イベント登壇者に名刺交換を要求してはならない

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そろそろ主催イベントが近づいているので。

僕もしばしばイベントに登壇する機会があるのですが、登壇後の名刺交換コーナーがどうにかならないものかと思っております。あの名刺交換から実際に人脈という資産に転換したことがほとんどないです。資産転換CVRは1-2%というところでしょうか。これは僕の価値が低いからなのか、一般的な数字なのかはわかりませんので、イベント登壇者の皆さんにコメントいただきたいです。

■登壇者のイベント登壇後名刺交換コーナーの心理

1:ふう、登壇疲れた
2:おお、なんか30人くらい名刺交換に並んでくれている。講演した甲斐があったかもしれん。少し嬉しい!
3:1人ずつ話聞くのダルいし、たいして面白い人いないな
4:疲れた。マジ早く帰りたい
5:新規名刺を30枚ゲットしたが、また会いたいと思う人は誰もいない

登壇者が名刺交換でメリットを感じるのは、B2Bサービスで見込み客候補の刈り取りとして機能する場合くらいです。特にB2Cイベントでは登壇者からすると、名刺交換コーナーは自己顕示欲を満たすくらいで、実利的なメリットはほぼないんですよね。握手会なら全然それでいいんですけどね。

スクリーンショット 2014-07-13 14.13.13「ご挨拶程度に」名刺交換するという文化、どうにかならないでしょうか。実際にビジネスが発生するならいいんです。「名刺たくさん持ってるといい」みたいなのは、リクルートあたりの新卒研修で染み付いた悪しき文化ではないでしょうか。

■登壇者に名刺交換を要求するイベント参加者の心理

1:あの登壇者、イケてる!とりあえず名刺交換に並んどくか!
2:はじめまして!梅木です!すごくいいお話でした!・・・えっと、機会があればほにゃらら!
3:やった!有名人の名刺ゲットしたぜ!
4:あれ?機会なんてなくね?

名刺交換を要求するイベント参加者も、登壇者が自分の人脈として資産に転換する可能性は限りなく低いことを認識しているはずです。しかし、「行列ができるラーメン屋は美味いに違いない!」の論理で、つい名刺交換コーナーに並んでしまい、惰性的な名刺交換をしてしまうのです。「著名人と喋ったぜ!」という承認欲求を満たしたいのは理解できますが、僕の感覚ではそれは非常にダサいことです。

双方とも、名刺交換からのCVRが低いことはわかっているのです。僕は非生産的な名刺交換は避けたいのと、1枚10円の名刺ですら無駄にしたくないという厳しいコスト感覚を持っています。必要があれば全然良いのですが、「機会があれば」とない機会のための名刺交換はしたくないのです。

それではどのような形が、登壇者とイベント参加者のコミュニケーションとして最適なのでしょうか。イベント参加者は、登壇者がコミュニケーションするに際し「付加価値」を出す必要があると僕は思います。列に並んでは埋没するだけなのです。

■イベント登壇者が喜びそうなこと

1:イベントの感想を述べる(メッセージする)
⇒登壇者も話がウケたか不安なので、PDCAを回す材料になる

2:それをブログなどに書いてソーシャルメディアで発信する
⇒自分の登壇イベントが参加者以外にも知れ渡る機会があると嬉しい

3:イベント登壇者の課題と思われることの解決策を提示する

この辺を押さえられていれば、上手くいけば後日個別にアポが取れます。3とかビジネス直結レベルですね。僕はココナラが主催のメディア関連のイベントから、当日名刺交換はせず、後日メッセージを送って、東洋経済オンラインの連載を獲得しました。イベントで当時の佐々木編集長が「今後外部寄稿者を増やしたい」とおっしゃっており、ニーズと合致するだろうということで、アプローチしたのです。

このアプローチの背後には、佐々木編集長の「5年後メディアは稼げるか」という単著のレビューを記事で書いており、それをご覧いただいており、事前に認知されていたので話がスムーズに進みました。記事がバズっていなくても、著者は自著がレビューされていると嬉しいし、案外見ているということは僕も著者側になってよく理解できました。自分よりハイレイヤーな人たち(イベント登壇者側)とのビジネスに結びつけるには、こうした導線を用意すると、CVRを高めやすいはずという仮説を僕は持っていました。

話を戻して。イベントにお越しいただくのは主催者や登壇者としてはとても嬉しいですし、有意義なものになるように務める責務はあります。ただ、その後の名刺交換コーナーというのは形骸化した悪しき習慣ではないかと。

名刺交換はいいから、イベントレポートを書いてくれたり、メッセで具体的感想をくれた方が嬉しいなと思います。するとイベント参加者から「この人いいかも。繋がりたい!」と思える人を見つけることができ、こちらからのアプローチも可能になります。

イベント直後の登壇者との名刺交換は、登壇者側からすると列に並んでくる人はone of themに見えるし、差別化しにくいため、よほど個性があり、相手にインパクトを与える自信がないと、厳しいよなと思い、僕はほとんどイベント登壇者に対して列に並んで名刺交換を迫ったことはありません。エレベーターピッチより条件は悪いわけですよ。

登壇者として名刺交換を受ける側の際は、僕はオフラインでは極力愛想良くしようと務めるわけですが、よくわからない話をし出す人に対しては、イライラを隠せなくなってきて、早めに切り上げてしまうこともあります。

■最後に:僕、イベント登壇後の名刺交換は好きじゃありません

イベントも近いので敢えて言っておきます。上記の理由から、イベント後の名刺交換コーナーは非生産的なため、「僕は」好きじゃないんです。そこで名刺交換した人とはその後有益な関係になることは、今までの経験値からもほとんどありません(ないとは言い切りませんが)。なので火曜のイベント後、僕に名刺交換を要求するのはお気をつけ下さい。

後日、メッセで具体的感想を述べたり、ソーシャルメディアで発信いただいた方が、よほど有難いです。イベントにお越しいただくのは本当に有難いんです。しかし、登壇者へのアプローチ方法にはセンスが垣間見えますよね。イベントで少し話しただけで、僕が相手を事前に認知していれば全然良いのですが、FBフレンド申請とかほんとやめてくださいね。なんで1分話だけで「友達」なんだよと。

「あの記事書いているやつの名刺がほしい!」という名刺コレクターではなく、僕と本当に人間関係を築きたいという方は名刺交換以外のアプローチがあるはずです。下手に「お時間下さい」と言われても、僕はだいたい「ありません」と言って断りますが、僕から相手に価値を感じれば全然お会いしますし、場合によっては仲良くなりたいと思います。投資も始めましたので、そのような案件のメッセもいただきますが、メッセ段階で事業など拝見し、合わない場合はお断りしていることも多いです。

あえて、厳しめに書いてみましたが「アジェンダはないけど、興味あるから会ってみたい」という需要はオフラインでヒアリングしたところ、けっこうありそうなんですよね。これは僕もわからなくもなく、特に用はないけど、藤沢所長とかとお会いして、恋愛工学にお世話になっている旨をお伝えしたいとかはあるので、理解できます。ただ、それは「イベント後の名刺交換の場」ではないと思うんですよね。

イベントでの名刺交換で認知されるのではなく、自分のビジネスを頑張るなどして、相手に認知される存在になることが大事だと思います。

イベント後の名刺交換について思うことを、ぜひNewPicksなどでコメントください。登壇者側の多くの方は、本稿に書かれている心理になったことがあるかと思いますが、嫌われたくないから言えないですよね。でも、早く帰りたいって名刺交換しながらいつも思ってませんか?

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