スタートアップ・ビギナーの諸君:先ず、『女帝』奥田浩美を攻略せよ

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「女帝」。

日本のスタートアップシーンに関わりのある人であれば「女帝」と呼ばれる人物の存在を耳にしたことがある人は少なくないであろう。それどころかスタートアップシーンの中心にいたり、長らくその業界にいる者にとってはお馴染みの存在といえるかもしれない。

特に最近、スタートアップ界隈に足を踏み入れた方にはこう助言しておくと良いかもしれない。

先ず、奥田女帝を攻略せよ 。

スタートアップを始めるにあたって、彼女を味方につけることができれば、成功確率は上がるであろう。株式会社ウィズグループ・奥田浩美氏に関する詳しい記事は、彼女のファンを自認するTechWave本田氏の記事に譲るとして、本稿では彼女が日本のスタートアップ業界で女帝といわれる理由について、そしてその攻略法についてご紹介する。

奥田浩美氏がスタートアップ業界と関わり出した経緯

まずは上述のTechWaveの記事をご覧頂いてから本稿を読み進めて頂きたいが、彼女の本職はIT関連の企業の大型カンファレンスのコーディネーターである。カンファレンス事業を1991年から手掛けてきたが、クライアントに外資が多かったこともあり、リーマンショック後は仕事が激減。8ヶ月もの間、仕事が凍結するという自体に見舞われた。

仕事が凍結している間、何もしないよりは、あまり売上にならなくても誰かをサポートできないかと思い始めたのが、スタートアップ界隈でのコミュニティ作りやイベント運営の協力だった。最初は無報酬でカンファレンスに近しい仕事を請け負うことはあり得ないと考えていたが、9割の時間を稼ぐ仕事に使い、残り1割を稼ぐ仕事で得たノウハウを元に無料で社会に還元することに意義があるのではないかと感じ、スタートアップ界隈のイベント協力をしていくようになった。

日本においてスタートアップという概念が流行する夜明け前である2010年1月からはStartupDigestという国内のスタートアップイベントをキュレーションする活動を開始。開始当時はほんとど関連イベントがなかったが、2012年9月現在では載せきれないほどイベントが増えたという。他にもTech CrunchのイベントコーディネートやIVSのサポート、Mash up Awardを仕掛けるなど、スタートアップ関連の主要イベントの多くに女帝は携わっているといえる。最初は無償で始めたスタートアップコミュニティの支援だったが、活性化してからは実際の仕事に繋がるものも増えていったという。

スタートアップ情報が自然に集まる女帝のポジショニング

彼女がかなり多くのスタートアップ情報を持つ所以は、イベントコーディネーターという職種柄、中間的な立ち位置で様々なプレイヤーと関わる機会が少なくないからであろう。起業前の起業家予備軍や、テック系メディア、投資家と豊富な繋がりを持つ。関わるイベントの数自体も多い。また、海外の起業家を招いてのイベントをコーディネートすることも多く、登壇者側とコミュニケーションを取る機会が多いため、イベント登壇者側との繋がりが多い。

こうしたテック業界以外でも、広瀬香美氏のIT戦略のプロデュースを手掛けたり、勝間和代氏の勝間塾でもIT関連の講義を受け持つなど、幅広い繋がりを有する。彼女たちと相性の良いネットサービスを繋げることも今まではあったようだ。

このような業界内外の繋がりを活かして、これからスタートアップするプレイヤーを盛り上げるエコシステムを構築し続けていきたいと彼女は語る。この辺に関しては、ご本人のブログ記事:スタートアップコミュニティの行方に彼女の想いは描かれているので、一読をお勧めする。尚、彼女は今後注目されるNFCのNFC LABのイベントアドバイザーも務めているようだ。

女帝攻略法:イベントの懇親会でアピールせよ

彼女はなぜスタートアップ界隈の活性化に情熱を注ぐのか?10年後の日本社会をどうにかしたいと思っているからだという。彼女には中学生になった娘がおり、娘が社会に出る頃に、日本はまだまだイケるぜという空気を感じてもらえるように、今からその空気を作っていきたいという。まずは自分の周りからそういう活動をし、エコシステムを作っていっているという。投資家ではないので出資はしないが、20〜30代の起業家を応援したいという気持ちを持っているようだ。

とはいえ彼女もいつでも誰でもウェルカムというわけではない。その知名度故か、明確な用件がない面会依頼が後を絶たないらしいが、その全てに対応しているほど彼女に時間はない。狙い目なのは彼女がいるイベントに参加し、懇親会時にアプローチを図ることだ。彼女はイベントのコーディネートが本業であるため、イベントの懇親会などでサービスの紹介などでアプローチを受ける分には歓迎だという。彼女はイベントで人を効果的に繋げることを得意としており、イベントで有益な出会いをもたらしてくれる可能性もある。

彼女と交流を深めていくことができれば彼女から主にソーシャルメディアでの愛のあるサービスのプロモーション支援を受けることもできるであろう。ただし、それ目的で彼女に近寄ってはならない。それはあくまでも人間関係を築いていった先にある副産物である。

明確なビジョンを本気で達成したいと思う人に機会がある

TechWaveの記事に「他人のチャンスが見える才能がある」との紹介もある彼女だが、どういう人がチャンスを掴めるのか?と尋ねてみた。

「何をいつまでにどういう規模でやりたいか、本気で思っていること」「そのことを表現して発信し続けること」「とにかく本気であること」が大事であると答えてくれた。特に興味深かったのは、一番身近な人はその人がチャンスを掴めるように手伝ってくれるが、その人から遠い人でも、時間をかけて本気度が伝わっていき、いつのまにか応援してくれる人が出てくるという話。これには著者の私も経験上、納得した。

あとは「居心地の悪いところに身を置き続けることが成長に繋がる」「イベントには出続けない。効率的なイベントの活用法を考えた方が良い」などの女帝語録も伺うことができた。

叩いても叩いても這い上がる起業家を女帝は好むようである。

今後も本誌では彼女が奏でるスタートアップ・エコシステムに注目していきたい。*実は奥田浩美氏は本誌、The Startup立ち上げ構想時に「ブログ名にTheを付けるか否か」に立ち会い、本誌立ち上げ当初のプロモーションでも大変お世話になったという経緯がある。



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