師走に入りましたが、国内のスタートアップ業界の今年のトレンドの一つが個人間取引/CtoCサービスであったことに疑いの余地はないでしょう。なぜこれほどまでにこの分野のサービスが増えたのか。今回は「物質=モノ」を取引するCtoCサービスに特化して、その社会的背景を考察します。
個人間取引/CtoCサービスが勃興する4つの社会的背景
■1:消費税増税
これはスマホアプリ未来予想図の取材でメルカリの山田進太郎氏の話がわかりやすかったので抜粋する。
個人間取引の場合は消費税がかからないので、個人間取引をした方が店頭で購入するよりも得である、という心理が今まで以上に強く働いていくことが想定されます。(山田進太郎氏談)
高額商材になればなるほど個人間取引による免税のメリットは大きい。
■2:所有からシェアへ
改めて言うまでもないが、ここ数年は今までのような「所有」という価値が見直され始め、「所有」は決してクールではない。不必要なものをは所有しない方がいいという文脈になってきている。
■3:スマホ普及で投稿ハードルが下がる
今までの個人間取引の巨人はヤフオク。しかし投稿手順が複雑であり、僕もユーザーとして出品する気にはなれなかった。洋服を委託ショップとかに売りに行ったりはするので、潜在的なヤフオクユーザーではあったと思うのですが。スマホで写真を撮ってすぐに投稿できれば出品のハードルは劇的に下がる。このUXの簡素化を追求しているのがメルカリやFrilといえよう。
■4:CtoBtoCよりも双方の経済的メリットが高い
一例としてブックオフを思い出してほしい。1,500円で買った新刊のビジネス書をブックオフに売ったら250円だった。しかし、その本は店頭で750円で売られる。その本が売れればブックオフは500円の粗利だ。しかしブックオフを介さず個人間取引が成立すれば500円で売り、売り手も買い手もブックオフを使うより250円お得だという状況もあり得る。個人間取引は確実に100%成立するわけではないが、法人を介さない分、成立した際には経済的メリットがある場合が多いと考えられる。
不動産/高級衣服など単価高い分野への特化に需要あり?
最後にモノの分野をプロットしたインキュベイトキャンプ中に「Umekiグラフ」と称されたポジショニングマップで締めておきましょう。
右下はジャンルではなく特定サービスを入れておきました。Frilは単価安めの女性アパレルに特化、メルカリも現状の主力カテゴリはFrilに近しい気が。平均成約単価は1,500-2,000円くらいと聞いた気もします。チケットはチケットストリートがありますが、不動産や家具、高級アパレルなどのジャンル特化型のCtoCサービスは需要があるのではないでしょうか。
不動産売買はインキュベイトキャンプでプランが出ていました。高級アパレルはCtoBtoCでThe Real Realが出てきていますが、純粋なCtoCはまだない気がします。個人的に利用したい分野なんですが。単価が高い商材であればあるほど、1の消費税増税と4の法人を介さないという経済的メリットがあります。立ち上げ難易度は高いでしょうが、この分野のサービスが成立すれば社会的意義の高いサービスといえると思います。
来年あたり出てきて欲しいですね。この辺のサービス。単純に「この分野流行ってるぜ!」ではなく、なぜ流行っているのか。そしてその裾野に新たな機会はないのか。ということに思いを馳せる思考の癖をつけることを、本誌の読者にはお勧めしまし、その思考のきっかけとなる切り口を今後も提供していければと思います。
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