コスト構造や月額課金モデルから考察するレアジョブのビジネスモデル

Pocket

レアジョブに関して考えれば考えるほど面白くなってきたので語学スタートアップ比較記事とは別途投稿。売上高とコスト構造に一歩踏み込んで月額課金モデルに見られる特長について言及します。

レアジョブの推定売上高

会員数5万人を突破したとのリリースを見かけましたので、月額課金が4つの料金体系の平均を取ったとして5,000円と仮定すると月商:2.5億円に達しており、単純計算でいけば今期は年商30億円くらいではないか。

単純な売上高ベースで観ればスタートアップに分類すると良い数値であると言えます。上場に関しては営業利益ベースでの判断になるので、コスト構造を見てから言及します。

英会話スクール業界他社状況

ざっと見たところこの比較がわかりやすかった。1授業あたりの平均値は40分7,500円といったところでしょうか。しかもこれ最初に回数を一括して払わなきゃいけないとかだたかな。となると40回×7,500円=30万円。
まあ、こんなもんですよね。僕は検討したことはありませんが感覚値的にはこんなもん。

上場企業でいうとGABAあたりの決算情報がわかりやすいが、マーケット自体は2007年のNOVAショックが結構でかかったようですね。英会話スクール全体の期末会員数の推移はピークの2005年80万人から2009年は34万人くらいまで落ち込んでいます。

GABAを2009年の数値で見ると売上高67億、年間平均クライアント数17,000人。純粋に売上高がレッスン料のみと仮定すると1人辺り売上約400,000円。業界の何番手かはわかりませんがわりと大手に見えるGABAでもこの数字。厳しいですね。

英会話スクール全体の会員数34万人の中にレアジョブさんの数値が含まれているかわかりませんが上場企業のGABAの数値に対して「会員数5万人突破」という数字は立派だと思います。あとGABAは教室の家賃が10億円くらいかかってますね。オンラインのレアジョブさんには教室の概念はありませんからここでだいぶコスト優位性がありますね。

レアジョブのコスト構造 と月額課金制の罠

考え方によってですが50分129円のレアジョブvs40分7.500円の英会話スクールという構造を作り出せているのは明らかにコスト構造に優位性があるからこそできる業。コスト構造を詳しく見ていきましょう。

▽通常の英会話スクール(GABAの2009年決算を参考)

売上原価:スクール人件費、委託報酬、家賃、その他
販管費:本社人件費、マーケティング費、本社家賃

売上原価の「スクール人件費」「委託報酬」この2点が、レアジョブと英会話スクールで構造が異なるのと、そもそも売上原価にレアジョブは家賃が入らないという点がコストを圧縮している。通常の英会話スクールの「スクール人件費」「委託報酬」は、1回あたりのレッスンで必ず発生するものになります。この1回あたりレッスン費を発生させるのではなく『月額課金』がレアジョブの成長ドライバーと言えそうです。

月額課金モデルほど優等生的なビジネスモデルはないと昔モバイルコンテンツの事業に携わった経験からも私はそう感じています。月額固定にすることで毎日25分レッスンすれば1回あたり最安129円になりますが、さすがに毎日やる人はほとんどいないし1ユーザー当たりの月間平均利用回数は感覚値ですが5-6回くらいなんじゃないだろうかと。

それでも1回あたり1,000円くらいで十分安いのですが、それに加えて「委託報酬」等にあたる人件費がフィリピンなので、日本の教室で欧米系外国人に支払うより安く抑えられる。フィリピンの大学生の時給がいくらくらいなのかはわかりませんがこのサイトでは時給200円くらいで雇えるとあります。数値が10倍とかにぶれることは感覚的になさそうなので200-500円くらいのレンジかなと思います。

仮に1ユーザー月額5,000円で5回のレッスンで、時給500円(厳密にいうと1レッスン25分とすると半額の250円)だと改訂しても粗利3,750円。
レッスン回数と時給という変数はありますが、十分に利益が出る体制と言えそう。仮に25分の1レッスンあたりの原価を250円と仮定すると、損益分岐点は月20回のレッスンといえそうです。相当熱心なユーザーでないと月20回も頑張れないでしょう。

レアジョブさんは「英語が話せる日本人が増えてほしい」というビジョンをお持ちですが、収益的には月額会員になってもらってレッスンを利用しないという逆フリーライダーのような形が最も利益を生む形となると推測します。ヘビーユーザーが増えても十分に利益が出せそうな体質ではありますが「月額課金モデルほど優等生的なビジネスモデルはない」と僕が指摘する背景にはこの「逆フリーライダーの発生」という現象があります。

レアジョブの競争優位性のまとめ

1.スクール を持たないことによる売上原価の圧縮
2.月額課金制による安定的なキャッシュフロー
3.フィリピン人講師による人件費の圧縮
4.上記の継続による継続的に利益が出る体質

営業利益を年次で推測してみると
売上:30億円
売上原価(人件費):月額10レッスン、1レッスン25分250円と仮定=2,500円
⇒売上の半分なので15億円(かなりコンサバにみた数値)
販管費(本社人件費)社員40人×年収500万円=2億円
販管費(マーケティング費):数億円(TVCMは出してないので3億以内と見られる)
その他雑費:数億
推定営業利益:5億円は残るでしょ。

十分良い数値ですね。2012年中の時価総額100億-200億レンジ以上での上場を予測します。公開情報から推測するとこういう分析結果となる。

レアジョブの今後の成長戦略

前記事で指摘したようにBtoBの顧客数を伸ばすこと、BtoCでは5万人突破したということもあり、ネットメディアなどへの広告出稿、10万~20万人を超えてきたあたりでTVCMかなというところでしょうか。英会話系は昔よくTVCMを出稿していましたし、親和性は十分あるかと思います。



Pocket

コメントを投稿する

「コスト構造や月額課金モデルから考察するレアジョブのビジネスモデル」に対してのコメントをどうぞ!