ピッチアリーナの優勝は貿易業務効率化のサークルイン #bdash2017夏

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少し頭が痛くてやや辛い中、B Dash Camp2017夏ピッチアリーナの様子をお届けします。メディアには今回からB Dash Camp事務局からピッチアリーナ本選の登壇企業の概要が送られてきたので、それをそのままコピペし、+αとして会場のツッコミと私の見解を述べていきます。

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審査員(敬称略)
朝倉祐介:Tokyo Founders Fund
木村新司:AnyPay
國光宏尚:gumi
上原仁:マイネット
山木学:イトクロ
小室哲哉:特別審査員

山木さんが審査員として登壇されるのは非常にレアな気がします。イトクロの時価総額は現在570億円。中田英寿氏にやはり似ていますね。

優勝はShippioのサークルイン、準優勝はHRアナリストのシングラーでした。2位以下に圧倒的な差をつけての優勝だったそうです。

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勝手にTheStartup賞Patoのキネカにしておきます。

なお、主催のB Dash Camp渡辺氏からは、ピッチアリーナに限らず今回の全体感として「皆さんの危機感が足りない」というお声を聞いた。

たしかに、回も重ねていくとやや観光気分で来ている人も見受けられ、たしかにカジュアルなコミュニケーションからも有意義な関係は構築できるのだが、こういう業界イベントの場に来ると、未来をどう考えるかとか、そういう健全な議論に対する熱量がある人とそうでもない人は明白に分かれているなという印象を受けました。

OTON GLASS:文字認識技術を使った文字読み上げ眼鏡

【サービス概要】

文字認識技術使った文字を読み上げてくれる眼鏡。文字を読むことが困難な 読字障がい者、著しく視力が低かったり視野が欠けたりしている視覚障がい者、高齢化に伴う視機能の低下などで複数の眼鏡を保有している視機能低下者などを対象としている。

OTON GLASS を掛けると、目の前にある文字をカメラで撮影し、文字認識技術でテキストデータに変 換し、それを音声として読み上げることで、ユーザーは内容を理解できる。最終的には、本当に求めている人々の手元に OTON GLASS を届け「誰もが文字を読むことができる世界」を実現する。

すでに受注生産で販売を開始しており、サブスクリプションモデルでのサービス展開も検討中とのこと。

【審査員のツッコミ】

Q:単価とビジネスモデルは?割と誰でもすぐ作れると思うけど(國光)

A;1台40万円で、年間使用料をもらっている。だが、今後もっと単価は下げていく。すでに当社にデータが溜まっていくので、先行者優位があると考えている。

Q:一般的には売却モデルの事業だと思うが、どういう売却先を想定しているか(上原)

A:家電メーカーや眼鏡メーカーが想定される。ある程度のこの市場を作ってからじゃないと、メーカーもこの領域に手を出しにくいのではないか。

Q:ユーザーはどれくらいの時間、どういうシチュエーションで利用しているか(木村)

A:視覚障害の方の日常の小さい不便を解決する際。郵便が来た際に、何が来たかを判別するとかそういう時に使われている。

Q:利用頻度がそこまで高くない中で、グラス型である意味があるのか(朝倉)

A:ユーザーからスマホより眼鏡の方が楽だと言われる。

【梅木の見解】

下記の動画を見ていただくのが早いと思います。3分なので長いですが。非常にシンプルな課題を、IoTで解決するというわかりやすいサービスですよね。ファウンダーの方が、お父様の失読症をきっかけに、このスマートグラスを開発したそうです。ストーリーも非常に自然です。

下手なGoogleグラスよりシンプルに課題解決でき、文字が読めない人はグローバルで1-3億人いて市場規模もかなりあるということで、上原さんのいう通り、私も売却モデルかと思います。

【URL】http://otonglass.jp/

ウィファブリック:SMASELL(スマセル)

【サービス概要】

あらゆる企業が頭を抱える不動在庫を早く・手軽に・効率よく企業間で売買 できる繊維・ファッション業界の B2Bフリマサイト。処分したい企業と必要とする企業をオンラインマッチングする。

処分したい企業は、不動在庫を決算前に流通価格の100 分の1程度の価格で売ったり、売り切れず廃棄していたりしていた。これを必要とする企業とマッチングす ることにより、様々なバイヤーに在庫を販売することが出来る。必要とする企業は、手軽に格安価格で仕入れることができ、条件に合わない場合でも交渉機能を使ってアプローチすることができる。

8,000万トンの不動在庫を、オンライン上で通常価格30-99%オフで売買するマッチングサイトを提供している。登録者数は100者ほどで、既に出品依頼総額は20億円。

【審査員のツッコミ】

Q:バッタ屋に売るよりとどれくらい売り手は特になるのか?(國光)

