最近、BLOGOSに寄稿し続けることの是非が盛り上がっていますね。
私もBLOGOSに寄稿(転載)している身として、他人事ではありません。Umeki Salonでこの話題で少し盛り上がり、「UmekiもBLOGOSへの転載を辞めた方がいいんじゃないか?」という話も出ました。Umeki SalonがThe Startup編集部的な側面があることを再確認し、会員の方々からこういったご意見をいただき、大変感謝しております。まずはBLOGOS寄稿の是非に関して、多角的に分析します。
ちなみにBLOGOSへの転載に関しては、下記の記事でも以前コメントしていますのでご参考までに。
コンテンツ・アグリゲーションは次代の金脈と成り得るか?
1:ソーシャルと検索経由のトラフィック
まずは単純なトラフィックの話からです。現代のメディアへのトラフィックはRSSやブックマークよりもソーシャルや検索での流入が大きいのが基本でしょう。
ソーシャルにおいては、自社メディアでバズらなかった記事がBLOGOS上でバズることがあり、これを「どちらかでバズったので、バズらなかったよりはマシ」とするか、「BLOGOSに数字を取られ、自社メディアで取れたであろう数字を取り逃がした」という考え方をするか。私は案外保守的なので、前者の見方をしがちですが、自社メディアとBLOGOG両方でバズった時は後者の見方をすることもあります。
検索流入においては、検索した時に自社メディアではなくBLOGOSに転載した記事が上位表示されてしまい、検索流入を取り逃がしていることも多々あります。重複コンテンツの検索に関して、SEOを手掛けるヴォラーレ株式会社の高橋飛翔代表取締役によると
重複コンテンツの存在自体はGoogleにとって悪いことでもなんでもありません。でも多数の記事をBLOGOSなどに全文掲載されてるなら、その分得られていたはずの検索トラフィックを自社ドメインが強い媒体側(BLOGOS)に吸収される、ということで検索トラフィックを失い、媒体から記事が削除されれば媒体側から検索トラフィックが自分のブログに帰ってくる、ということです。結局の所、BLOGOSでアクセス稼ぐか自分の記事でアクセス稼ぐかどちらがいいか、という選択を迫られるという事ですね。(高橋氏)
というコメントをいただいた。自社メディアを強くしたいのであれば、SEOの観点ではBLOGOS転載は推奨できないとのことだ。
2:転載の是非は、ブロガーのフェーズに左右される
忘れてはならないのは、ブロガーのフェーズによってBLOGOSへ転載するか否かの判断が変わるということだ。全くの無名ブロガーであればBLOGOSへ転載し、そこで認知を上げることで、自社メディアの認知も徐々に上がっていく。しかし、けっこう有名な大御所ブロガーの場合は自社メディアで十分トラフィックを稼げるし、むしろ上記の観点ではSEOでBLOGOSに自社へのトラフィックを喰われてしまっている。
だが、イケダハヤトさんは後述するマネタイズの観点から、むしろ全文転載を歓迎していたりもする。(広告に依存しないから、としている)
結局は転載の是非は、ブログメディアをキャッシュマシーンとして見た時に有利に働くか不利に働くかというのが論点であり、ただ単に知名度を上げたいだけであれば、面を多くして露出を増やす戦略の方が妥当性があるといえます。ゆえに、マネタイズを無視すれば転載は歓迎しても良いのかもしれません。
3:各種ブログメディアマネタイズ手法との相性
ここが本稿の肝ですね。想定されるブログメディアのマネタイズ手法および、検索とBLOGOSとの相性です。
BLOGOSは認知を上げるには適していますから、記事タイアップ広告やサロンとはそれなりに相性が良いと考えます。一方で、検索と比例関係にあるマネタイズ手法であるAdsenseや純広、Amazonアフィリエイトとは相性が悪いといえるでしょう。
The Startupの内情としては検索流入が弱いです。その要因はBLOGOSに持っていかれているというよりかは、そもそも弱い気がしますし、PVを重視するメディア運営をしていないので、BLOGOSに転載し続けても機会損失は少ないかと思います。今までの方針で運営すれば。今後はどうなるかわかりません。
しかし、検索流入狙いの記事が全く検索流入で数字が稼げない時はBLOGOSにやられたと思う時はあります。中長期的なブランディングを考えると、記事タイアップやサロンでの短期的な収益寄与よりも、検索流入 を重視していくべきかなとは思います。
Yahoo!とスタートアップにも同じことが言えるだろう
BLOGOSと個人ブロガーの関係は、プラットフォームとコンテンツ・プロバイダー(CP)の関係であり、mobageやGREEとSAP、楽天と出店EC、AppleやGoogleとアプリデベロッパーなどと同じ関係であり、基本的にこの種のビジネスはプラットフォーム側が覇権を握る構造で、一部のCPがプラットフォーム上で勝つというケースが多いかと思われます。
よってCP側としてはプラットフォームに対してどのようなスタンスで臨むのかを明確にしておかないと、プラットフォームに参加したことで不利益を被ることもあります。楽天の場合だと、出店料や広告掲載費を取られ、その分を楽天モールではなくアドワーズに突っ込んでいた方が利益率が高かった。というケースなどがあり得るでしょう。
この種の取り組みとして、最近は爆速Yahoo!がスタートアップとの連携に積極的です。プラットフォームとして強力なYahoo!にスタートアップがコンテンツ提供をするという構図ですが、組み方を間違えるとYahoo!にトラフィックを持っていかれて、気がつけばYahoo!依存のサイトになっていた。というシナリオは十分にあり得ます。Yahoo!に買収されるシナリオのサービスであればそれで良いと思いますが、IPOを目指すサービスの場合はYahoo!との組み方はくれぐれも注意した方が良いのではないかと思います。
いつの時代もプラットフォームとCPの関係は悩ましいものがありますね。こういう時は早めの経営判断が吉と出る場合の方が多く、ぐずぐずしていると良い結果にならないケースが多い気がします。BLOGOSへの転載を続けるか、悩みどころですね。
ちなみにBLOGOSを立ち上げられた田端さんはlivedoorニュース時代にlivedoor事件の記事も中立に扱うなど、中立なメディア運営を心掛けていらっしゃったと何かの記事で拝見しました。本稿はBLOGOSにとって不利になるかの判断は難しいところですが、是非中立なメディア精神に乗っ取って転載して頂きたいところですね。ちなみになぜかスマホ表示では記事の最後の「この記事を著者のブログで読む」というリンクが貼られてないので、この辺はしっかり貼っていただきたいですね。
BLOGOSもちゃんと広告まで転載して欲しいですね!ネット業界への転職に興味がある方はブライツ!
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