最も安定する美しきビジネスモデルは「月額課金」だと思います。C向け月額課金サービスまとめは以前書きましたが(リンクは記事下に置いておきます。結構読まれました)今回はB2B月額課金をまとめました。B2Bは単価が高いので良いですよねー。
会計サービス4社:初期は広宣費の打ち合いだが高いLTV
無料社数 | 有料社数 | 月額単価 | 推定月商 | |
freee | 300,000 | 30,000 | 1,980 | 5,940 |
MFクラウド会計 | 400,000 | 40,000 | 1,800 | 7,200 |
A Saas | なし | 1,900 | 29,800 | 5,662 |
bizer | なし | 800 | 2,980 | 238 |
月商単位:万円
☆1:freee(クラウド会計:累計調達額52億円)
派手な資金調達額で知られるfreeeは2015年2月に登録事業所数20万件突破を発表しています。30万件突破の発表はまだですが、半年前のデータであり、そろそろ突破するだろうと見込んで無料登録事業社数の予測を30万件、有料課金率を10%と置き、月商約6,000万。
☆2:マネーフォワード(クラウド会計:累計調達額30億強)
freeeと熾烈な争いを続けるマネーフォワード。今回の調査対象は「MFクラウド」としましたが、C向けの家計簿アプリもやっており、最近TVCMをよくみかけます。こちらは公式リリースで2015年8月に登録事業所数40万件を突破している模様。
引用元:マネーフォワードHP
こちらも同様に有料課金率を10%と仮定すると、推定月商は7,000万強。
☆3:A-SaaS(税理士向けクラウド税務・会計・給与システム:累計調達額20億弱)
いぶし銀なのがA-SaaS。税理士向け特化がfreeeやマネーフォワードのような企業向け会計システムとの違い。freeeとは業務提携しているようです。IDでの従量課金であり、1ID月額29,800円から利用可能で、ID数が増えるとボリュームディスカウントが効く形式です。1,900社が利用というデータは、HPに記載されています。
引用元:@プレス
1事業者1IDカウントで月商5,600万程度ですが、実際の導入事業者あたりの平均ID数は開示されていないので、月商5,600万はミニマムな数字で、平均ID数は最低でも2はあるのではと。中小税理士事務所でも、2IDは使っているのではと。そうなると月商1億には乗っているレベルです。
☆4:Bizer(バックオフィスクラウドソーシング:累計調達額?億円)
上記3サービスは主に会計周りでしたが、会計以外もカバーするクラウドソーシングのBizerは主にチャットでQ&Aできるオンライン相談サービス。
現在、500社以上の取引があり、毎月50社ずつ増えているようなので、800社程度が有料利用事業社数と仮定。すると月商は250万くらいか。ちなみに本誌でも過去紹介しています。
参考:高利益率を実現するBizerのクラウドソーシングモデル
会計サービス全てに言えることですが、立ち上げ時はユーザー獲得に苦労するものの、一度獲得してしまえばユーザーからすると使い続ければ続けるほどデータが溜まりスイッチングコストが上がるため、LTVが極めて高い。よって、各社巨額の資金調達で広告宣伝費に突っ込み、有料事業者を獲得していけばいくつに連れて利益率が上がるモデルです。サーバー代やカスタムサポート程度しかランニングコストはかからないはずで、とにかく広告突っ込んでユーザー獲得だ!というパワープレーがわかりやすくワークします。
2014年4月に東洋経済オンラインに寄稿した記事では、freeeは上場時300-500億、マネーフォワードは200-400億と推定している。
<参考>
freee:1兆円市場?クラウド会計ソフトは儲かるか
マネーフォワード:ホリエモン愛用。金融スタートアップの本命
Saas型DB、レストラン予約台帳、社内SNS:順調に推移?
無料社数 | 有料社数 | 月額単価 | 推定月商 | |
SPEEDA | なし | 400 | 390,000 | 15,600 |
トレタ | なし | 3,100 | 12,000 | 3,720 |
トークノート | 15,000 | 3,000 | 10,000 | 2,940 |
月商単価:万円
☆5:SPEEDA(企業分析データベース:累計調達額7億強)
本誌ではNewsPicksでおなじみのユーザベースのサービス。ブルームバーグのリプレイス的な立ち位置で登場。現時点では1ID単価が13万で最低3IDからの契約とのことで、1社あたりの最低月額単価は39万円。導入社数は2014年4月の公式リリースを見ると「国内400社に導入済み」とあり、上記の単価を掛け合わせると、最低月商1.5億となる。平均ID数はもう少し多いだろうから、仮に平均ID数6となると月商3億。
海外展開も進めており、上記が2014年4月の数値であることから、500社とか突破していてもおかしくないですね。売上原価としては分析レポートなどを提供しており、SPEEDAのアナリストの人件費とかですが、導入社数スケールしてもコストが連動しないモデルで、高利益率を確保できると予測。SPEEDA事業だけで年商30-40億レベルの可能性もあります。上場時の時価総額どれくらいになるかな。
☆6:トレタ(レストラン予約台帳:累計調達額6億強)
CAV主催2015Rising Expo優勝銘柄ですが、2015年9月1日のリリースによると契約店舗数が3,100件を突破しています。UI的にすごい使いやすそうなサービスだなと思い、契約店舗数の伸びも納得です。
引用元:トレタ公式HP
オプションもあるようですが、利用料金は1店舗12,000円。単純に3,100店舗を掛け合わせれば、月商は4,000万近くまで上がってきています。
☆7:トークノート(社内SNS:累計調達額3億前後?)
最後にもはや老舗ともいえそうなスタートアップ、社内SNSのトークノート。公式HPによると利用企業社数は1.5万社以上。料金プランは下記。
引用元:トークノート公式HP
実は今回の7社で最も推定売上産出が難しい銘柄。単価は単純に「レギュラープラン」で1社あたりの平均利用人数を10人と仮定、ざっくり880円×10人で約1万円としました。
無料会員だとほとんど何もできないかと思い、有料課金率はコンサバに見て20%と仮定。有料課金の平均利用人数が仮に10人より少なくても、もう少し有料課金率は高いかもしれず、最低月商3,000万はクリアしているなという読みです。
以上、B2B月額課金スタートアップ7社の予測月商でした。売上に比例してランニングコストも同様に比例するモデルではなく、スケールすると利益率が上がるのはB2C月額課金と変わらないと思います。B2Bの方が単価が高いので、より利益率は高くなるかもしれませんね。立ち上げ期の導入ハードルは高く、各社当初は苦労されているでしょうが、軌道に乗ればこれほど旨味のあるモデルはないと思います。
ユビレジあたりも調べたのですが、登録者数のデータが見つからず断念。
参考記事:最低5年は粘れ!その先に果実が。月額課金12サービス数値比較