記事の「価値」の構成要素 #The Media4

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メディア(ここではパブリッシャー側の一次メディアと定義)は分解すると記事や特集の集合体です。メディアを分解した最小単位が記事であり、記事のテイストがそのメディアの色を決めます。

「価値」とは、「或るものを他のものよりも上位に位置づける理由となる性質」とwikipedia先生は申しており、相対的なものです。

「質」とは、「そのものの良否・粗密・傾向などを決めることになる性質」とwikipedia先生は申しており、かなり定性的なものです。

「価値」と「質」は似た言葉ですが、扱いが難しい。今回は主に「価値」としてみることにしました。

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事実(ストレートニュース)の価値は時間と相関性あり

時事的な事実(ストレートニュース)に関してはみんなに知れ渡る前は価値が高いし、知れ渡った後は価値が暴落します。例えば、The Startupが真っ先に「グノシー、スマートニュースを50億で買収」という記事を出したとしましょう。事実にニュースバリューがあれば、最初に記事を出すことに価値があります。

スクリーンショット 2014-07-10 21.18.36しかし、この事実が知れ渡った翌日に同じような内容の記事を出しても、無価値に等しい。みんなもう知ってるから。情報の非対称性に価値は発生するというわかりやすい例かと。コモディティ記事は1日で無価値に等しくなるので、僕は極力避けるのです。

時間経過に耐え得る価値は「意味のある独自性」

どのメディアであっても、報じる事実は時間経過と相関して価値が下がる。それでは時間経過に耐え得る価値を持つ記事を構成する要素は何か。「独自性」「明瞭性」の2点が挙げられると思う。

まず独自性。他にない視点や発想が記事に盛り込まれていれば、読者にとってそれが新たな発見になる可能性が高い。気づきを与えられるか。事実のみでも気づきを与えることはできますが、事実を様々な確度から眺めたり、分析することで、異なる見方を提供する。読者の脳内に思考の余地を残す。こうした独自性には「意味」があると感じます。独自性があっても、それが読者に役立たなければ無価値です。

その記事の独自性に惹かれる読者が多ければ、その記事はより長いスパンで読まれる確率が上がります。多くの人が当該ネタの参照にしたいと思い、参考としてメールで共有したりや他のメディアでリンクされることもある。当該ネタの賞味期限と記事の賞味期限の相関はあるでしょうが、抽象的な概念で独自性が高い記事は、賞味期限も長くなり価値も上がる傾向があるのではないか。

独自性の高い記事は代替可能性が低く、真似されない。僕がここを徹底的に掘る理由はそこにあります。そうしたメディアは幅広い無味無臭な読者ではなく、熱狂的な少数の読者を獲得する。そこにThe Startupの運営では価値を置いているし、ある程度市場が限定された雑誌などもそうあるべきではないかと思う。

明瞭性は大事だが、読者の意見を鵜呑みにする必要はない

次に明瞭性。よくわからなかったことが、その記事を読んで理解できた。今だと「ビットコインが3分でわかる記事」という記事があって、実際に3分で理解できれば高い価値があるといえます。記事を読んでいて、何に気づきを得るのかは読者次第です。

たまに読者のツイートなので「結局、何がいいたいかわからなかった」と言われることがあります。これは非常に悩ましい。メインメッセージを明瞭にし、伝わりやすい書き方をする必要がある場合もあるし、あえてわかりにくくして、わかる人にだけ伝えるというコンテクストを紡ぐ場合もある。

送り手としては、極力多くの人に届けたい意図があれば、多くの人に伝わる伝え方をする必要があるし、あえてテクニカルタームで固めてそれでコンテクストを形成し、届く読者を限定する書き方もある。「結局、何がいいたいかわからなかった」という感想に対しては、書き手は反省する必要がある場合もあるし、その読者をターゲットにおいていなければ、切り捨てて全然良い場合もある。

ただ、「わかりやすさ」は内容云々ではなく、表現が下手で伝わっていないということが僕も含めてよくある。伝えたい相手に、表現が下手で伝わらないのは本意ではない。上手く伝える努力をすべき。頭に入りやすい文章になっているか、試行錯誤した方が良い。この記事も「マジわかりにくい」とターゲット読者に思われれば、僕はわかりやすくする余地があるんだと思うし、どうでもいい読者に「わかりにくい」と言われれば、その人の頭じゃ理解できないだけで、そのレベルにまで落とすつもりはないというだけです。

