「広告は感情、課金は数字」ではなく「広告は数字、課金は感情」

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最近、広告営業の仕事をしています。営業に対して苦手意識のあるぼくにとって、真面目に広告営業をやるというのは実は新卒時代以来です。独立してから営業して仕事を取ったのは1,2件しかありません。

様々なビジネスモデルに実務で触れてきて感じるのは、広告出稿は一般的には人間関係とか思う人もいがちですが、オンライン広告においてはほぼ数字の世界だなと感じます。CPAが合うか合わないかです。クライアントのマーケティング課題がダイレクトマーケで目標CPAの中で会員を獲得していくか、ブランドマーケでターゲットユーザーに認知を向上させたいか。

後者はTVCMのように数字が若干ファジーでも許されることもあるでしょうが。オンライン広告の世界では昨今は記事タイアップ広告がオフラインの世界に遅れること何年的な感じで隆盛してきています。スマホ時代においてバナーのCTRが低下していく中で、記事タイアップ広告のPVをいかに最大化して、そこからクライアントページへの遷移クリック数をいかに稼ぐかという数字で語ることが非常に重要になってきています。

記事タイアップ広告もきちんと数字で語れる営業マンは多いのでしょうか?代理店の知り合いが少ないので、現場感はわかりかねますが。想像に過ぎませんが、数字で語れる営業マンがコンペで複数いてから、はじめて人間力の見せ所となり、人間力で受注する。となるのではないでしょうか。数字の説明なく、仲が良いから、とかではオンラインマーケターを口説き落とすことは無理でしょう。数字が合いそうなのでぜひ出稿したいとならないと。口説き落としているようでは、ダメなのです。

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一方で課金サービスにおいては数字はほぼ無意味に等しい気がしています。クックパッドに課金するのに「オレンジページを買うより安いぜ」という経済合理性で課金しないはずです。「ぐぬぬ。スマホだとうまく検索できない」とか、食べログも「ぐぬぬ。ランキングが見れない」とかです。食べログも「プレミアムクーポン1回使えば、年間利用額(3,600円)回収できるから良い」という定量的判断で課金するユーザーはかなり少ないはずです。

WEBコンテンツの課金に関しては以前「感情課金」という論を提示しましたが、クックパッドや食べログのような「不便さを解消したいがための、マイナスの気持ちから発生する課金」と、特に不便ではないけど、新たにこの情報を取得したいから課金する「ポジティブな気持ちでの課金」の二パターンあるのではないかと思います。負の感情と正の感情です。

負の感情での課金が成り立つのは、そのサービスがインフラとして普及していることが前提条件になります。それがないと不便さを感じるほどであり、「課金しないと不便だから仕方なく課金している」というユーザーの声を聞きます。これはこれですごいことです。インフラになるということ自体すごいことですから。

一方で新たな情報を取得したいがゆえの課金。たとえばUmeki Salonでは「サロンからの情報が得られないとマジ不便だから課金してやってるよ」的なユーザーはほぼいない気がします。不便さの解消に月額4,000円は高いです。何か自分のためになるものを学びとってやろうという気概で課金していることが、月額4,000円が成り立つロジックではないかと。

ちなみにぼくはイケダハヤトさんのサロンに課金してますが、ブログ運営ノウハウでこれを見て月額5,000円の売上をアドオンできるか否かという定量指標は頭の片隅にありつつも、いつかこのノウハウが役立つかなというぼんやりとした感じというのが正直なところです。イケダさんはうちのサロンにも初期からいてくれてるし、たまにサロンの告知もしてくれるし、販促費として考えてもペイしそうだし、何より友達だしなという感情もあります。

課金においてこそ数字ではなく感情なんです。超定量人間で1人あたりにかけるデート代の予算と実績が脳内に入っているぼくですら、課金は数字で回収できるというロジックより、感情の方が勝っています。

友達だから広告出稿は成り立つとは限らないが、友達だから課金する。は成り立つ。クラウドファンディングなども友達だから課金するロジックが適用される気がします。

課金サービスにおいては、いかにユーザーの感情を設計するかが非常に重要になってきます。セールスレターを上手に書くとか、いっそのことエモーショナル・ライティングと名付けたいですが、ユーザーの心を動かす技が必要になるんですよ。時に技ではなく、感情をストレートにぶつけることが効果的なこともありますが。

たとえば、「超定量人間で1人あたりにかけるデート代の予算と実績が脳内に入っているぼく」とかギリギリの表現ですが、ここだけ抜粋してtweetする人とかいそうだなと計算して組み込むわけですよ。CPSと表現するとアウトなので、ギリギリそうは書かなかったのですが。あ、書いちゃった。

このワーディングによってユーザーがどう反応するか。その感情を予測した上でライティングすることが、課金サービスの肝だと思います。LP1枚でユーザーの感情を設計をする。

なんだか課金の話の方がボリュームが増えてしまいましたが、広告は数字、課金は感情だと再認識した次第です。広告は感情、課金は数字とはなりませんので、あしからず。これ、テストに出るやつや。反論、お待ちしております。あくまで広告は数字で決断するシェアが高く、課金は感情で判断するシェアが高い。0か100かという話ではございません。



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