Antenna、動画広告は全体売上の2割程度。月商は1億を突破か?

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4大スマホメディアとして急成長を遂げたグノシー・スマートニュース・Antenna・NewsPicksはDL数やPV数伸長を競う段階からマネタイズの本格化へとフェーズが進む。つい先日のNewsPicksに黒字化の見通しという記事を見かけた。

参考記事:ニューズピックス黒字化「来年初頭に」 会員増、広告好調の理由

インターネット業界内で自然なクリエイティブでの広告訴求を実現していると称賛の声が多いAntennaの広告売上の現状について、株式会社グライダーアソシエイツCOO荒川徹氏に話を伺った。

動画広告は全体の2-3割。再生単価は7円→5円に

Antennaといえばスマホアプリでみる動画広告の美しさが特徴的だ。2014年6月に始めた動画広告は2015年9月現在ではAntennaの広告売上の2-3割を占めるという。出稿額は順調に右肩上がりのようだ。

実は自然再生する動画広告を始める時に「本当にユーザーに受け入れられるのか」と不安がありました。結果的にはそれは杞憂でしたね(荒川氏)

当初は再生単価7円で開始した動画広告だが、2015年7月には再生単価5円へと価格改定した。これは開始時にスマホ上で自然再生する動画広告の相場がまだなかったことと、広告主が他のAntennna上のメニューとも組み合わせるとグロス金額が跳ね上がってしまう懸念もあることから、若干やさしい価格へと改定したようだ。

COCezRrUYAAq5azAntennaとしては動画広告の比率を高めていきたいという意思はありつつも、単純に動画が多すぎるとユーザーの通信量に負担が生じてしまうこともあり、急激な拡大に対しては、データ容量の改善などを見極めて慎重に進めているようだ。

ユーザー体験と広告という話では、一時期ブランドカバー(起動時にファーストビューで出る画面。画像を参照)にほぼ毎日広告を出稿していたが、その時期はユーザーのアクティブ率が少し下がったという経験があるようだ。

その経験から広告の出稿比率はユーザー体験の妨げにならないように調整しているという。

TVCM型、メイキング、WEB長尺など様々な動画が登場

広告主がTVCMでも使用している動画をオンラインでもそのまま流すというのは、動画広告の最たるわかりやすい事例であろう。Antennaでも当初そういった広告主が多かったようだが、TVCMのGRPが著しく高い動画ほどタップ率(Antennaでは動画や記事の「詳細を見る」をクリックした率をタップ率と称する)が低くなる傾向が分析上明らかになった。ただし、TVCMやOOHで十分にリーチできない「補完」での活用が進んでいる。

さらに最近では、TVCMでは流していない30-60秒の動画やメイキング動画はタップ率が相対的に高いというデータが出ている模様。

企業のCSR的な動画も広告であるにもかかわらず、Antennaユーザーからは好感を持たれてタップ率が高かったという事例もあるようだ。また、ショートフィルム形式の動画もタップ率が高いようだ。動画も様々な可能性があり得る。

動画広告の効果は「ブランドリフト効果」で検証

動画広告はTVCMと同様に効果を測りにくい。Antennaの広告主の多くはダイレクトマーケでCPAいくらという指標ではなく、ブランドマーケでの出稿が多い。広告主の一部は「ブランドリフト効果」の調査を実施している。

ブランドリフト調査とは、様々なメディアでユーザーが広告に接触した最に、「好感度」「興味度」「購入意欲」などが向上したかという指標を取ることを指すようだ。動画広告を見るAntennaユーザーの行動は下記の通り。

①:5秒再生(Antennaではフィードでも動画が自動再生される)
②:視聴完了(長い動画の場合はその動画をクリックしないと最後まで再生されない)
③:視聴後のAntenna内記事遷移
④:広告主サイトへの遷移

広告主からすると④へ遷移するユーザーが多い方がもちろん良いわけだが、①の5秒再生だけでもブランドリフト効果の調査では十分価値があることが検証されている。この「ブランドリフト効果」に関してはマーケジンの下記の記事が詳しいので、ぜひご一読いただきたい。

参考記事:スマホユーザーの“モーメント”を捉える 花王のデジタルマーケティング戦略

Antenna広告月商予測:最低1億はありそう

メニュー名 グロス単価 週間本数 月間本数 予測月商
ブランドカバー 200 1 5 1,000
ブランドタップ 150 10 40 6,000
メディアブースト 130 3 12 1,560
ブランドムービー 150 3 12 1,800
10,360

単価単位:万円
*全メニューではなく主要と想定されるメニューのみ

これは完全にTheStartup予測で。カバー枠の広告掲載比率が4割くらいと、動画広告の割合が2割くらいと仮定してざっくりと。もちろんグライダーアソシエイツ側には開示していただけないわけですが、最低でも月商1億レベルには乗っているのではないかと思います。アップサイドでも月商2億くらいと予測します。

Antennaらしいブランディングの展開

最後にAntennaの利用状況を。媒体資料を見てもDL数は400万強で止まっているように見え、App Storeのカタログランキングにもランクインしていない。オンライン広告以外での露出を増やしているようだ。

日本テレビミニ枠「キラキラ時間」やJ WAVE、FM802で番組を保有しているほか、wired cafeとのコラボレーションも行っている。ターゲットである情報感度の高いユーザーに対してオフラインでの接点を設けることで、ブランディングを図り継続率を上げようという意図が伺える。

web_20150221_027 copy以上、Antenna最新事情をお届けしました。スマホ動画広告は受け皿がAntennaとスマートニュースが主力で、広告主は出稿先が足りなくて困っていそうな気がします。東京カレンダーWEBでも動画広告を始めていきますので、動画広告の出稿にご関心のある方は私までFacebookでご連絡を。



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