12月に開催されたシェアカンファレンスにも登壇していたBizer、ひそかに注目しています。平たくいうと税理士業務のクラウドソーシングで、法人ユーザーは月額2,980円を支払えばBizerを経由して会社運営のバックオフィス周りの質問ができる。決算は別途5万円で作成してくれる。
Bizerのビジネスモデルを図解するとこうなる。
中小企業は月額2,980円で利用可能。筆者も一応株式会社を経営しており2期目に入るが顧問税理士に支払う月額顧問料は1万3,000円だ。
回答する側の税理士に対してBizerはフィーを払っていない。税理士からすると起業したてBizerを使っているような経営者は将来の見込み客となるため、無料でもBizerの質問に回答するインセンティブがある。オンラインで手軽に営業活動ができるという感覚なのだろう。これは弁護士ドットコムのモデルに近しい。
Bizerを運営する株式会社ビズグラウンド代表取締役畠山氏によると、シェアカンファレンス時に本誌が独自で予想した直近の月商100万円程度という数字は「ほぼ当たっている」とのこと。
上記の月額型のビジネスモデルを核に、有料オプションでアップセルする。決算申告代行や、商法登録代行、本店移転、増資、取締役変更などの登記変更、社会保険の代行、就業規則作成がそれに当たり、そのトランザクションの一部を手数料としてBizerが課金するため、2014年12月時点の顧客平均単価は4,000円ほど。クライアント数は300社前後となっている。
市場のポテンシャルは年間10万件の起業件数があり、その1割の1万件程度をまずはターゲットとしたいと考えているようだ。仮にそれが達成できた場合の年商を算出してみよう。
■Bizer PLシナリオ
導入企業社数:1万社
平均顧客単価:約4万円
想定年商:4億円
Bizerの最大の利点は売上原価に相当するはずの税理士の人件費がほぼ無料となることから、売上総利益率が相当高い。開発とマーケティングくらいしかコストがかからない点。マーケティングもオンライン広告ではCPAが合わず、現在は口コミに頼っているのが現状だという。いかにして早くスケールさせるかが肝なビジネスともいえるが、効率的な広告手法を確立できないのは辛い。
すごくスケールするサービスかはともかくとして、利益率が相当に高いサービスであることは間違いないだろう。弁護士ドットコムのように税理士に掲載課金するなどのアップサイドがひょっとするとあり得るかもしれない。
月額顧問という形態は何も作業が発生しないのに課金されてフリーライドになってしまうこともあるし、税理士業務は単純作業も多く、分解して決算など難易度の高い業務だけ発注するという流れは十分あり得る。士業が単純労働を奪われれば、今までのようなある程度の高給が保証されるのだろうか。この点はLegal Newsで紹介されている記事でも、法律家の仕事がオフラインのみで成り立つか怪しいと述べられている。
Bizerのような既存の仕事を分解して再構築し得るような事業は面白く、本誌読者の参考になればと事業モデルを解説した。
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