インスタグラマーPRのタグピクに聞いた、インスタグラマー広告市場の展望

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2016年に入り国内でもInstagram人気が加速している。2016年4月には国内のMAUが1,200万を突破したという報道もあった。筆者の周りでもF1層の女性を中心にアクティブユーザーが多いようで、Facebook疲れの逃避先としてのInstagramから、Instagramが主戦場になりつつあるように思える。

アンケートをとるとF1層がさほど多くないと思われる筆者のフォロワー層でも、1日100枚以上の写真をInstagramで閲覧するヘビーユーザーも少なくない。

2015年10月にはInstagram内でのタイムライン広告も解禁され、いよいよマネタイズフェーズへ移行してきているといえる。 Instagramで想定されるマネタイズは下記の通り。

①:タイムラインへの広告出稿(Instagram自体と代理店の収益)
②:アカウント運用(Facebookページ運用と類似)
③:インスタグラマーのキャスティング(Ameba記事マッチと類似)
④:meryなどのメディアによる広告商品化(メディア広告メニューの一例)

Instagramに関連する様々な事業機会がある中で、今回はインスタグラマーのキャスティングを手がけるタグピク代表取締役安岡あゆみ氏(通称:プロ岡氏)に話を伺った。

タグピク

*記事は約5,000文字。結構長いよ。

実は30歳前後の女性が増えているInstagram

筆者もプロ岡氏にヒアリングするまで思い込んでいたのだが、国内におけるInstagram利用者は若者だけではなく20代後半から30代前半もボリュームゾーンになってきているという。肌感覚として筆者と同年代のユーザーも多数いることから、間違いないであろう。Instagramは20代前後のメディアと思い込むのはもはや勘違いである。

一見、童顔に見えるがプロ岡氏自身も実は28歳。 彼女自身、Instagramが大好きで投稿枚数は3,000枚を超える。自身も読者モデルとしての活動経験もあることから、同年代前後のインスタグラマーの気持ちがわかり、キャスティング事業に役立っているという。

28歳で鮨さいとうなど、なかなかのプロ感を醸し出している。話が逸れたが、最近ではInstagramでのおっさんの投稿が非難されるなど(#カレー部とか寒い、という話など)おっさんのInstagram進出も始まり、ユーザーの年代の裾野は広がっていき、ゆえに広告機会として魅力的な市場が形成されていくであろう。

Instagramは指名ではなくネットワーク販売がほとんど

Instagramと相性の良い広告主の属性があるであろう。筆者が推察するにアパレルは相性が良く、安岡氏はアパレルのPR経験もあるとのことで、タグピクはアパレル関連の案件を多数扱っていると推測される。

逆にカードローンなどのInstagramの世界観を汚しそうな広告主は出稿しても効果が悪かったり、「広告が不快」ボタンを押されてしまうことが少なくなさそうだ。

プロ岡氏曰く、広告主はインスタグラマーを指名発注することは現状ではほぼなく、今後もあまりないのではないかと想定している。広告主も芸能人以外のインスタグラマーは知らず(筆者もGENKINGをB Dash Campで知った程度)指名発注ができないという認識の差(アサイン難易度の高さもあるだろう)があるだろう。megbabyが有名とか聞いても、知らなかったぜ…

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megbaby👶🏽🍭さん(@_megbaby_)が投稿した写真 –

こちらがユーザーローカルによるフォロワー数ランキング国内で10万フォロワー以上擁するアカウントは543件。meryでも10万フォロワー手前という段階だ。

例としてインスタグラマー1人で10万フォロワーとか、インスタグラマー10人で述べ10万フォロワー、といういうような出稿の仕方が多いらしい。広告主からするとInstagramユーザーに一定量リーチできれば良く、ある程度自社商品のターゲットを抱えるインスタグラマーであれば極論誰でもいい。そうなってくると、インスタグラマーをネットワーク化した広告商品が売りやすくなってきており、タグピクはそういったネットワーク商品を売る。

インスタグラマーのキャスティングという商品(写真や動画の投稿だが)はインフルエンサーマーケティングという構造においては、Amebaブログが元気だった頃の記事マッチと同じと言える。辻希美が記事を書くと1本360万円とか、成功事例としては芸能人が書いた記事経由で美顔器が1,000個売れたといった話もある。

