「プレイサイクル」に置き換えられるUXと、プレイサイクルの切り札としてのゲーミフィケーション

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先日、ゲーミフィケーションの勉強会を主催し、15人くらいで語り合いましたので、思うところを備忘録的に記しておきたいと思います。こんなtogetterも出回っているようですしCytaの有安先生によるこんな記事も注目を集めています。

「ゲーミフィケーション」や「UX」というワードがwebプロデューサー界隈で「バズワード」「マジックワード」 的に使われており「この単語を言っとけばなんかそれっぽく聞こえそう!」という風潮がある中で
私なりのこの2つの単語についての解釈を整理してみたいと思います。

*注釈 バズワード=流行っているワード、マジックワード=その言葉は魔法のようであり、そこから先に思考が進みにくいワード、曖昧な概念

UXはSGMでいう「プレイサイクル」に置き換えられる

「UX=ユーザー体験」ということはこの界隈の共通認識ではありますが
「ユーザー体験」という概念はとても曖昧なものであり、SGMという事例で考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

SGMはゲームであるがゆえに「シナリオ」が存在しそのシナリオの中でユーザーがどういう体験をし、どういう心理になり、どういう行動をとるか
すべてMECEにというわけにはいかないでしょうがロジックツリー状にブレイクダウンして「シナリオ」を描くことでユーザーの「プレイサイクル」を想定することができます。

プレイサイクル上で次のプレイに進むためのアクションCVRがどれくらいかを計測し、アクションCVRを上げるサクセスドライバーは何かを考えて施策を打つという運用が主な運用なのではないでしょうか。

私はSGMのプロデュースの経験はないのですが、話に聞くところによるとSGMで儲かっている某社はこのプレイサイクルのアクションCVRを徹底的に定量化してユーザー心理を分析した上で施策を打っていると聞く。

UX=徹底した「プレイサイクルデザイン」

SGMではない他の分野のwebやアプリのUXも「ロジックツリー状のプレイサイクル」に置き換えられるのではないでしょうか。

自分の少ない経験および想像では、ゲーム以外のサービスでは「だいたいこんな感じなんじゃないか?」という程度のざっくりとしたプレイサイクルしか描き切れていないのではないのが現実だと感じています。

もちろんプレイサイクル内にKPIをいくつか置いてモニタリングするということはあるでしょうが能動的なアクション(機能利用や投稿など)、受動的なアクション(閲覧など)について想定させるユーザー心理を細かく辿り切れていないのではないでしょうか。SGMでは「シナリオが可視化されやすいゲームである」からできていることでゲーム以外のサービスではシナリオが可視化しにくく、手が回っているところが少ないのではないかなと。

プロデューサーがUX担当を兼ねて(普通そうじゃないのかな)プロデューサーは誰よりも自社サービスを使いこなして、自分で想定されるプレイサイクルをデザインをして仮説を立て、一定数のユーザーのテストマーケティングをしてPDCAを回していくのが成功確度を上げるサイクルになるのではないかと。

UIはこのUXを起点として「どういうデザインであればユーザーのアクティビティが最大化されるか」を念頭に設計するもので、ボタンを置く位置とか、背景色とかに「なぜこうしたのか?」という理由が必要になります。細かいですがフォントとか幅とかも。ある程度感性的にならざるを得ない面もあるでしょうが。

プレイサイクルの切り札としてのゲーミフィケーション

UXという曖昧な概念から、サイトで体験できることやユーザーの心理を
ロジックツリー状にプレイサイクルにブレイクダウンし、プレイサイクルの要所要所でKPIとなるアクションの増加を狙って通常のプレイサイクルにアドオンでゲーム性があるキャンペーンなどを実施して、ユーザーのアクティビティを上げてリピート率やサイト滞在時間を上げる。

というのがゲーミフィケーションという施策の価値が最大化する流れでありゲーミフィケーションというのはワンショットで打っても効率は良くなくあくまでも「UX(プレイサイクル)のストーリーの流れの中での切り札としての施策 」との位置付けで考えると良いのではないかと。

事例紹介は本稿では割愛しますが、特にサービスを使い始める前や始めた直後のプレイサイクルの初期フェーズでのゲーミフィケーションの活用が多く、立ち上げのエントリーストラテジーの選択肢として有用ではないかと。難易度の高いところでは休眠ユーザーのアクティビティを高めるための施策としてなど。

ご参考までに図解。めっちゃ簡単ですが。

ゲーミフィケーションとは「行動(プレイサイクル)をデザインすること」

「デザインする」というのも曖昧な概念ですが、一つ例にとってみると、「変化させる」ということもでき、ゲーミフィケーションとは「行動を変化させる仕掛け」と呼ぶこともできそうです。

「行動の変化」のフェーズとしては(数字は『ユーザーの行動ステータス』的な意味合い)

1.「0⇒1過程」=「マイナス、あるいはゼロ」⇒「行動する、好きになる」
2.「1⇒2過程」=「デッドユーザー/月に0回訪問」⇒「アクティブユーザー/月に1回は訪問」
3.「5⇒10過程」=「アクティブユーザー/月に5回投稿」⇒「アクティブユーザー/月に10回投稿」

1.のフェーズでは時に「マイナスの感情を抱き、『やりたくない』と思っていることを、何らかの施策でやらせる」ということが魅力的なゲーミフィケーション施策でできたり、2や3では「ユーザー参加型のワクワク感のあるキャンペーン」のようなゲーミフィケーションで、サイトのアクティブ率を上げにいくなどの使い方が想定されます。

具体的な事例集は今回は省きますが、わりと身近なところにゲーミフィケーションはたくさん転がっておりこのワードがどこまでバズワードとして認知が広まるかはわかりかねますが、柔軟な発想で捉えて理解を深め、自分が携わるプロジェクトなどに応用していきたいものですね。



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