PVが高い記事=価値が高い記事ではない

PVが高い記事は一見価値が高いように思えますが、決してそうではない。「多くの人の目に触れる=(相対的に他の記事より見られており)価値が高い」という捉え方もできますが、例えばPVを取っても炎上してボコボコにされている記事に、PV相当の価値があるとは思えません。

*アドセンスという広告プラットフォーム上で定量化された際には、PVが高い方が価値があるとはいえますが。

PVは言い換えると「多くの人の関心ごとの数値化」といえます。

■PVは取れたが、価値は低いと感じた記事の例

PVが取れたり、バズった記事は突き詰めると必ず理由があります。例えば、イケダハヤトは地方の冷飯の味を知らない、この記事は5万PVくらい取っていますが、この記事がPVを取った最大の要因は、日本人のマジョリティと思われる地方出身者の感覚を代弁し、多くの共感を得たからだとtweetなどの反応を見て分析しました。イケダさんの移住という時事性にも乗り「多くの人の関心ごとだった」ともいえます。

しかし、この記事はThe Startupの本来の読者層にはどうでもいいネタであり、いうならば「僕なりのバイラルコンテンツ」なのです。出す前にタイトルだけは手応えがありましたが、これだけ読まれるとは思いませんでした。PVが伸びる背景には必ず多くの人の感情を動かす何かがあると、経験上感じています。

この記事ではじめて流入した読者でサロンにコンバージョンした人がいたようですが、早速離脱していましたw 本来のメディア特性から逸脱した記事で多くのPVを取れば、そこからごく一部の人が固定読者に転換する可能性はありますが、それは「僕が求めていた読者層」かというと違う気がします。

多くの人が興味のあるネタ⇒多くのPVを集めやすい⇒しかし、それは価値が高いとは必ずしも言えない。

■PVが低くても、価値があると感じた記事の例

例えば、リードユーザーを形成する「浅いコンバージョン」という記事。これはサロンでのグノシー木村さんのコメントを深堀りした記事ですが、この概念の重要性に気づいているのは一部の人であり、多くの人がまだ興味を持つネタではないのかも知れません。あまり読まれていない。これはネタへの関心が低いか、僕の伝え方が悪いかのどちらかですが、前者と捉えれば僕は悲観する必要はない。

そもそも、超先端的なネタは多くの人の関心を得にくいので、そういう場合は一部の先端的な人がその記事に反応してくるか否か。という点を指標にすると良いかと。Not Owned Media , but Custom Mediaこの記事とか、マジで反応されないわけですが、仮にカスタムメディアという言葉が浸透した場合は、先行者優位を享受できる可能性があり、数ヶ月後のトレンドに掛けた記事といえます。

■将来価値の向上を見越した記事の例

時間軸でそのニュースは将来価値があると判断できればよし。「数ヶ月後の検索クエリ数の上昇」を予測するのです。例えば、IPO関連。上場承認が降りたその日はニュースになるし、実際の上場日にもニュースになる。「gumi 上場」とか早めに仕込んでおき、上場承認時にはそのワードで既に1ページ目にいる状態を作っておくとかが、時間軸での価値を先読みした記事の作り方です。

■PVではなく、その記事を届けたい人に読まれたか。が重要指標では?

PVが低い記事でも先端層に好意的に届いていれば、その記事は価値が高いということもできます。例えば、全然読まれなくても、グノシー木村さんに「これはいい記事だ!」と思わせることができれば、僕としては勝ちです。イケダハヤトの冷飯論で5万PV取っても、その5万PVのほとんどはThe Startupのターゲット読者ではない。

そう考えると、PVに10倍の差があっても、The Startupというメディアにとっての価値は下記の不等号となるのです。

■The Startup上の記事の価値

浅いコンバージョンの記事>イケダハヤト地方冷飯論

記事の「価値」について考えてみました。他の論点もあるかと思いますので、どのような記事に価値を感じるか。NewsPicksなどでぜひコメントください。

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