数少ない友人と勝手に思っているイケダハヤトさんが高知に移住されたようで。数日前に知ってはいたのですが、寂しくなりますね。前もって言ってくれれば、サイゼリヤで鳴海さんとブロガーユニット「炎上セブン」の結成会でもしようと思いましたが、そのうち高知に遊びに行くので案内してください。
イケダさんはじめノマド的な複数のインフルエンサーが地方移住に興味を持っているようですね。そこで北海道出身の僕が東京を離れられない理由を考えてみたので、移住祝いとしてのカウンター記事です。
イケダさんと僕はある程度の関係値があるので、真逆の意見で戦っても、特に関係にひびは入らないはずですよ。
■前提:イケダさんは横浜で育ち、僕は北海道で育った
地方万歳イケダさんとアンチ地方の僕は真逆の環境で育ったはずです。イケダさんは横浜育ちと聞いているので、大学受験においても地方と東京の情報格差を実感していないはず。僕は北海道のさらに旭川という予備校もない氷点下41度という日本最低気温を記録したところで高校卒業まで育ち、あまりの情報格差に愕然としていました。
高校時代の僕は3年分のMEN’S NON-NOを穴が空くほど読み耽るほど、超絶に暇で情報量豊富な東京に憧れ、早く東京の大学に行きたいと思っていました。上京後は周囲からは「え?北海道出身なの?東京っぽいよね?むしろ、北海道の人はもっとおおらかなはずだけど…」と言われたこともあります。
僕はもうあの情報が全然ない地方には戻りたくない。今でも夏休みに帰省する際、1週間いると飽きてしまいます。滞在は3日くらいでいいです。イケダさんのような首都圏で育った方で、田舎への憧れを持つ人の比率は少なくないように思える。それは自分が経験していない、ないものねだり。僕は両方経験した上で、どれだけ体が自由でお金があっても、情報の無い地方に移住するのは無理ですね。田端さんのこのツイート、すごいわかります。
■地方と東京の情報格差は凄まじい、ネット時代だからこそ直接会う重要性
上述の通り、2000年代前半まで地方と東京の情報格差は凄まじいものがありました。10年経った2014年、たしかに人によってはインターネットを駆使して地方からでも情報を仕入れ、東京との格差を感じない人もいるかもしれません。
しかし僕のような主に「情報」を扱う仕事に携わる場合は、インターネットからだけではなく、人と直接会って仕入れることができる情報価値の方が高いんです。その情報はネットに落ちてないから。だから僕は暇なフリをしていても、色んな人とランチして情報収集するし、気が乗らない時でもランチに予定を入れて情報収集をする。それがサロンなどに繋がる仕事の一部。
僕は得意領域がB2Bだと自覚しているので、こうして東京に縛られざるを得ませんが、イケダさんの場合はB2Cに強いと思いますので、B2Cの書き手=小説家に近しい、の場合は地方居住の方が邪魔も少なく創作活動に没頭しやすいというのはあるでしょう。ただ、僕にとっては情報がないし気軽に刺激的な新しい人と会いにくい地方はつまらないんです。
■家賃や食費などの高コストが、東京に縛られるデメリット
僕も一時期海外移住とか考えました。ニューヨークに住みたくて。谷沢病(スタートアップの国、アメリカの――その空気を吸うだけで、僕は高く跳べると思っていたのかなあ…)でしたね。しかし今は自分を最大限活かせる場所は現状は東京であると明確に確信できているので、東京で戦いますよ。
イケダさんの新しいブログ名「まだ東京で消耗してるの?」はすごく面白い。僕は全然イラっとはきていませんが、たしかに東京に住み続けるデメリットもある。
僕は恵比寿に住んでいるので家賃は高いし(気軽に人と会いたいので、山手線内か中目黒とかじゃないと無理。以前は表参道に住んでいました。これは「港区民だぜ」とドヤりたいわけではなく、僕は自転車移動だし気軽に人と会うのに便利だから)、レストラン巡りが好きなので食費は相当高い。家賃と食費だけで相当家計を圧迫します。
高コストを吸収できるくらいサクッと稼げばいいし、高コスト以上に人と出会うことによる情報や体験のリターンがあると感じます。
■イケダハヤトは、地方の冷や飯の味を知らない
イケダさんの性格や特性を考えると地方居住には適性があるのだろうと思います。たしかに地方ネタを記事化していくのもブルーオーシャンで面白い。イケダさんのブログが高知新聞とかを凌駕する地方紙になる可能性すら感じます。
しかし、地方には東京ほど面白い人も情報もない。これは僕が実体験から感じることです。たしかに東京で消耗せず、燃費良く地方で暮らすという選択肢もあるでしょう。しかし、地方移住に関心のある人は少なからず地方経験がないがゆえに、地方をユートピア化しすぎているのではないかと感じる。
イケダさんはまだ、地方の冷飯の味を知らないのです。
一般的にはサラリーマンの地方転勤などは左遷と捉えられることも多いでしょう。名作「白い巨塔」でもこんなシーンがあります。
財前というのは、ちょっとばかりの才能を鼻にかけ、若輩のくせに思い上がって、のさばり過ぎている、廊下であっても、われわれ先輩に対するあの態度は何だ、まるでプロレスラーか犬殺し屋みたいな大きな図体を廊下一杯にのさばらせ、もう少し小さくなって歩けんものかね。
僕が奈良大学から呼び戻されて、母校へ帰って来た時、真っ先に目についたのはあいつの増長ぶりだよ、この際、あの生意気な根性を徹底的に叩き直すためにも、地方へ出して冷飯の味を覚えさせることだな(菊川教授がニヤりとしながら語る)
イケダさんにとっては地方の冷飯は、ただの美味い土佐飯となるかもしれませんが、今後多様な働き方が増える中で「どこに拠点を置くか」というのは多くの人が関心のあるテーマだと思います。地方移住も有力な選択肢となるでしょうが、インフルエンサーたちはちょっと地方を甘く見ているんじゃないか。僕にとっては東京ほど面白くないし、すぐ飽きる。
価値観は人それぞれだという当たり前すぎる不毛なコメントはいりません。
Umekiの意見は極端すぎるという意見もいりません。論点を盛り上げるためにわざとそういうポジションを取ったことくらい、良識ある読者の皆さんはご理解されていると思いますが。
読者の皆さんは3年から5年くらいの未来、どこに住んでどんな仕事をしていたいですか?ぜひNewsPicksなどでご意見下さい。意見が違っても僕がイケダさんを好きなことに変わりはありませんよ。
NewsPicks上には「イケダハヤト」という単語だけで中身も見ずに嫌悪する愚かなユーザーが案外多いですがね。意見が異なるのは当然のはずだし、自分と逆の意見の人をそれっぽい理屈を付けて否定するのは楽です。しかし、それはただの思考の逃げ。記事によって同意できたり同意しかねたりで、それでいいんじゃないですかね。
最後に白い巨塔「財前のテーマ」を聴きながら、地方で冷飯を食うことについて思いを馳せて筆を置きます。
Gunosy木村さんも参加する、会員数230名突破のUmeki Salon
内容の参考:【ほぼ月刊Umeki Salon2号】230名突破、Gunosy木村氏の降臨、野村證券の近未来的なIPO時価格算定方法など
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今日も適当にツイート中。 @umekida