腕時計には男の価値観が表れます。
私自身全く腕時計には興味がなく、時間なんてスマホでわかるし、なんであんなわけのわからない価格のものを買うのだろうと思っていました。しかし、30歳の誕生日にIWCのアンティークウォッチをもらってから、興味を持つようになりました。1年かけて僅かばかりの相場観が掴めるようになりました。
男性の腕時計は業種によってはビジネスシーンにおける信頼の証となることもあり、きちんとした大人の男性を印象付けるために必要なこともあると。人によっては部下が腕時計をしていなければ、腕時計を買うように注意することもあるようです。たしかに、アポイント中に時間を気にするときにスマホを見るのはインターネット業界以外では失礼だと思われかねません。
ということでビジネスアイテムとしての腕時計の必要性を今更ながらに理解したのですが、どんな時計を買うかでその人の価値観やセンスがわかる。
31歳の自分の誕生日に何か時計を買おうかなと思い、ピアジェやパテック・フィリップで悩んで結局買っていないのですが、そんな中「腕時計投資」なる概念を知り、面白いなと感じたので紹介します。
腕時計は実は30万円以上の場合は法人では経費にならず資産計上しなければなりません。他の財やサービスと異なり、価値が下落しにくい。アパレルは一般的に買値の5-10%程度で売れれば御の字ですが、高級腕時計の場合は最低半値程度で売れることも少なくない。それくらいは私も知っていました。
「腕時計投資のすすめ」という本で、買値より高値で売ることもできる。腕時計は投資になり得るのだと理解しました。
本書では様々な腕時計ブランドの解説から歴史的変遷やモデルの値動きまで追っています。興味深いエピソードとしては、日本でROLEXがブームになったのは木村拓哉がラブジェネレーションでROLEXのエクスプローラを身につけており、ドラマの高い視聴率とも相まって、そこから人気が爆発したとらしいという。
高級腕時計の価格も景気に大きく連動するし、需給関係でプレミア価格がつくこともある。しかし、一度ブランド力が上がった銘柄であれば、一時的に不況などで価格が下がることがあっても、しっかり景気に連動して価格が回復する。
売却時はヤフオクか店頭買取か店頭委託で、ヤフオクが一番高値で売れるらしいけど、ヤフオクをやったことがない私はめんどくさくて店頭を選ぶだろう。利益が出たに越したことはないが、それでもパテック・フィリップであればモデルによっては買値の8掛けくらいで売却できると想定すると、高くて購入に迷っても、気が少し楽になる気がした。
純粋に腕時計を投資商品と見立てて、将来値上がりしそうな時計を買うというところまでは私は至らず、あくまでアイデンティティの一部として、気に入ったものを買いたいと思う。それが将来的に資産があまり下落しないものであれば嬉しいというくらいで。
著者曰く、次に値上がりの可能性がありそうなブランドとしてはジャガールクルトとピアジェらしい。理由はパテック・フィリップほどまだメジャーではないが、質の高い時計を擁しており、ブランドのマーケティング次第では人気が出る。現行モデルは供給量も少ない場合があるので、5-10年単位で見るとブランド力が上がった時に、人気になり得ると。
こういう観点は、腕時計市場がどうなるという「マーケット」を見通し、その中でどの個別銘柄の成長性が高いかを選ぶという点においては、ベンチャー投資と似ているなと感じた。
読者の皆さんはどこのブランドのなんというモデルの腕時計をされていますか?できれば選んだ理由とともに、twitterやコメントなどで教えてください。なぜその時計を選んだのかという価値観を聞くのは面白そうですよね。本田圭佑氏は雑誌のインタビューで高い腕時計を買って、自分がそれに見合う価値ある人間になれるよう、ストレッチしたというエピソードを読んだことがあります。
女性からすると男の腕時計を見て自分と趣味が合うか否かをデューデリしている可能性もありそうですよね。いい時計をする男性が好きなのか、そういうところにお金をかける男性はむしろ嫌だと感じるのか。
全くの無頓着で10万円程度のよくわからないノーブランドの腕時計をしているのか、フランクミュラーでちょっとチャラい感じなのか。やはり60歳くらいだとROLEXがしっくりくるのか。などなど。ぜひ教えてください。
一方で「物欲なき世界」という本も出るようで、物欲に関しては両極端な状況にあるのが2015年の日本ないしは東京といえそうです。私はおそらく相対的には物欲はある方で、東京で消耗しながらも高級腕時計が欲しいと思ってしまうタイプです。
私はゴツイ40mm以上の現行のものより、38mm程度で薄いシンプルな時計が好みです。人生もシンプルでありたいと思っていますしね。