女性向けキュレーションメディア主要6媒体の最新事業数値と伸ばし方

Pocket


2014年6月に女性誌市場をリプレイスする可能性を秘める、女性向けキュレーションメディアという記事を出していますが、その後この市場は競争が激化し買収が相次いでいるのは本誌読者なら知るところかと思います。

当時は女性向けキュレーションメディアは出版社キャリアが買収に乗り出す。価格はストレッチして30-50億円というレンジ想定を出しましたが、買い手は異なったものの、mery35億円という買収価格のレンジはこの時の想定通りでした。

女性誌市場は広いので「winner takes allにはならない」という仮説の元に、1年前に首位を快走していたmeryのみが必ずしも勝つ市場ではないと予測していました。その後4meee!運営会社ロケットベンチャーが6億でエニグモに買収されています。

実際に筆者がいろいろとヒアリングした中では、meryの知名度が圧倒的。しかし、1年経った2015年5月現在は後発プレイヤーも登場し、現状では主要6媒体が凌ぎを削る市場となっていると本誌では想定する。公開されている各媒体の事業数値を中心に、比較考察を本稿でお届けしよう。

curation 6

女性向けキュレーションメディア:主要6媒体事業数値

■mery(ペロリ社運営:DeNAが推定35億円で買収)
MAU:1,600万
月間PV:数億前半と予測
App Storeランキング:「カタログ」で8位
FBファン数:10万

■by.S(サイバーエージェント運営)
MAU:830万
月間PV:非公開
App Storeランキング:「カタログ」で82位
FBファン数:29万
参考記事:SELECTYにみる、女性が記事を「シェア」する心理

■4meee!(ロケットベンチャー運営:エニグモが6億円で買収)
MAU:600万
月間PV:7,000万
App Storeランキング「カタログ」で姉妹サイト4yuuuが68位
FBファン数:5,700
参考資料:エニグモ2015年通期決算資料P25
参考記事:エニグモが6億で買収した4meee!への投資ロジック

■Locari(wonderがshake運営:TS予測15-20億円で売却)
MAU:非公開
月間PV:非公開
App Storeランキング:「カタログ」で1位
FBファン数:147,000

■TRILL(Yahoo!子会社が運営)
MAU:非公開
月間PV:非公開
App Storeランキング:「ライフスタイル」で8位
累計DL数:80万突破
FBファン数:2,000

■Ciel(Nagisaが運営)
MAU:非公開
月間PV:1,000万弱
App Storeランキング:「カタログ」で17位
FBファン数:9,800

*ランキングは全て2015.5.19時点

データを並べるとこんな感じ。各媒体とも数字を公開している項目が異なるので単純比較はしにくいですが。

mery、by.S、4meee!は最近アプリをリリースした模様。ゆえにweb先行型。Locari、TRILL、Cielはアプリ先行型。アプリは出来が良ければ、webベースより回遊が高いので、アプリプロモーションをしっかりやれば、PVが付いてくると思われます。

グロース手法については、web先行型はmeryがSEOドリブンで、by.SがFBページドリブン。唯一DL数を公開しているTRILLやカタログカテゴリ1位のLocariはASOが強いのか。LocariはFBファン数もby.Sに次ぐボリューム。

グロース手法の一例として、FBドリブン型を考えましょう。30万ファンを獲得するにあたり、広告比率を8割と仮定し24万ファンを広告で取ったとしましょう。平均で月間2万ファンをアドオンしてきたとし、CPFを50円と仮定するとFB広告費は月間100万円で、累計1,200万程度の広告費と推計。実際はこの額から前後するでしょうが、まあ無理な額の投資ではない。

キュレーションメディアのグロースは「SEO」「FB広告」「ASO」の3つが主であり、どこにリソースを割いたかが各媒体で異なるのが面白い。この6媒体に関してはmeryが唯一スマートニュースの公式メディアであり、スマートニュース経由のトラフィックも無視できない。4つ目のグロース手法に「キュレーションアプリ対策」がある。公式メディアではなくとも、キュレーションアプリによく載るか載らないかというのはあり、対策チャネルとしては重要である。

