今回は珍しく社会派の記事。から(強引に)最後はスタートアップと結びつけてみました。
友人のイケダハヤトさんが最近刊行された「スペンドシフト」の著者と対談するらしいということを知り
私は滅多に本を買わないのですが、本を買って読んでみました。
米国の本ということもあり
「 リーマンショック前後から、消費者はより賢く消費するようになった」
「今までの過剰で不必要な浪費主義から堅実で必要性のある消費のみにシフトしてきている」
という米国のトレンドを反映したものがメインメッセージでした。
このメインメッセージを全米の各地域の9つの章の事例から様々な角度で述べています。
デトロイトのカフェによる地域コミュニティ創造
フォードのソーシャルメディア活用
ETSYやHuluの台頭
などが私には印象に残りました。
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■事例①:地域コミュニティの創造による「居場所の提供」
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印象に残ったのは衰退激しいデトロイトでの話。
自動車産業の凋落とともに街の衰退も激しいのですが
その中でもデトロイトという地域に軸足を置いてデトロイトを復興させようという
地域コミュニティの話には胸を打たれるものがありました。
(私がアメリカ人ならNYに真っ先に飛んじゃいますからね。。。)
デトロイトで「コミュニティのあるカフェ」の事例があり
人は珈琲よりもコミュニケーションを求めてそのカフェに集まるようになり
そのカフェは人気となった、とか。
(どの街にも「常連が多くタムろしてるBARとかりますが、そのもっとオープン版と想像)
このカフェが提供したのは「珈琲」ではなく「人々の居場所」だったといえるでしょう。
「地域の人々の居場所=コミュニティ創り」に徹したから成功したのだといえます。
カフェって今ではとても多いですが
「何となくカッコいいからやってみました」風のカフェが多く
雰囲気もご飯も中途半端なものがやたら多い印象があります。
このデトロイトのオーナーが価値軸を「珈琲ではなく人々の居場所創り」と明確に定義したかは知りませんが
結果的に価値軸が明確であり本質を捉えておりエッジが効いて流行ったと感じます。
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■事例②:フォードのソーシャルメディア活用による「真の顧客との対話」
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「100人にローンチ前の車を半年試乗してもらい、ソーシャルメディアで意見をいってもらう」
というキャンペーンをフォードは展開して成功したようです。
ソーシャルメディアは企業にとってはコントロールしずらい厄介なもので
批判なども出かねないものですが
そのリスクを取って展開したキャンペーンは
バズや新車の予約数や問い合わせ数などのKPI指標で見ても
大成功に終わったようです。
旧来からある「Consumer is Boss」という言葉ですが
ソーシャルメディアがインフラとなる現代ほどConsumerの声を聞き取れる環境は未だかつてなく
大きなリスクがあったとはいえ「Consumer is Boss」に徹しようとした姿勢が伺えます。
私も今までいろいろと事業に絡んできていて
ぶっちゃけ「顧客の声を真摯に聞く」というのはめんどくさくて
話半分に聞き流すことも多いのですが
改めて「顧客の声を真摯に聞こうと努力する」ことが大切であると学びました。
しっかりと顧客と対話ができて顧客に良い印象を与えたり
「製品を買う意味付け」ができる企業が業績を伸ばすでしょう。
CM見てても何を伝えたいかわからないCMだらけですからね。
日本でCM打っているようなメーカーに対して差別化するのは容易かもしれません。
それに限らず話を聞くってことは大事ですね。
相手にもよるのですが、長い話やわけのわからない話を
真面目に僕は聞くことができないのですが
「話を聞ける」「話を理解した上でコミュニケーションを展開できる」って
すごくスキルの高いことなんだなと改めて感じました。
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■事例③:ETSYやHuluの台頭による「本質的な価値提供」
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ETSYはハンドメイドのマーケットプレイス。
作り手の顔が見えて作り手のプロダクトへの想いが
買い手とのコミュニケーションによって伝えることができる。
Huluは最近日本語版がオープンしましたが
TV番組のアーカイブを月額いくらかで見放題というモデル。
ETSYは代理店などの仲介業者や小売店(でもETSYは小売店か)を不要として
作り手がダイレクトに買い手にモノを届けることで
コスト的に安く済むし、ダイレクトコミュニケーションで
モノに関する「ストーリー」が伝わりやすくなり
お互いの満足感が高まる。
Huluは規制既得産業であるTV局のコンテンツから
時間という制約を取り払ってコンテンツを提供することで
多くのユーザーにとってメリットを提供する。
「中間業者によるコストカットとストーリーの伝わりやすさ」
「時間制約をなくすことでより多くのユーザーにコンテンツを届ける」
従来の無駄を省いたところにビジネスチャンスがあり
これらの本質的な価値を提供しているため
多くのユーザーに受け容れられているのだと思います。
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■スタートアップは「本質的な価値」や「価値軸」を意識せよ
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スタートアップの使命はいわずもがな
「現存しないサービスを生み出し、どのサービスも提供できていない価値」を提供することである。
スタートアップには今一度このようなことを考えてみて欲しい。
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①:「既存のビジネスフレームを壊すようなイノベーティブで本質的な価値」
具体的にどのサービスがどういう風に困るか、まで落とし込めるとgood。
例:HuluによってTV局の視聴率が落ちて広告費が下がって困るかもね、とか。
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②:「似たようなサービスと明確な差別化となる価値軸」
「スピード」「デザイン」という要素で勝てる場合もあるのですが
「明確な差別化となる価値軸」を置けるサービスは強いと思います。
例:Snapeeは「写真アプリ」という競合の多い市場で「プリクラ」という明確な差別化を図り成功した。
まだ思考が固まっていないので記事に出来ないのですが
スタートアップの多くが「中途半端だな」という印象があるのは
この2つを満たしていないことに加えて
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③:本当にそのサービス使われるの?リアリティ薄いんですけど
ということが最大の違和感となるポイントだと思います。
前回の記事でも「毎日使われるヘビーユーズ感」「使うにあたり高い必要性がある」
このどちらかを満たさないと厳しいと思っています。
メジャーなサービスはだいたいこのどちらかにカテゴライズされます。
■毎日使われるヘビーユーズ感
・SNS:Facebook/twitter/mixi/instagram
・チャット:Skype
・Blog:Ameba(閲覧者が多い)
・検索:Google
・ポータル:Yahoo
・ゲーム:GREE/DeNA
■使うにあたり高い必要性がある
・EC:Amazon/楽天/ZOZO TOWN(買うとき)
・クーポン:Groupon系、Hot Paper(安く何か買いたいとき)
・レストラン:食べログ(外食するとき)
・レシピ:クックパッド(料理作るとき)
・価格比較:価格コム(家電をより安く買いたいとき)
①②を満たした上で③を満たさないと
既存にあるものと差別化できて且つ「本当に使われる」サービスにならず
途中で頓挫する可能性が高いと思われます。
①②を満たして③を狙えるマーケット選定もしくはマーケットメイクが肝になると思います。
若干、最後の方は逸れてしまいましたが
スペンドシフトから読み取ったことは
過剰で中身のない拡大路線は通用しなくなり
本質的な価値を提供するサービスに対して
よりユーザーは注目していくようになるだろう。
ということを再認識できました。