B Dash Camp2019Springレポート7本目です。
どうなるモバイルペイメント〜その競争の行く末
スピーカー:(敬称略)
青柳直樹(メルペイ)
舛田淳(LINE)
中井武志(KDDI)
津脇慈子(経済産業省)モデレーター:
奥平和行(日本経済新聞)
サクッとライトに紹介します。
ざっくりした各社の戦略
青柳:メルペイはオープン戦略で、LINE PAYともau payとも連携している。業界全体を盛り上げていきたい。敵は現金です!
舛田:(梅木注記:事業数値等は詳細は下記の添付画像にて)台湾では決済ナンバーワンになっている。
5月20日から300億円あげちゃうキャンペーン、実施中です。ただいま、160億円相当が付与されているようです。
中井:(梅木注記:沿革は下記のスライド)
津脇:キャッシュレス化の推進施策を作っている。(下記の通り)政府としてしっかりサポートしていきたいと思っている。
Paypayキャンペーンでキャッシュレス化の速度が早まった
Q:なぜ決済に取り組んでいるのか
中井:決済を通じて、顧客接点を増やすことが大事
舛田:LINEは単なるメッセンジャーではなく、ライフプラットフォームになりたい。いろんなサービスを提供しようとしても、現金があることによって、データが途切れてしまう。
青柳:メルカリはモノや価値の移動をなめらかにするというミッションでやってきたので、メルカリが大きくなる中で、お金の移動をなめらかにということでメルペイができてきた。最近プレイヤーが増えてきたことで、決済市場を伸ばしやすい環境になったと捉えている。社員数2,000人規模なので、銀行や証券まで手掛けられないので、まずは決済分野で頑張りたい。
舛田:2019年に入ってから、加盟店開拓が非常にやりやすくなった。Paypayのキャンペーンは馬鹿にならない。(加盟店への教育)コストが大幅に下がった。
中井:(2018年と比べて)CPAがかなり下がっている。
舛田:Paypayの100億キャンペーン後のLINE Payのキャンペーンはそれまでよりも効果が良かった。
○○ペイは儲かるの?
QR決済でいうと、モデレーターの奥平さんからのスライドだと上記の棲み分けになっています。
舛田:「どこまで続くこの消耗戦」と記事で紹介されたりもするが、(ペイ戦争は)案外長くは続かないと思う。ゆるやかな陣営が数えられる程度に収斂していくだろう。加盟店開拓の負荷が高いのはあまり良くない。加盟店側からしても、何社も(ペイ事業者が)来てもしょうがない。
青柳:ユーザーの利便性に直結しているので、早くサービスを定着させなければいけないという危機感は持っている。
Q:決済で儲かるのか?
舛田:(LINE PAYで)購買データが取れるようになると、広告プラットフォームにデータをぶつけて、CPMを上げられる。金融プラットフォームとして、ウォレットやクレジット、銀行などが繋がっていく。(LINE PAYの)決済手数料で儲けたいとは思っていない。
中井:(LINEと)同じような感じで、決済手数料で儲けたいとは思っていない。ユーザーは決済をしたいわけではなく、モノが欲しいとか楽しいことがしたいのでお金を使っている。その際に、お金を借りるとかがスマホで完結すると良い。決済単体での利益は見ていなくて、ECの後押しになるとか、金融サービスの入口になる感じ。
青柳:よりローカルでリアルなところ(例:イオン)はプラットフォームとして入りにくいので、決済で入り込めるかもしれないと感じている。MAUの規模感が大きくなった時に、可能性が拡がるオプションバリューに賭けている感じ。
中井:モノを買う際の中間決済が非常に多かったのが、スマホ決済により中間決済が減るので、手数料率が下がり、導入障壁が下がる。メルペイはメルカリの売上をチャージできるので、チャージコストがゼロになるとか、コストを下げる仕組みを持っているプレイヤーは構造的に優位性があると感じる。
Q:決済は入口であって、各社その上にどんな価値を構築したいのか
青柳:移動と決済は関連が深いので、あらゆる事業者と組みたい。
舛田:どこでも決済できるようにしたい。LINE PAYはキャッシュレスのハブであり、残高にお金が貯まっていって、そこから様々なサービスを使えるようにしたい。
奥平:LINE PAYは台湾で税金が支払えて、それがユーザー獲得に効いたと聞いている。日本ではどうか
舛田:台湾ではどハマりして、納税に応じて、ポイントバックがある。高額納税者ほどLINE PAYで税金を支払って、GMVが伸びている。日本でも考えている。
中井:地方で使えるようにしたい。頻度が多くて、決済額が小さいモノは従来の仕組みだとコストが高くなるので、そういう決済パターンもカバーできるネットワークを築きたい。
以上です。
ちなみに、メルペイとLINEは「SUICAと組めるなら組みたい」と言っていましたね。
このセッションでの最大の学びとしては、きっとペイ戦争は長くはなくて、来年くらいには決着がついて、一気に定着して、その上での付加価値を提供するフェーズにシフトしていくのではないかなという点です。
本誌読者の皆さんならもともと理解しているかと思いますが、各社決済手数料で儲ける気はなくて、決済で獲得したデータをもとにマネタイズしたいのです。これが広告単価上昇みたいなアップセルにもなりますし、お金を貸し付けたりして手数料を取ろうとか、そういうことですね。
決済データが充実すると、各社の売上のアップサイドのポテンシャルはどれくらいあるのか?という点に関心がありますね。
決済戦争でデータを獲得したその先にあるアップセルやクロスセルという果実が美味しいので、各社100億単位で先行投資をしている感じです。この投資額が何年で何倍のリターンを生み出すのか、楽しみですね。