4つのグロース手法があるが、FB広告にようなものは広告費を積んで適切な運用をしていけばリーチが伸びやすいため、コントロールしやすい。SEOやASOもGoogleやAppleのロジック変更のリスクがあるとはいえ、対策は立てやすい。だが、キュレーションアプリに掲載されるか否かは外部環境に依存するリスクが高く「スマニュー依存型」ではトラフィックが安定しない。そもそも、スマニューで読んでいる記事がたとえば「Locariの記事である」とユーザーはあまり認識していないのではないか。

各媒体の特徴:ECのmery、イベントのTRILL

スクリーンショット 2015-05-20 15.17.13

上記で主に事業数値という定量的な比較をしましたが、今度は定性的な比較を。ターゲット層と強そうな分野。EC連動の有無を記載。meryだけがちゃんとECをやる気がありそうに見えます。アプリを見た感じ。TRILLはイベント情報に強そうだなあという印象。CielはNagisa横山氏が「7月以降に本気出しますよ。ニヤリ」と断言しており、無料アプリランキング内に3-5本のアプリを送り込むNagisaが本気を出したらどうなるか、楽しみだ。

キュレーションメディアとよく紐づけられるのが「コンテンツの質」の話です。実際にクラウドソーシングで量産しているコンテンツもあるんでしょうが、「質の善し悪し」はターゲットユーザーが決めるもので、ターゲットユーザーが欲している情報であれば、彼女たちにとっては「一定以上の質」は担保されているともいえます。

◆参考記事:ニュースアプリは本当に価値ある情報を流せているか

上記の記事で「質の高い記事がグノシーのせいでネットからなくなってしまうよ」とおっさんが嘆いたことに対して、「質の高い記事って何だよ」という数多くの反発を生み燃えていましたが、PVが取れる記事=質が高いとまでは断言しませんが、その質が高いか低いか。言い換えると必要とされるか否かは読者によって異なってくるわけで、このおっさんの記事はmeryの読者にとってはゴミ記事同然なんだと思います。

おっさんから見るとこの6媒体の記事は「どれも同じやん」と見えてしまうでしょう。実際似た記事は多いし、「meryにあったやつをパクって出そうぜ」といういたちごっこは避けられない。だが媒体ごとに微妙なトンマナの違いがあり、媒体に紐づく固定読者層は異なる気がする。「meryと4meee!両方めっちゃ読んでる」というユーザーはいくら暇な女子大生でも暇すぎであろう。微妙な差異による棲み分けが媒体ごとにできているのだ。

筆者は実務で東京カレンダーWEBの共同編集長を務めているが、キュレーションメディアのローコスト構造で記事をスケールさせるモデルは、既存雑誌媒体にとって脅威であるとガチで肌で感じている。

女性誌市場はざっくり見積もって最低1,000億以上の市場規模だ。(算出ロジック:50媒体×年商20億円。月商広告費1億強、販売費数千万円後半)だが、特に三大出版社は人件費が高く、高コスト構造にある。女性誌はビジネスとして利益率が必ずしも高くはない。そこに対して、ローコスト構造のキュレーションメディアがPVを伸ばしていくと、広告主がそちらへシフトしていく世界は確実に実現する。実際にmeryには既にトヨタなどのナショクラの広告が入ってきている。

主要6媒体からどこが抜きん出るのか。現状はmeryがだいぶリードしている感が否めないが、今後の他媒体の追随に期待したい。Locariのmeryの価格以上での売却はあるのか。Nagisaの反撃があるのかがスタートアップ業界では論点となる。ローコスト構造で伸ばした後に、ブランド価値の高いメディアを作ることさえできれば、未来は明るい市場である。バイラルメディアとキュレーションメディア。隣接する分野であったが、国内では明暗くっきり分かれたといえるだろう。



Pocket

コメントを投稿する

「女性向けキュレーションメディア主要6媒体の最新事業数値と伸ばし方」に対してのコメントをどうぞ!