アイスタイルの株価が2015年初から5倍に上昇したが明らかに割高

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TheStartup40の指定銘柄から外していたアイスタイルですが、気づけば2015年初から株価が5倍に上昇。時価総額300億を超えていました。

2012年3月の記事ですが、アイスタイルのIPO後、1年は時価総額100-120億で推移するだろうと予測しており、だいたいその予測は合っていました。それどころか、2014年中は60-80億台をうろうろしていた感じですね。

CSYRArbVEAQytcp参考記事:アットコスメのアイスタイルが上場。クックパッドとの比較からジャンル特化型CGM事業の成長要因を探る

直近の通期決算資料を元に、アイスタイル爆上げの理由に迫ります。
参考:アイスタイル決算資料 

アイスタイルは小売で売上を伸ばしていた

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2016年計画にはインドネシアの子会社をエキサイトに1.6億円で売却した特別利益が計上されており、やや盛った数値となっています。

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驚きなのがアットコスメのメディア事業より小売事業の方が利益率が高い。というか、メディア事業の利益率6%って低すぎじゃないか。会員数1,100万人もいて営業利益3億程度という収益性の低さに驚きました。ちなみに2012年6月期は売上44億の営業利益6億。2014年は減益だったんですね。2016年は海外子会社売却もあり、減収を見込む。

広告事業も詳細は省きますがここ3期連続横ばい。UUも必ずしも順調な伸びとはいえない。UIを見るとスマホシフトに遅れている印象を受けましたし、スマホ化によりPCほど潤沢な広告予算がつかないのかも。むしろ今期は減収を見込んだが、辛うじて踏みとどまったと。課金はクックパッドや食べログのようにはあまりスケールしてなさそうです。

小売では直営店を6店舗運営。関西に新規出店、渋谷マルイ店を1.6倍に増床してリニューアル。店舗増やせば単純に伸びますよね。海外事業は小売セグメントに含まれるようで、アリババへの出店などを計画しているようです。

美容支援事業ではアイスタイルキャリアを分社化。派遣紹介やスクールサービスも開始とのこと。2016年計画では昨年対比で利益をかなり上げた予想ですが、ワークするのか。

事業価値に対して明らかに割高であり、売り推奨

アイスタイル
<2015.10.28時点アイスタイル>
時価総額:322億
2016年通期計画当期利益:8.54億
PER:36倍

メディア企業でPER36倍というのは妥当な水準ですが、セグメント別内訳を見ると、牽引しているのは小売であり1.6億の子会社売却益も今期は乗っている。よってPER36倍はやや割高な水準であり、現在の事業価値に対して適切なバリュエーションはPER25-30倍程度で見積もって、子会社売却益1.6億はディスカウントして、高くて200億程度の時価総額だと思います。

出来高は2015年7月に増加しており、これは子会社売却益が確定したタイミングと重なります。あまり本質的ではない要因で株価が上がったような気がします。2015年5月から急騰していますが、これは一体なにが引き金だったのか。

アイスタイルは2015年に入って6件スタートアップに投資

アイスタイルといえば投資を頑張るようですね。

2015年期末のアイスタイルの現預金残高は25億。記事によると外部からLPを募ってファンドレイズするとあります。

ちなみにアイスタイルは2015年に入ってからだけでも、先日8億調達のニュースが出た動画広告のOPEN8、同じ動画領域のC Channelにも出資。Fringe81、トレタ、XZ、グランドデザインと本誌が把握しているだけでも6社に投資しており、事業会社としては保有現預金のわりにはかなり精力的です。

スタートアップ側にとってはアイスタイルから出資を受けることにはどんなメリットがあるでしょうか。OPEN8の場合はVideo Tapをアットコスメに導入するというわかりやすいシナジーがありますが、事業会社からの出資はそういうシナジーをスタートアップ側は求めてくるはずです。美容領域であればシナジーは出せる可能性がありますが、記事にあるバルクセールやバイアウト投資がワークするとは私は思いません。バルクセールはピュアVCが余った予算の一部でやるイメージが個人的にはありますし、バルクセール専門のファンドもありますしね。バイアウト投資は20億規模のファンドなど美味しいリターンを出せる案件は拾えないのでは。

ざっくりと以上です。アイスタイルの時価総額が300億と聞いて、あれ?100億前後をうろうろしていたはずだが。と思って調べてみましたが、割高であり格好の売りのタイミングと判断します。とはいえ、小売を中心に業績自体は伸ばしてきていますので、株価が割高なだけで、業績自体はきっちり伸ばしてきています。しかし同じCGMでもレシピやレストランは爆発して、美容となるとホットペッパービューティーの方が全然強そうですね。ジャンル別にCGMがワークするのかというのは、一考の余地がありそうなので、別記事で今後お届けします。

ちなみにOPEN8に関しては動画広告で上場する気かよという8億調達で、M&Aでの出口は模索しないのかなと気になってしまいましたね。

あっ、アイスタイル爆上げの理由。。子会社売却益計上で来期の利益率が大幅に改善したように見えたことと、海外事業への期待値の二つでしょうか。それ以外見出せなかった。。



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