2012年4月からUmeki Salonを始めて6年(!)が経ちましたが、オンラインサロンという形態もすっかり定着し、ネット業界以外の人に聞いても「聞いたことある」と言われるようになり、感慨深いものがあります。
これが最初にサロンを始めた時の記事か…しょぼいなw 恥ずかしい…
私はN対Nの形を提唱し(著名人とユーザーという形ではなく、インタラクティブ性を重視)、6年もやっていると盛り上がる時期もあれば、滑る時期もあるのですが、なんとか活路を見出していきたいと思います。
本稿は5,000文字強でちょっと長いのですが、サロンオーナーにとっては多分有意義な話なんじゃないかなというのと、マーケターにとっても新たな発見を多少は提供できるかもしれないと思います。
なので、主にはサロンオーナーとマーケター向けに書いています。
ユーザーがコミュニティにいる意義を感じる「2.0」
そんな中で、2017年からは幻冬舎の箕輪氏が「課金したユーザーを働かせるサロン」というものを始めて、「オンラインサロン2.0」を(多分)標榜しています。
これは私の解釈では、何か共通の目的をサロンで共有し、そこに向かってサロンメンバーたちが各々何かしらの形で貢献する。というモデルです。
原型としては、私も1ヶ月だけ課金して覗いた堀江さんのHIUがそのモデルで、箕輪氏はそれをあの人たらし能力でサロンメンバーを熱狂させて、より活発に取り組んでいる。という感じです。
人によっては、「なんで課金して働かされるんだ?」と思うでしょうが、人はコミュニティに何かしら貢献できている。と感じることで、満足感を得ると思います。
いわば、情報を受け取って満足しているだけだと、ただの消費者です。しかし、サロンオーナーが掲げるビジョンに向けて、自分も何かしら貢献できていると感じることができれば、それは消費ではなく、共に創造していくことになるので、エンタメとしての満足度も高いと思います。
喩えるなら、高校の文化祭のノリです。まあ、文化祭のノリが数年続くと疲れると思いますがw
サロンメンバーは役割を与えられることで、そこを自分の居場所だと思いやすくなるという考えは、コミュニティ論的には一理あります。
私も初期から箕輪編集室のメンバー(招待いただき)ですが、最近はあまり見ていませんw とはいえ、勝手に彼のサロンをプッシュするなどで、少しでも認知向上に貢献してやろうという自負が(昔は)ありましたw
箕輪編集室に課金してないし、特に私がプッシュすることでフィーが発生するわけでもありません。でも、あいつが喜んでくれればちょっとはプッシュしてやろう。とか思うわけです。
この心理、「あの人が喜んでくれるならちょっと手を貸そうか」というのが、オンラインサロン2.0の本質な気がします。善意の交換による、ポジティブスパイラルが回りやすい。
企業によるマーケティング型サロンが「サロン3.0」
一応、オンラインサロンの進化の過程を紹介した上で、本題の「オンラインサロン3.0」の話です。
おそらく、これはブログメディアのようなオープンな場ではほとんど語られていない話だと思います。(Umeki Salonで話したかは忘れました)
私はかねてから、企業のマーケティング施策の一環にオンラインサロン的なモデルは有効ではないかと考えてきました。
今まで考えていた例としては、例えば私が好きな「ジョンロブ」を例に挙げましょう。(ちなみに女性の鞄の話題に対して、男性の靴の話はそこまで盛り上がらなかったようですw)
ざっくりいうと、ジョンロブ愛好家たち50-100名程度をFacebookグループに招待し、リアルイベントも含めて、愛好家同士で交流する場を作る。
この「ジョンロブサロン」のオーナーは、ブランド側がコミュニティーマネージャーを立てるのか、第三者に委託してそこにスポンサーするかの二種類が考えられます。
後者の場合、イメージ的にはmixiのコミュニティに企業タイアップが入る感じです。
まずは自己紹介で「自分が持っている靴の写真」をupしたりする。「昔の方が皮の質が良いと思うんですが、今もまあ買いますよ(苦笑)」とかそういうコミュニケーションが生まれたりする。
同じブランドが好きということで、他の趣味も近い可能性もあり「時計はどこが好きですか」とか他の話題にも発展しやいだろう。
ニッチカテゴリーを軸にした、テイストグラフ(死語だなこれ)を築く感じです。
リアル店舗のマーケティングの考え方として、ニッチであればあるほど、お客さん同士のマッチングに価値が生まれやすいのではないか。趣味が同じだと友達になりやすいとか、男女共通の場合は恋人に発展する可能性すらあるかもしれない。これは、ずっと考えてきたことでした。
