2013年中頃、着せ替えアプリ「CocoPPa」がグローバルでダウンロード数を伸ばし、日本初グローバル銘柄とのことでLINEに次ぐ期待を寄せられ、ユナイテッドの株価が大幅に上昇した時期があった。ここ最近CocoPPaをメディアで見かけることはあまりなくなったが、その後どうなったのか。
結論としては、ユナイテッド株は「やや売り」を本誌では推奨する。
■ユナイテッド事業数値(2015年2Q累計)
売上:39億
メディア:16億
広告:23億
営業利益:1.5億時価総額:約390億(2015.1.30時点)
本誌予測通期経常利益:2.5-3億
PER:100-130倍
*会社通期予想開示がないため
Yahoo!ファイナンス上ではPER記載なし
CocoPPaバブルが収束して最高値の1/3以下の価格で落ち着いているものの、CocoPPaへの期待値が依然として織り込まれたPER水準であると考えられる。そしてCocoPPaが急激に売上を伸ばすことはないと想定する。その理由は以下に述べる。ゆえに、現段階でもやや割高な水準であり、今後半年から1年で時価総額は300億を割るくらいまで落ちていくこともあり得る。
尚、2013年8月5日時点では「投機的な状況」というレポートを出した。
ユナイテッドはCocoPPaを主とするメディア事業とRTBを主とする広告事業の2つにセグメントが分かれる。
3,000万DLでも構造上アクティブ率は低く、収益化難しい
CocoPPaは開始約2年3ヶ月で全世界で3,000万DLを突破。CocoPPa収益化の手法に関しては先述の記事でパターンを類推しているが、前回のレポートから1年以上を経ても売上はさほど上がっていない。
そもそもCocoPPaはユーザーが投稿したアイコンや壁紙、ホーム画面を「きせかえ」できるというアプリであり、3,000万DLあってもLINEのように日常的に使われるサービスではない。MAUやDAUは未公表だが、MAU率は10%を下回っていてもおかしくない。DAUは言わずもがな一桁台だろう。
LINEのようなDAUが高いメッセージングアプリであればそれを軸にしたプラットフォーム構築も可能だ。だがそもそもMAUやDAUが低いサービスであれば、その上で展開できるビジネスは限られるし、収益機会も乏しい。インターネット企業に勤めるインターネットをよく理解している本誌の読者であれば想像に難くない話であるが、インターネットに疎い機関投資家や個人投資家であれば「グローバル」「3,000万DL」というワードに引っ掛かり、期待を膨らませミスリードしてしまう可能性もある。
2015年2QのCocoPPa売上は約1.5億。加重平均で2015年通期は6億程度になるであろうが、これが10億30億になるイメージは沸かない。あくまでこのDL数は「フロー型」であり、ストックとして積み上るモデルではない。
スマホ特化RTB事業に活路を見出す。市場シェアに注視
むしろユナイテッドの成長を牽引するのはRTB事業といえるだろう。スマホ向けDSPの「ByPass」とSSP「AdStir」が順調に立ち上がっているように見える。RTB事業は上場企業であればフリークアウトやVoyage Groupと競合するが、成長市場である点とユナイテッドのサービスはスマホ特化であり、最も成長率が高いスマホ市場でそれなりのシェアを確保できれば、伸びが期待できる。ただし、RTB事業は一般的なメディア事業ほど利益率は高くならない。伸びてもRTB事業単体の営業利益率は10%前後の確保となるだろう。
以上。CocoPPaのDL数の伸びへの過渡な期待は市場では冷めつつあると見られ、今後もきせかえアプリであるという構造からメディアの実力値であるMAUやDAUといったアクティブ数はさほど増えない。ゆえにCocoPPaの収益力のアップサイドはかなり低い。一方でスマホを主戦場としたRTBには成長余地がある。2つの事業を相殺しても、まだ現在の株価水準は多少割高に見える。
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