リワードのアドウェイズとアドネットワークのファンコミは、構造上利益率が異なる

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今週のIR分析。スマートフォン広告で伸びているアドウェイズとファンコミュニケーションズを比較します。アドウェイズはリワードのAppdriver、ファンコミはアドネットワークのnendで伸びてますね。

アドウェイズはスマホ伸びてるが、割高すぎ全力で売り推奨

アドウェイズは2014年第3四半期決算資料を元に分析します。大枠を捉える資料をいくつか抜粋します。

スクリーンショット 2014-04-06 13.38.04スクリーンショット 2014-04-06 13.49.30スクリーンショット 2014-04-06 13.26.26売上のトップラインはスマホ広告(Appdriver)中心に伸びていて売上の4割くらいを占めますが、営業利益率は2.3%です。これは広告宣伝費などの特殊要因によるものではなく、事業構造上の売上原価の高さが起因しています。売上原価率は80%超えています。

スクリーンショット 2014-04-06 13.30.31リワード広告なので1クリックで150円発生したとすると8割程度の120円前後がユーザーに還元されるという仕組みでしょうか。このモデルの場合は在庫imp数が莫大に伸びない限りは利益額は増えにくそうです。

imp数を伸ばす取り組みとしては月間imp数1,200億を誇るimmobiとの提携があるようです。immobiでいかほどレバレッジが効くのでしょうか。

スクリーンショット 2014-04-06 14.04.20最後に株価です。スマホ広告の伸びに合わせてか、2013夏からだいぶひゃっほう!な動きになっています。株式分割やメリルの第三者割当があった10月頃には取引高も伸びています。私は金融の専門家ではないので行使価格修正条項付き第三者割当の是非について触れることはやめておきますが。

■アドウェイズ企業価値概要

時価総額:約674億円
PER:206倍
通期予測売上高:300億円
通期予測営業利益:7.9億円(共にIRより)
営業利益率:2.6%

…割高すぎる。Appdriver部分で伸び白はあるとはいえ、営業利益がすぐに2倍3倍になるインパクトは見込みにくい。全力で売りを推奨致します。

ファンコミは利益倍増で営利率17%。来期も堅調に推移?

続いてはファンコミです。この記事にやなてぃさんが降臨しないことを願っておきましょう。怖そうなので。。。(涙)同社2013年通期決算資料よりいくつか抜粋してお届けします。

追記:やなてぃさんは実際お優しい方のようです。

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PC向けの老舗アフィリエイトであるA8も微増で伸びているようですが、主な伸びはスマホアドネットワークのnendです。営業利益額に関しては昨年対比で倍増近く伸ばしています。営業利益率も17%です。2.3%のアドウェイズとは何がそんなに異なるのでしょうか。売上原価率が少し異なるようですね。連結の直近では67%です。アドウェイズは82%。

スクリーンショット 2014-04-06 14.23.43Appdriverはリワードでnendはアドネットワーク。原価率の違いはそこでしょうか。CPC課金の方がCPI課金よりも商流的に利益が出やすそう。

CPC課金:広告主⇒スマホ広告事業者⇒メディア
CPI課金:広告主⇒スマホ広告事業者⇒メディア⇒ユーザー
(リワードなのでユーザーに広告主が支払う額の半分近くが落ちる)

*間違ってたらすいません。

最後に株価です。

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■ファンコミュニケーションズ企業価値概要

時価総額:約1,419億円
PER:55倍
売上高:227億円
営業利益:40億円
営業利益率:約17%

アドウェイズと限りなく近しいチャートを描いています。ただ、取引高は比較的安定しているようです。リワードとアドネットワークの構造上の違いから、ファンコミの方がアドウェイズより利益率は上がりやすい構造にありそうです。PERは55倍とアドウェイズに比べれば割高感はありませんが、それでもインターネット広告銘柄としては若干割高かなと思います。

来期の通期予測はこんな感じ。

スクリーンショット 2014-04-06 14.22.58堅調な伸びを予測されていますね。これくらいに伸びそうであれば、現状の株価にも割高感はあまりないかもしれません。市場鞍替えも頷ける数字。ファンコミに対しては中立〜やや買いと見立てておきます。

リワード広告は広告主がゲームに限定されがちで焼畑では?

スマホ化率が高まる中で、広告市場はPC時代よりも恩恵を受けやすい環境にある気がします。枠売りでダンピングされやすい構造のPC向けと比べて、圧倒的に強い枠がないスマホでは、アドネットワークが幅を利かせている。現状のスマホ広告の主な広告主はゲームなのでしょうが。

スマホでCPIとかで費用対効果検証してCPAやLTVの数字が合うのはゲームくらいで、他の市場はCPC課金とかで認知を上げていくくらいしかない気がします。ゲーム市場はCPI課金のリワードに需要があるでしょうが、その他の市場はリワードだと費用対効果悪くなりにくい(一部の月額課金サービス以外はそもそも収益が立ちにくいので)。

リワード市場は広告主が限定的で何度もしつこく出稿しても焼畑的なので費用対効果が落ちていく。アップサイドは限定的に見えます。アドネットワークの方が市場の伸び白はありそうです。そういった観点からもリワード銘柄よりスマホアドネットワーク銘柄の方が、中長期で良さそうですね。

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