そして、そのサロンの中で、ブランド側がDMの代わりに商品紹介やオーダー会の案内をしても良いわけです。
「ジョンロブサロン」の中では自然にジョンロブの話題が頻発しますから、ブランドにとっては良いCRM機能となります。
ブランドがコミュニティーマネージャーを置く予算を割いたり、第三者に依頼してそこにスポンサーする価値がある場になると思います。
言い換えると、そのブランドへの熱量が高いコミュニティを作ることは、一人一人のエバンジェリストがお互いを刺激し合い、そのブランドへの愛着が増し、見えない口コミが発生しやすくする仕組みとなるポテンシャルがあるのではないかと思います。
そのブランドに関心がないインスタグラマーに投稿をお願いするのと、そのブランドが好きな人を集めたコミュニティを作り、その人たちの周辺にポジティブな口コミを伝播させていくこと。
どちらがマーケティングとして、有用でしょうか。
インスタグラマーに依頼する型はすぐにはなくならないでしょうが、企業側にとって「マーケティング型サロン」というのは、検討に値する概念だと思います。オペレーション難易度は高いですがw
これは階層的には、ロイヤルカスタマーを囲い込み、コミュニティ化するという考え方です。特別なDMとか高いポイント還元率で1対1のマーケティングを主軸としているでしょうが、商材によってはマーケティング型サロンが機能するものもあると思います。
たとえば、「はあちゅうの美容サロン by 資生堂」とか。
この「マーケティング型サロン」の概念を聞いて、あなたはどう思ったでしょうか?
そんなのあり得ないって?ぜひツイッターなどで馬鹿にしてください。「ないわ」と言われれば言われるほど、「あるな」と確信に変わっていきます。
以前から「ジョンロブサロン」的なものがあればユーザーとして入りたいな…と妄想していたのですが、ここ最近2つの出来事があり、この「マーケティング型サロン」の需要がいよいよ顕在化してくるフェーズに入りつつあると感じています。
①:Umeki Salonの広告販売が順調
コンテンツは正直マンネリ感があるので、なんとかしたいのですがw
Facebookグループのヘッダー画像を広告枠としているのですが、Umeki Salonの場合は「500人以上いるメンバーの半分以上が経営者」という特性があり、そこにリーチしたいという広告主がチラホラいらっしゃいます。
バナーのみならず、イベントタイアップとかも需要がありそうです。
単純にターゲットに対して、頻繁にリーチできるというロジックが主かと思いますが、コミュニティへのタイアップは「あそこが最近サロンのスポンサーだよね」とサロンメンバー同士での会話のネタになりやすい点も、見えにくい広告効果としては挙げられると思います。
意外にサロンメンバー同士というのは、サロンオーナーの関係のないところで、盛り上がっているようですw
②:企業側から第三者に運営を依頼してスポンサードするモデルに関心を持つところがあるという手応えがある
これは具体的には2社から手応えを得たのですが、オンラインサロンは6年ほどの歴史があるとはいえ、やったことのない人に運営ノウハウはありません。なので、自社でやるより、ノウハウがある人に依頼したいとか、企業PRの際に自社でやるよりも、第三者にタイアップする方が広告臭が消えて良いという都合があります。
媒体への出稿予算の一部を、サロンに出稿する。自社のターゲットが集っているサロンがあればそこに出稿すれば良いし、そういうサロンがなければ、第三者に依頼してそういうサロンを作れば良い。
企業視点でいうと、「オウンドメディア」ならぬ、「オウンドサロン」という概念です。
オウンドメディアは成功例が少ない気がするのですが、PVという指標が成功の尺度となってしまいがちである、テキストメディアの特性と無関係ではないと思います。
サロンの場合は「一定の集客数」や「ターゲットユーザーとのコミュニケーションを深めること」がKPIとなりそうですが、リアルイベントを絡めたり、企業がユーザーと直接接触できる機会を作ることで、一定の効果を実感してもらいやすい気がします。
この2つの観点から、今まではピュアなユーザー課金のみが主要なビジネスモデルであったオンラインサロンに、サロンに対する広告出稿や、企業タイアップでサロンを立ち上げるという、B2B課金の可能性が出てきたと感じます。
そして、このモデルが立ち上がるためには、いくつかの「マーケティング型サロン」の成功事例が必要です。
おそらくそれは、企業のマーケティング部から出てくるのではなく、オンラインサロンで一定の成功を得たサロンオーナーにタイアップして生まれる形の方が自然で、想像がつきやすいです。
