりました。3時間くらい。

グローバルで高い評価を受けている企業の時価総額がざっくりいくらくらいかを把握しておくだけでも、インターネット業界の雑学としては有用かと思います。参考までに国内で1兆円越えのインターネット企業はヤフーの2.8兆円、楽天の2.4兆円の2社のみです。あばよ。



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