「名刺はシュレッダー」発言の僕が、もし三三のマーケターだったら

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imgres三三って名刺の会社ありますよね。最近TVCMをたまたま見ました。

web業界でしかもこういう仕事をしている僕にとっては、名刺なんて本当に早くなくなってほしいものだと思っていました。独立当初に僕は「名刺はまとめてシュレッダーします」発言でtwitterで炎上したこともあり(これは前職を退社時にそうしました、という話だったのですが)思い出深いです。この記事にインスパイアされました。

「名刺」を持たない生活を半年して気付いた3つのこと

僕も独立して半年は名刺を持たない生活をしていました。しかし、某フジ○レビのアポに行く際に、大手に行くのに名刺がないのはマズいだろうということで名刺を作りました。以来、たまたま切れている時以外は名刺を持参するようになりました。名刺を持つことのメリットはこんなとこかなあ。

①:名刺交換時に名刺がない気まずさを回避できる
②:取材時などは原稿確認を送る連絡先を名刺で取得できる

名刺管理に関しては僕個人は本当に需要がないですね。メールの送受信履歴からgmailで検索するとかで十分。困ったことはほとんどない。独立してからは保有していないので物理的にシュレッダーできませんので、使わなくなったバッグにまとめてごっそり入れてあります。名刺はそのうち完全にデータ化して紙で扱わないようにした方が環境にも良いと思うので、早期のデータ化を望んでいる派です。

とはいえこれは完全に僕個人の意見。世間的には名刺交換の慣習は根強く、簡単にはなくならないでしょう。実は三三は僕がVCだった遥か昔の時代に裏方で少しだけ投資検討した覚えがあります。当時のリンクナレッジを使って、上司の名刺を整理していた記憶が…。

最近はニッセイキャピタルからの5億も入り、この5億の大半をTVCMに突っ込んでいく説が業界では流れています。僕が三三のマーケターだったらどんなプランニングをするか、考えてみました。

Eightは無料名刺作成キャンペーンでバイラルを起こす

三三はBtoBの三三(旧リンクナレッジ)とBtoCのEightの2つのサービスを展開しています。まずEightのマーケティングプランから考えましょう。

Eightに関しては名刺交換したEightユーザーから、先方がEightに登録したからか「Eightでも名刺交換しましょう!」というメールがたまにきます。はっきりいってこれはスパムに等しいです。Eightユーザーじゃない僕に「Eightでも名刺交換しましょう!」といきなりメールがくるのは唐突です。これは著しくEightのブランドエクイティを下げるUXであり、僕はおかげで結構ネガティブなイメージを持ちました。そのメールを送ってきた人に対しても、一方的な人なんだなと。

Eightは20万DLあるそうですが、こういう一方的なメール通知ではなく、Eightを利用するメリットを既存ユーザーから未利用ユーザーに訴求してバイラルで増やしていくべきでしょう。

一つの案としては「Eigthに依頼したら無料で名刺作成します!」というキャンペーンをやる。無料の変わりに名刺の裏にEightの広告を入れる。タダコピ的な発想です。Eightを既に利用しているユーザーにとっては、名刺交換相手がEightを利用していた方が外部ネットワーク性が効いて便利なはずです。私の過去のユーザー体験では、アポ中にEightについて何の話もなく、後日Eightで名刺交換依頼がくる唐突な感じが許せませんでした。いや、僕は使ってないし。と。

裏にEightの広告を入れておいて、アポ時のアイスブレイクのネタとして使えば、①名刺作成無料キャンペーンがあるんだ、②普通にこのアプリ便利かも、という2点で相手がEightにコンバージョンしてくれる確率が上がるでしょう。名刺作成無料キャンペーンは多少コストは掛かりますが、バイラルには効くはずです。

ベンチャー企業のTVCMの歴史を振り返る

スタートアップ、というよりかはインターネットサービスを手掛けるベンチャー企業は一定の認知を得た後に更にスケールさせるべく一時期にTVCMの出稿を集中させる時期があります。記憶に残る事例を挙げてみましょう。

【大規模】
・GREE「ドリランド」など
・大人のmobageなど
・LINEのベッキー
・ZOZOTOWNのセール
・Amebaスマホ30億広告

【中〜小規模?】
・ライフネット生命
・リブセンス「ジョブせんすけ」
・ボルテージ「今夜あなたと眠りたい」

ベンチャー企業のTVCMに共通していえるのは下記三点。

①:資本力がある(上場後に仕掛ける)
②:ある程度の出稿量がないとCPAは最適化できない(出稿量とCPAの低減は一定まで比例傾向にある)
③:既にサービスの認知がある程度高く、マスを取りにくフェーズにある

■大規模CMの共通点など

マス向けのサービスで会員数200-300万人以上を超えた段階でCMを仕掛けていたと記憶しています。GREEやmobageの一時期の出稿量はハンパなかったですよね。GREEのプロモーション担当の方に話を伺った際に「一定の会員数に達するまではCMを打てば打つほどCPAが低減する」という話を聞きました。なのでTVCMやるなら、一定以上の金額を投下する必要がある。Amebaスマホ30億投下などもTVCMだけではないんでしょうが、短期間に一気にTVCMに投下する戦略自体は合理的だと思います。

TVCMのような刷り込み型の広告は1人対して10回以上露出するとか、露出回数がトリガーになってCVRが上がることが推測されます。僕は担当としてTVCM作ったことないので、推測ですいませんが。。

■中〜小規模ベンチャーのTVCM

まずライフネットの事例。最近は首都圏のゴールデンタイムでも見かけた気がしますが、最初は福岡などの地方都市からはじめてPDCAを回したそうですね。ライフネットに限らず保険会社のTVCMは多く、明らかにマスマーケット狙いですから、今後も継続して出稿していくだろうと思われます。ライフネットは現預金(BSを見ると厳密には資産は国債や社債で運用している)が140億近くありますから、赤字でも資産運用益からTVCMに投資していくことが想定されます。

リブセンスに関しては、村上さんに怒られそうですが、そんなに効果なかったんじゃないかな?w 本人に突っ込んでもコメントを得られなそうですが、ワンショットで効果が出る施策ではないと思いますね。少しだけ出稿して効果が合わないと判断し、すぐ撤退したのかもしれません。

ボルテージの「今夜あなたと眠りたい」はなかなか過激なCMで苦情も多いようですね。しかし昼ドラの時間帯にCMを放映していて、欲求不満な人妻へのリーチを狙うには最も効果的な媒体といえるでしょう。ターゲティングが効いて、そこそこ効果はあるのかもしれません。

三三のTVCMに関するシナリオ

上記を踏まえた上で三三のTVCMに関しては、従来のセオリーからする「上場前で時期尚早、かついきなり首都圏で放映か…」と疑問が多いCMです。最高のシナリオと最悪のシナリオを描いてみましょう。

■最高のシナリオ

①:ニッセイキャピタルから得た5億の大半をTVCMに突っ込む
②:広告費を除くと既に黒字化しており、来年再来年のIPOが見えている(根拠:導入企業数1,000社×「ユーザー月額6,500円」のプランが最多利用帯×1社30名と過程=月商1-2億のライン)
③:システム提供サービスかつ月額制のため大きなコストは営業マンくらいで、システム提供サービスにありがちな仕入れコストがほぼ存在しない。ゆえに利益率が高い。
④:よって利益とIPOで得た資金をTVCMに投下し続けることができる
⑤:TVCMに投下し続けてCPA低減

■最悪のシナリオ

①:実はあまり利益が上がっておらず、博打的にTVCMを打ってみた
②:継続的に出稿できる資本力がない
③:TVCMの数億はドブに捨てたような感じに

最悪のシナリオの類似事例ととしてすっかり忘れていましたが、ロコンドのデビュー時のTVCMとかは震災直後と時期が悪かったこともあり、効果が低そうな印象を受けました。

BtoBのTVCMの効果は副次的:営業拡充の方が望ましい?

上記のベンチャーの事例はいずれもコンシューマー向けのサービスを展開しており、TVCM自体がマスという性質上コンシューマー向けの広告が大多数です。三三は法人向けサービスになるため、相性はどうなんでしょうか。三三の顧客開拓は「フロントオフィス」という営業職がガンガン営業を掛けるモデルでしょうから、営業のアポを取りやすくする効果を狙っているとか。

TVCMに掛けるなら単純にその予算を営業リソースに投下しても良いかとは思うのですが。マーケティングではなく経営戦略の話になってしまいましたが。正直、TVCMへの投下は合理的とは思えませんね。三三のターゲットユーザーとなるであろう企業の決済者はボリュームが多くはないため、マスとの相性は良くないと思う。あくまでTVCMは上記に述べたアポ取得のような副次的な高価に留まるのではないでしょうか。

TVCMの代案は営業リソースの拡充(コンセプトの打ち出し方にある「名刺管理」に留まらず、「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」という点を対面営業や成功事例セミナーなどを開いて地道に啓蒙する感じ)という単純な解に留まってしまいましたが、皆さんが三三のマーケターならどんな打ち手を考えますか?高広さんあたりのご意見を伺ってみたいですね。

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