私の肌感覚では、100人以上の継続的な集客実績があるオンラインサロンオーナーは20-30人程度。私も含まれるわけですが、この20-30人のサロンオーナーには、「マーケティング型サロン特需」が今後起こってもおかしくはありません。
誰かが先陣を切って、成功事例を作ることができれば。ですが。
この「マーケティング型サロン」を具体的に落とし込んで見ると、例えば「はあちゅうの美容サロン」に資生堂がタイアップする。こういうスキームになります。「梅木雄平のジョンロブサロン」でも良いわけです。「経沢香保子のウィスキーサロン by サントリー」もありかもしれない。
昨今ではサロンオーナー経験者≒Voicy人気パーソナリティーの流れもあり、個人が企業タイアップを取ることのハードルが下がっているタイミングでもあります(これ、記事書き終わって思いついたので、強引に途中に入れたw)
サロンオーナーにとっては、広告主がいると自由度が下がってしまったり、ユーザーが広告臭を感じすぎると、あまり参加者が集まらないという課題があるでしょう。
ゆえに、2Bの対応もできるバランス感覚が重要になります。Bの予算を引き出す交渉力や、必要以上のPRさせろ的圧力をスルーするスキルなどが求められると思われますw
一定の成功を収めたサロンオーナーは2C対応の能力に長けている場合が多いということは、実績で証明されていると言えるでしょう。
サロンオーナーにとっては収益性が高そう
ということで、長くなりましたが、オンラインサロンという形態は進化を遂げており、箕輪編集室に代表される「ユーザーに役割を与え、共に盛り上がる学園祭型」がオンラインサロン2.0といえる。
そこから、「企業によるマーケティング型」としてのオンラインサロン3.0という進化があり得るのではないか。というのが、本稿の論考でした。
「オウンドメディア」が生まれた過程を考えると、十分企業のマーケティング施策の一手になり得ると思います。
機会があれば、私自らがこの型で事例を作りたいと思います。
この「マーケティング型サロン」が普及すれば、おそらくサロンのプロデュース専業で生きていける人も出てきます。
新しい職業ですよ。「オンラインサロン・プロデューサー」。
「オンラインサロンオーナー」とも違うわけで、基本は自らが主催するサロンが成功していないと、企業からの依頼も受けにくいと思いますので、自分のサロンを持った上で、マーケティング型サロンをいくつか持つというのが自然でしょうか。
今まで「サロン・プロデューサー」というのは、誰かインフルエンサーがサロンをやりたい際に、そこに対してノウハウを注入するのが自然なスタイルと思っていました。
しかし、ぶっちゃけサロンオーナーをやりたいと言い出す人は大抵個性的なので、プロデュースする側が疲れてしまいそうなのと、レベニューシェアになりがちなので、収益性が高くない。
マーケティング型サロンであれば、企業側からのタイアップ費用とユーザー課金の二輪の軸があり、個人で受注すれば収益性が高そうです。
オウンドメディアの運営を個人で受ける人もいるくらいなので、マーケティング型サロンの運営を受ける人も全然出てくるでしょう。
インスタグラマーより、サロンプロデューサーの方が成功すれば収益性も高くなるかもしれません。
マーケティング型サロンは「一定の期間限定」での取り組みを推奨しますが、感覚値的には半年くらいやったほうがコミュニティ感が醸成されやすい。インスタグラマーは1枚いくらの単発ですが、サロンは月額課金なので、月のサロン運営費例えば100万円×6ヶ月、とかでの受注を想定しやすいため。なので、サロンプロデューサーができる女子とか、強いでしょうね。
我ながら、それなりに筋が良い考えに思えてきましたw
おそらく、ただ単にサロンを運営しているだけではこの発想には至らない気がしていて、私はマーケティング自体が好きで、マーケティングのコンサルをたくさんやってきたり、媒体のプロデュースをしてきたという、法人のマーケティング視点を持っていたから行き着いたのかなと思いました。
ということで、実際にお受けするかは別として、「マーケティング型サロン」に関心がある、マーケターや企業の方は、私のFacebookまでご連絡ください。
初回からコンサルフィーありか、自分にとって見込みクライアントになりそうな場合は初回無料でご訪問します。
という、読者の皆さんにとっても実用的なオチで筆を置きます。本稿の内容をベースに、御社用のカスタマイズを議論しましょう。的な感じです。
下記に沿ってご連絡いただけると嬉しいです。
問い合わせ先:Yuhei UmekiのFacebookメッセージ
マーケティング型サロンの問い合わせ
ご担当者名:
企業名:
どんな話を聞きたいか&どんなマーケティング課題を持っているか: