引き続きのグローバルブレインシリーズ。前回のKOIF編に続き、グローバルブレイン5号のリターン予測です。今回の対象銘柄は21社。
IPO5社、M&A3社の予測。メルカリとラクスル次第か
まずはEXIT可能予測組から。EXIT済み銘柄はキュレーションメディア「4meee!」を運営するロケットベンチャーのみ。アーリーステージで小粒のM&Aだったので全体リターンにはさほど寄与しません。
IPO予測は5社。GBファンド5号といっておきながら5号銘柄ではないであろうジーニーも含めました。ジーニーはKOIFでいうレアジョブと同様で、アーリーで0.7億出資しています。その時は14%前後の保有比率と読みましたが、其の後ジーニーも増資を繰り返しているので、IPO時のGB持分は5%程度と予測。0.7億投資して10億くらいは戻ってくるのではと。とはいえ同じRTBではフリークアウトの株価が現在80億を割っており芳しくないので、いつジーニーがIPOしてくるかは見ものです。
次はBASE。このラウンドの前にサイバーエージェント本体が2億出資。BASEはM&A説の噂も聞きましたが、確かな情報筋によるとIPO路線のようです。決済銘柄ですのでコンサバに見てIPO公募50億程度と読みました。
メルカリとラクスルはラウンドの後半の方で入ってきている印象。それぞれ株主が多いのでどれくらいの持ち株比率かは適当な予想ですが、この2件で手堅く2倍は稼ぎたいところです。
ニッチどころでは葬式関連のみんれびをIPO予想としました。葬式ビジネスは市場規模がそれなりにありそうですが、渋すぎて参入者が少なそうで、手堅く儲かるかもしれないなと。
M&A予測のprice bookは国内銘柄とカウントされていたので入れましたが、インドネシアでのカカクコム的サービスということでタイムマシン経営なのである程度ワークしそう。ただし、東南アジア銘柄は相当スケールしない限り香港やシンガポール市場でのIPOってあまり魅力的な値がつかないのではないか。M&Aが無難な落とし所だろうと判断。
コズレは「cozre magazine」という子育てキュレーションメディアから、cozreという子連れお出かけCGMまで揃えており、単なるキュレーションメディアなら今後厳しいかもしれませんが、CGMまでワークすれば、最低限のM&Aは見込めそうだなと。同様の領域ではキュレーションメディアのママリがそろそろM&Aで決着するのでは観測が界隈であります。
回収不能判定13社:メディアやグロースハックがお好き
続いてはDead予測銘柄の一覧です。本誌で回収不能判定の銘柄は次の資金調達に響くと言われているそうですが、そんなものはお構いなしに。
LIVEAIDはスマホ広告アドネットワークですが、初耳でした。すでにレッドオーシャンな市場で参入タイミングが遅かった気がします。
アパレルウェブは産業革新機構案件ということで、本誌での「産業革新機構案件はやばい」の法則により、回収不能です。あいつらの社内ロジックは「儲かるか」ではなく「国のためになるか」ですからね。UIも2000年代ですし、ファッションニュースサイトは儲かる気がしません。たしかパルコの持分適用会社化していたはず。
カメリオは意外にユーザーがいる説もありますが、キュレーションアプリ戦線ではVingowと共に語られることのない銘柄となりました。ネット業界人が使うサービスから抜け出せないままかもしれません。
キャッシュバック賃貸はレッドオーシャンな不動産市場の中で強みがわかりません。なんかNPでここの社長にいちゃもんつけられたことがある気がしますね。回収不能判定です。
PORTはソーシャルリクルーティングが改名した企業。サムライインキュベート2号ファンド案件で、一時期IPO説もありました。Facebook採用などを主軸としたようですが、市場はピークアウト。メディア事業をメインにピボットしているようですが、HPにサービスへのリンクがありません。見つけたらこういうサイト。 まだキュレーションメディアで消耗してるの? 企業としての思想が感じられず。
マインドパレットはSnapeeeですが、本誌で一貫して「写真アプリは回収不能」を唱えてきましたが、国内事業を縮小したと聞いています。
LTSはHP見るとコンサル系です。なぜコンサルに出資したのか謎。
16labは指輪型のウェアラブルデバイス。いやいや、使わなくね?この手のIOTはスタートアップがやるより大手がやったほうが勝率が高い。百歩譲って技術優位性が高く、ソニーに買収されるとかか。回収不能判定。
ブリリアンス+は指輪のオーダーメイドEC。指輪くらい店頭で買いたいじゃん!しかも、オーダーメイドECって市場狭すぎだと思うんですよね。
pLuckyとGrowth Hack Studioはまとめちゃいますが、グロースハックツールって継続的に利用するインセンティブないんですよね。ある程度まで改善できればもういいじゃんと。KAIZENも然りですが、グロースハックツール自体のグロースハックは難しいんですよ。と、「グロースハック」著者(筆者)の切実な見解です。
Wonder Planetは名古屋のゲーム会社。跳ねそうな香りがしないでもないですが、今現在は跳ねているゲームがなさそうなのでここにプロット。しかしゲームはわからないので、一発回収もありえます。
FOODisonは鮮魚市場のプラットフォームを目指す。八面六臂とかに似てそうで、市場への浸透難易度が高そう。B2SB(スモールB)で月額いくらまで取れるかがポイントかなあ。
カブクは3Dプリンタのマーケットプレイス「rinkak」を運営。3Dプリンタ市場がそこまでスケールすると思えず。しかし、ハンドメイドのEtsyのスケールを見ると、その10年後版と捉えれば、あり得なくはない市場で、ひょっとすると当たるかもしれませんが、やはり3Dプリンタの市場って?ということで現段階では回収不能判定。
予測リターン倍率は良くて2倍程度か
ざっくりですが、今回対象の21社への予測累計投資額は50億円、予測回収額は73億円と、リターンは約1.5倍です。メルカリやラクスルの時価総額が跳ねている時に売れば、予測回収額が100億を超えてリターンが2倍となるイメージ。回収不能判定の中から、まだ跳ねうる可能性があるのは、ゲームのWonder Planetと3Dプリンタマーケットプレイスのカブクか。それらが跳ねても、3倍のリターンには及ばないと判断します。
ファンド規模は「150億程度」ということで、1/3の組み入れが終わっていますが、今後も投資案件が増えることを考えると、まだ跳ねる銘柄は出てくることでしょう。海外案件は本稿では触れていないので、海外案件で跳ねるのがあるかもしれません。しかし、現段階のポートフォリオを見るに、100億前後のファンドを類似としてみるとGCPのリターン予測4倍などには及ばないです。
普通に2倍でも、LP的には悪くないと見るのか。しかし、LPが産業革新機構なんですよね。国のための投資ですよ。GBファンド5号は我々の血税なわけですよ。もっとストイックにリターン取れそうな案件を頑張っていただければなと思います。と思いきや、小型衛星案件とかにも出資しているようです。インターネット系ではなくそっちに振ったほうが、リターンは大きそうですよね。
KOIFもGB5号も仲良く2倍予測となりました。
参考:グローバルブレインがKDDIと運営する「KOIF」、国内は回収倍率2倍か