A:今までは上代の5%だったが、百貨店などに売れれば上代の25%程度で買い取ってもらえる。

Q:買い手はどういう人なのか(朝倉)

A:ディスカウントショップ、百貨店、GMSなど

Q:本当に売りたい人はヤフオクとかで売ってると思うが(木村)

A:スモールBはヤフオクやメルカリで出品している場合が多いが、大手の商社などはコンプラ的にそういうサービスを使いにくいので、スマセルに需要があると考える。

Q:ハイブランドが日本で安売りされると困ると思うが(小室)

A:海外であれば、日本のブランドが知られていない場合があるので、そういうところに売っていく

【梅木の見解】

どこかの記事で見た記憶があるサービスでした。地味な領域ですが、プロ向けのフリマサイトのようなものは、潜在的な需要がありそうです。しかし、アパレル業界のクソアナログな状況だと、利用率が高まるのに相当な時間がかかりそうな印象で、文化的にグロース速度をが遅い事業になるかもなと感じました。

【URL】https://www.wefabrik.jp/

シングラー:競り負けない採用を実現するHR アナリスト

【サービス概要】

新しい時代の採用を実現する人材分析プラットフォーム。人口減少や働き方 の多様化など採用難易度が上がる中で、経営者や人事が創造的な採用活動にフォーカスできる よう、効果的な採用の意思決定をサポートする。

人材分析、エンジニアタイプ分析、ワークスタイル分析など、職種や分析したいことに合わせたツールを用意しており、経営者や人事担当者に低コストで競り負けない採用シナリオを提案する。

応募者に応募前アンケートをとって、そのデータをもとに思考特徴や購読特性を分析し、どういう戦術で面接に臨むべきかを提案する。相性が良い面接官やリクルーターもデータをもとに提案される。月額29,800円。人材分析を採用に活用しているのは、HRアナリストだけ!とのこと。

【審査員のツッコミ】

Q:簡単にパクれる気がするんだが(國光)

A:採用系の仕事を長くやっていたので、採用戦術の提案ノウハウが、我々にはある。

Q:当社では採用時に性格診断を実施し、誰と誰が合わないかというデータなどをとっている。このサービスをぜひ導入したいが、導入ハードルが高い場合はどういうパターンか。また、ロジックにどういう強みがあるか(木村)

A:エース級の採用担当者がいる場合は、導入ハードルが高いという想定は持っている。ただ、教育ツールにもなるので、そういう需要はある。出力までのロジックは、パクられないように複雑にしている(企業秘密❤️)

Q:アトラエあたりがパクってきそうな気がしたが。他社が入ってこないうちに拡販するかがポイントだと思うが(上原)

A:セールスの経験がある人材は社内にいないので課題と感じている。

【梅木の見解】

採用を科学するという観点は、面白いと思います。データをもとに採用を効率化できるという点は魅力的ですね。パクられやすさは皆さんの指摘通りありそうで、上原さんの指摘通りセールスの拡販がポイントだと思います。

SaaSの低価格隊はセールスというかマーケティングでのグロースがポイントに思えますね。HRテックが最近増えてきていますが、その中では私には比較的刺さりの良い部類でした。出資のオファーが殺到しそうな気がします。

【URL】https://hr-analyst.com/

Laboratk:Smart Bot A; (エー)

【サービス概要】
チャットのやり取りを解析し、チームのエンゲージメントを自動で見える化 するチャットボット。チームメンバー同士のエンゲージメント(関与度や熱意)を見える化するこ とで、成果につながるやり方を実践するように導く。

2017年2月にローンチし、日米550社が導入済み。

【審査員のツッコミ】

Q:マネタイズは?会話から何がわかるのか?(國光)

A:月額で1ユーザーあたり1,000円以下か、ライセンスモデル。リモートでプロジェクト進める際に、誰と誰がコミュニケーションしてるか可視化することに意義がある。

Q:エンタメだと人の心を操れるか。どう人の心が動いているか知りたい。コンテンツクリエイターへの提供は可能か?(小室)

A:次はまずはブラックな業界へ導入していき、そこの不満を吸い上げていきたい。苦労している人の心を見ることで、救える可能性がある。

Q:どうやって導入企業数を伸ばしたか。競合はどこか(木村)

A:広告は一切打っておらず、10数媒体のメディア掲載経由が中心。エンジャパンの傘下に競合サービスが一応ある。

【梅木の見解】

フリーランス的な働き方をしている私はターゲットになるのですが、チームワークを可視化して「で?」と感じましたね。前述のHRアナリストと比べてると、解決する課題が不明瞭と感じて、誰がストレスを抱えているかなどがわかるような、予防医療的なサービスだなと感じました。

