毎週土曜の午後更新で「決算分析」コーナーを始めます。経営者の皆様に上場企業の決算を5分程度で押さえていただこうというニッチなコーナー。
上場企業決算分析はサイバーエージェントやDeNAなどやってきましたが、わりと好評な記事もあります。今回はBUYMAが好調なエニグモの決算分析です。エニグモに関しては2012年6月の上場承認時にこんな記事を出しています。
ファッションECのBUYMAを運営するエニグモがIPO:ZOZOTOWNとの比較からBUYMAの成長余力を探る
タイトル長えな。。。
エニグモの2014年1月期決算説明資料から重要部分を抜粋して紹介。
売上18億、営利8.5億、利益率46%、会員170万人
推移を資料で見ましょう。
推移は資料の通りという感じですが、グラフにはしませんが、アクティブ会員率は2013年度2014年度共に約26%。会員数が増えてもアクティブ率が下がっていないのは立派ですね。
プラットフォームビジネスなので、広告費などが嵩まなければ運用費はユーザー数が倍増して倍にはなりにくいため、収益性は向上していきます。営業利益率は上場時の24%から46%へと大幅に向上。
マッチング手数料モデル:取扱高はどこまで伸びるか
BUYMAはC2Cのマーケットプレイスで出品者購買者両方から手数料を取るモデル。取扱高の増加がそのまま売上増に繋がるシンプルなモデル。
バイヤー数は現在5.5万人。バイヤーが増えて出品量が増え、買い手のユーザー数は170万人。約2年前にZOZOTOWNとの比較で分析した際に、国内のファッションコマースのアップサイドは約600万人と想定しているので、まだ刈り取れる余地は大きい。一方で、バイヤーのアップサイドは正直読めない。出品数は7,000件/日のようだが、ここの上限は見積もりにくい。
エニグモは現預金が25億くらいあるので、早めにTVCM打ってみてもいいのではと思う。来期計画では広告宣伝費を強化とあるので、実際に打ちそうですね。未上場のスタートアップでもTVCMを打つ時代です。
新規事業は正直ピンとこない:激戦のフリマ市場にも
新規事業もいくつか取り組んでいます。グローバルや、ジャンル拡大。メルカリやフリルが凌ぎを削るフリマ市場にもサービスを投入。
グローバルはどうマーケティングしていくのか。当初はSEMになるんでしょうか。ジャンル拡大でe-book販売の翻訳クラウドソーシングプラットフォームを狙うようですが、e-book自体がkindle含め国内ではまだまだ浸透していないので、かなり時期尚早な事業だなと思います。ロングテールモデルで、超長期的に見ているのかもしれませんが。
フリマ市場はメルカリの出品数が1万件/日を超えて、フリルも噂にはかなり収益を上げているようです。STULIOはブランド商品が多そうで、メルカリやフリルとは被らなそうですね。
今後1年の投資判断:中立〜やや買い
最後に株価を確認しておきましょう。2014年3月28日時点時価総額約220億、PER約37倍。来期予測がややコンサバで、売上23億、営利10億です。先行投資期間で広告宣伝費が嵩むためと予想されます。
TVCMなどでユーザー数が増えて取扱高が伸びる。売れればバイヤーの出品数も増える。という好循環に入るのではないでしょうか。攻めの先行投資で如何に早くユーザー数増加の角度を上げられるかが今後1年のポイントになりそうです。やることはシンプルですね。
投資判断としては中立からやや買いとしておきます。マクロ要因次第でもありますが、順調に伸びれば+30〜50%くらいの株価は見込めそう。昨年一時期バブって時価総額400億くらいまで跳ねてますが、200億円前後が妥当なラインといえそうです。
僕はまだ買い物したことないですが、BUYMAは周囲でユーザーも多いし、実際に国内で買えない面白い商品が買えるので良いサービスだと思います。
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