クリリンとは付き合うべきか？

直近で自分と食事を共にした５人の平均年収が自分の年収である。という話を聞いたことがある。付き合う人が自分を映し出す鏡である。という説を僕はわりと信じている。

最近友人と「自分がスーパーサイヤ人を目指すと仮定した際に、クリリンとも付き合うべきなのか？」という議論になった。この比喩が意味するところは、本誌読者なら理解してもらえると思う。

確実に燃えそうなお題であることはわかっているので前提条件を置いておきたい。僕自身はスーパーサイヤ人なわけではなく、スーパーサイヤ人を目指したい人。どんなにエクスキューズしたとしても、この記事は傲慢と捉えられることは百も承知であえて書きます。

冒頭で述べた通り、付き合う人が自分を映し出す鏡である。成長意欲が高い人は自分よりレベルが高い人と接する機会を増やすべき。そういった相手からリピートしてもらえるように自らの魅力を高める努力をすべき。会食なりビジネスを共にするなりで、相手に得るものがあったと思ってもらえるように努めよう。

一方で、自分よりレベルが高い人とばかり接するわけでは必ずしもない。後輩であれば今後の伸び白に期待し、可愛がり、エールを送ることもあるだろう。僕だって目上の方々からのそうした恩恵に預かってきた。

僕は高校や大学の同窓会に誘われても気乗りがしない。同級生が嫌いなわけではない。しかし、かつての同級生と語らっても何ともいえぬ物足りなさを感じることが多い。「独立した」と言ったら「え？脱サラしたの？」と言われた時はショックだった。サラリーマンより全然今の生活に満足だけど。

正直言うと、何年か振りに会うかつての同級生はスーパーサイヤ人に近づいている確率は低く、だいたいクリリンレベルだったりする。クリリンにはクリリンの生き方があることを否定するつもりはないけど、多分否定しているように聞こえるだろう。それは新しく出会う人もそうで、ベジータからピッコロ、クリリンまでいる。

僕としてはベジータと一戦交えることで多くを吸収したいし、ベジータにも刺激を与えられる存在になりたいと願う。そうした努力を惜しまないつもりだ。何よりそれが一番楽しい。精神と時の部屋での修行が楽しいのだ。ただ、クリリンは精神と時の部屋の修行について来れず、早々と脱落することもあるだろう。

比喩でオブラートに包んだつもりだった。直球で羅列するとこんな話だ。

・付き合う人間のレベルを見極めろ
・自分より下のレベルの人間と付き合うべきなのか？
・付き合う際は全体のうち何％くらいの比率を心掛けるか
・将来化けそうな若者と付き合うのはありか否か
・同い年のクリリンはゴメンだなどの境界線はあるか

「相談があります」と誘われて、助言ばかりして自分は特に得るものがなく帰ってくる。そんなことは案外少なくない。クリリンであればあるほどエネルギー量が低いからか、相手に与えることができる刺激の量も少ない。

スーパーサイヤ人に近づきたい自分としてはクリリンと遊んでいる暇はない。クリリンと飲み会をしているくらいなら、読書したり記事を1本書く方が確実に自らのValuationが上がる。せめてスーパーサイヤ人たちにピッコロくらいの刺激は与えたいものだ。群れない人が能力を伸ばしやすい背景にはこういうロジックもある気がする。

自らがクリリンであると自覚している人は、どうすればスーパーサイヤ人の役に立てるかをまずは考えるといいだろう。それはサイヤ人の需要に合いそうな知り合いを紹介することとか、些細なことかもしれない。するとサイヤ人は「なかなか使えるクリリンではないか」ということで、共に修行する時間を取ってくれるようになるかもしれない。

成長意欲のない人にとって本稿の内容は当てはまらない。ただ、本誌読者の皆様におきましては成長意欲の高い方々であって欲しいと常日頃思っているし、成長意欲がなければこんな堅くて長い文章を読んでいないはず。

自分はサイヤ人と付き合う努力をしているか？居心地がいいからといってクリリンだらけの周りのぬるま湯に浸かっていないか？日頃の人付き合いの行動習慣を考えてみてはいかがでしょうか。

僕はこういう人が無意識下で感じていることを言語化してしまうので「何なんだあいつ」とか「生意気だ」と言われます。しかしそういう意見の人自体がほとんどクリリンなんですよね。サイヤ人の見地だと「一理あるね。面白いじゃん」と言う度量のある人が多いと思います。

＊本稿におけるクリリンとは、スーパーサイヤ人などと比べて成長率の低い人材のことを指す。1年振りに会っても大して成長しておらず、自分が成長していた際に物足りなさを感じるような人材。今回はスーパーサイヤ人になるきっかけとなった「クリリンのことか！」理論は適用しない。もちろんクリリンはいいやつだ。ただ、無害なだけで刺激的かというとそうではない。