1割のサイヤ人と9割の栽培マンがスタートアップの最適な構成比率か

Pocket


Umeki Salonで「スタートアップの社長MAXの法則はどうにかならんのか」というスレを立てたところ、結構盛り上がったのでご紹介。

社長MAXの法則は俗に言う幹事MAXの法則と同じで、そのスタートアップの人材において社長より優秀な人材がいないことを指します。30歳前後の社長であればまだまだ経験不足感もあり、より優秀なシニア層を幹部に引き入れることで、レバレッジを効かせて、高みを目指したほうが、成長速度は格段に上がるのではないでしょうか。

1044239_876199795780707_1243679808722520617_n

これを体現しているのがヘルスケア銘柄のFiNCであり、元みずほ銀行と元ゴールドマンサックスのお偉いさんを迎えて、スリートップ体制を敷いています。現代サッカーにおいても、スリートップ体制は珍しいですね。こういった動きが、社長MAXではなく、社長がハンドリングできないようなトップレベルの人材を招き入れる例です。

FiNCの例は少し極端かもしれませんが、社長がハンドリングできる程度に優秀な人材しか採用しないと、社長が目線を上げることができず、事業の成長速度がせいぜい1.2倍程度にしかならない。採用論に関して、サロン内でFiNC代表取締役溝口氏の発言を要約するとこんな感じでした。

採用においてはカルチャーフィットが大事だとよく言いますが、優秀な人ほど簡単にはカルチャーに染まらない。カルチャーに染まるかどうかはさほど重要ではなく、その人を採用したほうが会社が目指すゴールに近づけるのであれば採用すべきです。社長の実力不足の器で採用や組織作りをしていたら、志の高いビジョンなど実現できません。

これはごもっともな話であり、スタートアップにおいて採用はサービスを軌道に乗せるのと同じくらい非常に重要で難しい課題ではありますが、無理めなSクラス人材を口説くことをしていない経営者は案外多いのではないでしょうか。ビズリーチにも登録していないクラスのハイレイヤー層をどうすれば自社に引き込めるかを考えて実行に移し、Sクラスを採用して企業の成長速度を高めたいものです。

一方で、そういったSクラスばかり採用しても組織は必ずしもワークしません。一時期の巨人やレアルマドリードが豊富な資金で各クラブのエースを獲得しても勝てなかったというケースと同様です。これについてはサロン内での元グノシー木村さんのコメントを下記に要約します。

クラスでいつも3番までに入っているような人は、上位10%ぐらいですが、この人達は競争の勝ち組でずっと来てます。残りの9割は、毎回競争してもアホらしいというのに慣れてます。10%の人は競争するのが楽しくて、自分が評価されてないと嫌なので、そういう人ばかりいると社内で競って不協和音の温床になります。

能力は万能ではなく、役割分担をうまく出来ると、それぞれがそれぞれに役立ってくれるので、尊厳が生まれます。同じようなタイプの人を多数集めて同じような仕事をさせると残念ながらうまくいきません。採用コストも高くなります。性格がいいまともな人を集めて継続的に努力する方法を教えるとその人の人生も豊かになりますし、会社も豊かになります。

この話に紐づく話として、タイムリーに下記の記事が出ました。

日本電産永守社長は最強の経営者か-「カス」鍛え電子部品帝国

カス、いわゆる本誌でいうところの「栽培マン」を鍛えるのが経営には良いという話です。

栽培よくみると、こいつら無邪気な顔してますね。愛しさが増してきました。

この記事の見どころを引用すると

・これまでの自社の成長を支えてきたのは東大やハーバード大卒のエリートではなく、会社が小さかったときに採用せざるを得なかった「カスみたいな」人材だという。

・「どんなだめな人でもうまく使えば戦力になる」との信念の下、鍛え抜いて育てた部下たちが今や同社の高い成長と収益力を支えているという。

FiNCの事例と日本電産の事例をスタートアップに当てはめると、1割のサイヤ人と9割の栽培マンがスタートアップ経営に最適な構成員比率といえるのかもしれません。スタートアップでいう栽培マンとは20代で月給30万前後の社員ですね。

社長だけサイヤ人というのでは目線が低いままのことも多いので、自分より能力の高いサイヤ人的人材を「何人か」は雇う必要がある。幹部層をレベルの高い人材で揃えつつ、現場は栽培マンを鍛え上げるのが良いのではと。現場にハイスパックな人材を複数採用してしまっているスタートアップは、結果的にあまり上手くいっていない気がします。

サイヤ人も栽培マンも両方必要。ただ、この比率が最適化できていないスタートアップが多い気がします。中途半端なレアルマドリード化しているスタートアップもありますし、いつまでたっても社長MAXで爆発的な成長が見込めない企業もあります。中途半端なスタープレイヤーを現場に配置すると、上層部に対しての不満が溜まりやすいのだと思います。

サイヤ人1割と栽培マン9割が本誌が提唱するスタートアップ組織の最適比率です。栽培マンの定義に不平をこぼすなどという愚かなコメントは求めていません。この比率やスタートアップ組織論について、ぜひ様々なご意見をお聞かせください。

Umeki Salonでの議論をお届けしました。栽培マンの戦力化の方法とか、栽培マン育成が上手いスタートアップがあれば、話を聞いてみたいですね。



Pocket

コメントを投稿する

「1割のサイヤ人と9割の栽培マンがスタートアップの最適な構成比率か」に対してのコメントをどうぞ!