与沢翼のビジネスモデル、本当に知ってますか?

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一時期「秒速で1億稼ぐ」が話題だった与沢翼氏。過剰なメディア露出で叩かれていた記憶がありますが、彼のビジネスモデルが「情報商材販売やアフィリエイト」という以上のことをみなさん説明できるでしょうか?

「アフィで秒速1億かー」で思考停止しており、本誌の読者のみなさんでも案外きちんとビジネスモデルを説明できないんじゃないでしょうか。僕は詳しいことは正直よく知りませんでしたが、コンテンツの勉強としてYOZAWA MAGAZINE的なものはAmazonで買って読みました。

マネー&フリー 僕らが楽して大儲けした57の秘訣という本を読んで、ああそういうモデルなのねと理解できたので簡単に解説しておきます。この本は「ネット起業家」という括りで「個人で年商1億!」的な人を6人くらいまとめて紹介しています。同じ起業でもスタートアップ業界とは随分雰囲気が違うものです。

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■ヨザワ式?秒速1億稼ぐビジネスモデルの一例

①:見込み顧客リストを作成する(メアドを取得する。1メアド取得に700円などの広告費をかけることもある)

②:「君も秒速で1億稼げる!」的な予告LPを作り、「先行予約販売」をリストへ投下する(メルマガを送りつける。業界では「プロダクトローンチ」というらしい)

③:1,000メアドもあれば3人くらい引っ掛かる(0.03%の法則というらしい)

④:それなりの規模の先行予約販売が売れてから、商材を作成する(受注生産モデル)こともあるらしい。

⑤:入会金と受講料を全て先に回収。回収した金でさらにリスト作成する。入会金などは支払サイト1か月、広告費は支払サイト2か月にして、キャッシュフロー上投資し続けられる仕組みにしておく。

⑥:このフローをグルグル回していく。広告費を投下し続けていく限りは「売上」1億が仮に秒速(プロダクトローンチ時)に売り上がっても、「粗利」が1億なわけではない。

こうした情報商材販売は詐欺的(見合う価値に対して高すぎる!)に思われがちですが、「ちゃんとやれば成果が出た」という受講者もおり、必ずしも詐欺とはいえません。この本で紹介されている「ネット起業家」は「マーケティングが上手い」といわれていますが、⑤のキャッシュフローの時差を活かしたモデルを作るという点では、ある意味金融的な思考もあるのかなと。

「情報商材」というとネガティブなイメージが付いてしまっていますが、TOEICやフードコーディネーターなどの検定ものも情報商材といえます。ノウハウを教える教材作成費が原価であり、それをより多くの人に届けることで収益の最大化を図るモデルであり、限界利益率の高いコンテンツビジネスの王道といえます。一物一価の「モノとカネの交換」ではなく、「1つの情報が増殖(いろんな人にリーチする)することで、情報がカネを生み出す」のです。明らかに後者の方がビジネスモデルとしては優れているのでは。

LP制作では「売れそうな」セールスレターを書くスキルが求められ、これらの「ネット起業家」を取材した著者によると、多くのネット起業家が、コピーライティングの名著を読み込んでいる確率が高かったようです。彼らは決して最初から楽して儲けているわけではなく、売れるための試行錯誤を繰り返した形跡が見受けられます。

「詐欺っぽい」と言われている内容が実際に何なのかわからないので、本稿では「詐欺」と断定することは避けますが、50万円の情報商材でも、買いたいと思うユーザーが出てくるセールスレターがあればokなわけです。ネイティブアド販売と大差ないと思うんですよね。ネイティブアドは媒体のPV規模に応じた「一物一価な商材」であるのに対して、1つの情報商材は複数の書い手が付く商材なので、利益率が全然違ってくるわけです。

与沢翼氏に代表される「情報商材」の販売フローを今回は解説しましたが、本書には「中古カメラの転売で稼ぎまくる(様々な商材と比較して、中古カメラは価格弾力性が高いから儲かりやすい)」とか、不動産投資で成り上がったみたいな話もあり、色んな稼ぎ方があるんだなと勉強になります。

おそらく与沢的ビジネスモデルを本誌の読者は馬鹿にしている方が多いんじゃないかと思います。彼らの情報商材を買う必要は必ずしもありませんが、その辺のスタートアップより確実に稼いでいるのは事実でしょう。「与沢ワロタ」とか言ってないで、どういうモデルで稼いでいるのか、知ろうとしましたか?「ワロタ」で終わっている人が多い気がします。

与沢翼がどのようにして稼いだか。「情報商材売ってたんですよね」で終わるのではなく、具体的にどのようなオペレーションでどういったユーザーに売っていたのか。地方の暇してる(貧乏な)人がセールス力のあるLPを読んで「うおお!これだ!」と50万円の情報商材を買う。これは地方在住の人の実態を知っていれば(僕は北海道出身なので理解できる)想像できるはず。悪い言い方をすれば、引っ掛かる人がどういう人でどういう心理かわかる。

「与沢翼についてどう思いますか?」というのはいい踏み絵かも知れない。

「与沢ってさ、派手な遊びしてる人だよねー」だけの会話しかできない人は、彼の情報商材を買う側の人。どういうオペレーションで誰がなぜ買ったのかを想像して語れる人は案外少ないんじゃないか。対象をエンタメとして消費するのではなく、常に事業家側の視点を持ちたいものです。

同じネット業界でもスタートアップとは全然違う世界。一読してみるとよいかと思います。



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