特に日本企業ではまだ理解されにくい領域で、様々なHR課題がある中で優先順位は後の方に感じるので、成熟した企業に刺さりやすいのかなと。朝倉さんがユースケースについて質問されていたが、あまりユースケースが需要が高いように思えなかった。

小室さんが「人の心を読む」という点に強く刺さっていたのが印象的で、今の時代の人々の感情を読んで、その先を提示するような音楽の作り方をされていることが垣間見れました。小室さんはかなり細い分析精度を求めていましたが、現状のこのサービスだとそこまではまだ実現できていないようです。

【URL】https://laboratik.com/

キネカ:エンタメ版Uberのpato

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【サービス概要】

飲み会に最短 30 分で様々なユーザー(キャスト)を呼べるエンタメ版 Uber。 登録キャストは大学生から芸能人やマジシャンなど数百名おり、エンタメスキルを持つ個人の 収益化に貢献しながら、余暇時間を楽しくする。

出会い系サービスでいいねをもらえている男 性は全体の約 6%しかいない中で、課金すればすぐに素敵なキャストと出会えるという圧倒的体験を提供し、エンタメ市場数千億の市場をリプレイスする。また、来年までに控える、出会い系サービスの CM 解禁なども大きな成長トリガーになる。

ウィークリーの流通総額は100万円台で、ソーシャルゲームより高い52%のリテンションがあるそうです。

【審査員のツッコミ】

Q:合法?(國光)

A:合法です。B2Bだと風営法違反になるが、C2Cだとならない。

Q:札幌は対応しているんですか?(山木)

A:対応しておりません

Q:このサービスの意義は(朝倉)

A:衣食住が満たされた次は、コミュニケーション欲求を満たす必要がある。出会い系サービスが出会えない系になってしまっている(いいね!もらえる男性は6%しかいない)中で、会えて楽しい場を提供したい。コミュニケーションが人を幸せにすると思っている。3週間で手取りが36万円稼いでいるキャストも出ている。

Q:これは個人をエンパワーメントするサービスなのか?(木村)

A:そうです!

【梅木の見解】

藪本CEOと前日にすすきのの相席屋でご一緒しましたが、街コン事業をmixiに売却しており、出会い系サービスの最新事情に異様に詳しかったり、いいね!をもらえる男性は6%しかいないなど課題発見のセンスが良かったりなど、この領域への愛が非常に感じられる起業家でした。

話を聞く前はピンテックだと思っていたのですが、ピンテックに見られないようなブランディングをいかに頑張るかがポイントで、スマホライブができるとか、そういうお化粧をこれからしていくようです。

ネタ枠として見られがちな案件かと思いますが、案外いろいろしっかり考えられていて、DMMに売却はできそうな案件だと思いました。1度、東京で使ってみます。パッと会えるから、Patoなんですね。

開示事項:藪本CEOはUmeki Salonメンバーです

【URL】http://apple.co/2hurwIa

サークルイン:貿易の効率化サービスShippo

【サービス概要】

事業会社が物の輸出入を行う際に、船便や航空便などの手配や貿易に関わる 煩雑な事務手続きを効率化するウェブサービス。輸出入に関する手続きは現在も手書きの書類 や電話、FAX、電子メールなどが使われており、不透明な部分も多く、非効率な作業を強いられている。

これを改善することを目的とし、商社やメーカーの物流部門だけでなく、国際物流事業者なども顧客対象としている。

【審査員のツッコミ】

Q:FAX中心の人たちが使えるようなUIになるのか?料金体系は?(朝倉)

A:使いやすいユーザーを目指している。月額2万円から始めて、ベーシックやプレミアムなどプランを拡充していきたい。

Q:流通額ベースでのマネタイズは考えないのか(上原)

A:流通の真ん中の入ることは考えていない。あくまでソフトウェアの提供で完結したい

Q:与信や保険への展開は考えているか(木村)

A:考えている。特に地銀とかとは相性が良いビジネスだと思っている

【梅木の見解】

三井物産出身の方々によるサービス。商社にとっては、非常に意義がありそうですが、スケーラビリティが気になるところですね。EXITに関しても、特定の商社が買収すると他の商社が使いにくくなってしまうという構造があり、事業モデル的に売却難易度が高い気がしました。ピンポイントでしか、EXIT先がなさそう。IPOモデルになるほどではないと思います。

しかし、優勝はここだったんですよね。うーん。。個人的にはピンとこない。

【投資家】500 Startups Japan、YJキャピタル、East Ventures
【URL】https://www.circlein.global/

以上です。とりあえず札幌でPatoを使ってみようという方がいらっしゃったらしいというのが、面白かったですね。



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