プロ岡氏曰く、インスタグラマーは芸術を追求しており、さほど営利主義ではないという話もある。フォロワーが多いインスタグラマーに金を積んでも出稿できるとは限らず、それであるがゆえに、3-5万フォロワーのインスタグラマーのネットワークが当面の主軸商品となるといえるかもしれない。

法人メディアが運営するInstagramアカウント

インスタグラマーのような個人に焦点が当たりやすいが、いち早くInstagramに取り組んできた法人アカウントも紹介しよう。 国内のメジャーどころといえば、北欧、暮らしの道具店。Instagramに限らずメディアコマースの成功例として最近注目されているが、Instagramへの取り組みも早く、すでに37.5万フォロワーを獲得している。

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これだけフォロワー数がいれば、Instagram上でのマネタイズも可能と思われる。

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@uniqlo_ginzaが投稿した写真 –

ユニクロの銀座店は15.8万のフォロワーを擁する。ユニクロはオフィシャルアカウントより店舗の方がフォロワー数が多いというねじれ現象も起きているらしい。また、ロカリとの共同キャンペーンである#ロカリユニコは4,900件もの投稿数がある。

ユニクロのマーケティング力も去ることながら、案外インスタグラマーはお金がなくて、ユニクロを愛用せざるを得ないという社会構造もあるがゆえに、ユニクロがウケるのではないかと筆者は推察する。

実は利益率が高いインスタグラマーキャスティング事業

タグピクは2016年3月1日時点の公表によると、インスタグラマー1,400名のネットワークを保有する。その半分は提携による東南アジア中心の海外のインスタグラマーであるという。残り半分の700名は国内のインスタグラマーであり、500名程度が直接契約、200名程度が芸能事務所を通しての契約となっている。

具体的な利益率は案件により異なるため非開示とのことだが、インスタグラマーのキャスティング事業は通常の代理店事業よりも利益率を確保しやすい構造にあるようだ。下記の図の通り。

スクリーンショット 2016-05-06 11.19.57あくまで一例でありタグピクの利益率とは異なるという事を注釈するが、上が通常の商慣習であり、法人が運営するメディアの場合はメディア取り分70%で代理店30%。グロス100万円の商品を売ると、メディアは70万円の収益となる。

これがインスタグラマーの場合だと、個人である場合と事務所を通す場合に分けられるが、個人の場合だとメディアの70%ほどはインスタグラマーの取り分はなく、キャスティング会社が得られる利幅は案外大きい。キャスティングには工数がかかり、案外大変であるが、通常の法人が運営するメディアよりは利幅を確保しやすいという構造にあるのは確実にいえるだろう。

ざっくりとしたインスタグラマーの価格相場としては、10万フォロワー(1人でないしは複数でどちらでも)のリーチでネット価格35万円前後。ここに代理店がマージンを乗せて50-70万円で販売する。これくらいの数字が一つの目安といえよう。

TheStartupが想定するタグピクのシナリオ

同社は最近ブイブイいわせている3ミニッツとは異なり、動画制作は内製しておらず、GINIやMINEのようなメディアも持っていない。

キャスティング事業が主軸でIPOするのは想定しにくく、Instagramを商品として売り出したい代理店やプロダクション事業を傘下に抱えたいメディア、インスタグラマーにモノを売って欲しいアパレルメーカーやEC企業への売却が現実味があるといえる。

Instagram市場の立ち上がりは、2年前のキュレーションメディア事業の立ち上がりと同じ構造と香りがすると筆者感じている。参入障壁の低さゆえに、立ち上がりスピードの速さが肝である。キュレーションメディア戦線においては、筆者は4meee!への投資仲介を実行し、半年で売却となった過去事例を体感したことから、タグピクにおいても同様の「EXITの香り」を感じたため、年内にM&Aされると予想して、筆を置きたい。

プロ岡氏曰く「米国では1投稿で数千万円を稼ぐインスタグラマーもいます。日本でもインスタグラマーのポテンシャルを最大化できるように頑張りたい」とのこと。

どのような着地となるか、プロ岡氏の手腕に期待したい。



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