四角大輔氏にみる強いクリエイティブ

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自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のことが最近売れているらしい四角大輔氏。(以下四角氏)トレンドであるノマド的な概念の提唱者の一角として市場からは捉えられていそうですが、僕はむしろ2010年に発売されている、やらなくてもいい、できなくてもいい。こちらの本に感銘を受けました。

実はどちらの本も仰っていることは似ていると思ったのですが(ベースが一緒、という方が正しいかもしれません)前者が四角氏が体現しているノマドワーク的な働き方のヒントになるような切り口であり、後者は音楽プロデューサーとしての切り口になっています。

僕の最近の個人テーマの一つに「強いクリエイティブ」というものがあります。四角氏の音楽プロデューサーとしての経験談の中に、クリエイティビティに関するヒントが多くあったので、それを僕なりに解釈してご紹介。僕が携わる仕事の中で、強いクリエイティビティが求められるものには、記事執筆、メディア運営、プロモーション企画などがあり、その辺とのアナロジーで考えてみました。特に分かりやすいのは記事ですね。

強いクリエイティブの起点は個人的なテーマに基づく

まずは音楽プロデューサーとしての観点で僕に響いたフレーズをいくつかご紹介。

①:時代を超えて残る曲のほとんどが非常に個人的なテーマや気持ちをもとに作られている。100万人に届くような歌は誰か1人のために作られた歌であることが多い。

②:アーティストは、すべてをさらけ出すことに対して勇気があるだけでなくまったく迷いがない。まっすぐに想いを伝えられる。伝えたいという想いが強い。

③:そういう楽曲は、衝動的に突き動かされてサクッと作ったものが圧倒的に多い。曲の構造はシンプルである。

④:よってアーティストとリスナーの関係が1on1になるため、より深いところへ届きやすい(これはUmekiの仮説)

⑤:人の心に残るものは高いエネルギーを有している。

この一連の流れは僕にとって強いクリエイティブを生み出す有用なクリエイティブメモになります。この流れに関して、僕と馴染みのある「記事を書くこと」「音楽」とのアナロジーで詳しく追ってみたいと思います。

コピーやコモディティではなくオリジナルへのこだわり

上記のような流れで創られている強いクリエイティブは模倣困難性が高いといえます。メディア運営という観点において、僕はニュースサイトが扱うコモディティ的な記事を書かないという方針を取っています。仮にコモディティ的なネタであっても、必ず独自の考察による付加価値を付け、ニュースサイトとは差別化を図り、オリジナリティにはこだわっているつもりです。よって「あれはThe Startupでしか書けない記事」と言われるのが、ある種最高の褒め言葉です。

オリジナルにこだわる僕の原体験には音楽の経験がありそれがとても役立っています。ボーカルをやっていましたが、当初は「お前はカラオケだな」と先輩によく言われたものです。最初は理解できませんでしたが、カラオケは音を追っているだけであり、ステージに立つには自分なりに曲を解釈してその世界観を伝える必要がありました。「音を出す」と「世界観を伝える」という違いは大きいです。

よーく見ていくと、音を出しているだけと世界観を伝えようとしているのでは、表現に大きな差が見られることがわかりました。前者はとにかく音を気にし、外さないことに注力するのに対し、後者は世界観を伝えることを重視するため、最悪、音を外しても表現でカバーできれば良いというアプローチです。

なので、「事実を伝える」よりも「伝えたいことがあり、その世界観が相手に一番深く伝わるためにどう表現すれば良いか」を考えます。強いクリエイティブの前提にはこうした強いオリジナリティがあると思います。

オリジナリティと個別化の相関関係

四角氏の書で一番衝撃を受けたのが「100万人に届くような歌は誰か1人のために作られた歌であることが多い」ということでした。マス受けを狙えば良いというものではないということです。

記事を書く際に「この記事は誰の心を動かすことができるだろうか」と考えることがあります。それは自分の知り合いかもしれないし、未だ知り合いではないけれど自分が興味を持っている人の場合もある。僕の場合はアイロニカルな分析記事になることが結果的には多いですが、ごく稀に「愛がある」とか「ヒューマニティ」があると言われるのは、おそらくこの視点を持っているからです。これは公開される手紙を描く感覚に近しいかもしれません。無難にまとめず、踏み込むのがポイントで、普通の人は踏み込まないような内容(ペナルティエリア内とこれを僕は呼びます)へのこだわりが強いクリエイティブを生み出すポイントであると思います。

アップルの記事を書いてPVを取ることよりも、誰か一人でも僕の記事を読んで動かされる人がいること。PVよりもどれだけ深く刺さり、相手の記憶に残るものを書けるか、というのが僕の創作活動の核です。PVを取れることもそれはそれでビジネス的には良いのですが、「The Startupで印象に残った記事はなんですか?」と問いかけると、人によって記事は異なるものの、「ああいう記事を書いていたよね」と何本か思い出せるようなメディア。そういう世界観を目指したいです。

なのでファクト・インパクトを追い求めず、あくまでクリエイティブ・インパクトを追求します。個別化による1on1感の演出により、この罠に引っ掛かって、知り合いじゃなかったけれど記事をきっかけに仲良くなった人は過去何人もできています。そういう記事はきっと相手の記憶に残すこともできているでしょう。

表現の制約を如何に解き放てるか

表現のベースとなるアプローチは上記のような感じですが、実際にアウトプットとして落とし込む場合には、表現をさらけ出すことに迷いが生じたり、勇気を必要としたりします。他人の顔色を伺う、これはウケるのか?と思う。そういう思考が介在してしまうと、本来自分が伝えたいことから、歪みが生じることもあるでしょう。

アウトプットの手前でマーケットイン志向になるのではなく、「俺はこれを伝えたいんだ馬鹿野郎!」くらいの方が結局は相手の心に刺さると思うのです。もちろんマーケットリサーチも必要ですが、それは表現のベースを創る段階の話であって、最終段階ではない。記事を公開する時に公開ボタンを押すのを悩むというのは、「ウケるのか?」という心理が働くからだと思います。受け手を想像することが大事ですが、それ以上に伝えたいという気持ちが強いことが大事かと思います。

具体的に誰の心を動かしたいかイメージがついている時はいいですが、そうじゃなくても、強いメッセージ性があれば誰かには届くんだと思う。

強いクリエイティブチェックリスト

独自に一般化して作ってみた。

①:何を伝えたいか、それは本当に伝えたいことか
②:誰に伝えたいか、具体的に名前を挙げられるか
③:周囲の顔色を伺う気持ちよりも、伝えたい気持ちが勝っているか

こんなところでしょうか。今後はこれを自分に言い聞かせて行きたいと思います。そんなことを四角大輔氏の本から学びましたー。

*ちなみに本日9/13は私の28歳の誕生日です。ファンのみなさま?からの熱いメッセージ、お待ちしておりますw



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