2014年に億単位調達をした100社の2018年時点での検証

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2018.7.18追記
2015年度版を下記に制作しました。

2015年に億単位調達した127社の2018年時点での検証

久々の検証記事です。2014年に億単位調達をした企業がウメキワークスの過去データベースを見ると100社あったので、そこから2018年7月時点での結果と結果が出ていない企業に関しては「予想・推測」をします。

対象企業:2014年に億単位調達をした企業100社(データ調査の性質上、多少の漏れがあることはご了承ください)

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IPO済み案件:13社

約4年経った時点でのIPO率は13%と、悪くない数字に思えます。下記は時価総額順に並べました。(2018.7.13時点)

()内は上場年月。

メルカリ(2018/6):5,968億
ユーザベース(2016/10):1,162億
マネーフォワード(2017/9):1,073億
ラクスル(2018/5):784億
アカツキ(2016/3):551億
グノシー(2015/4):400億
uuum(2017/8):304億
gumi(2014/12):205億
Zuu(2018/6):141億
ロコンド(2017/3):118億
うるる(2017/3):69億
ログリー(2018/6):65億
イード(2015/3):45億

gumiとZUUがあまり差がないのですね…。時価総額上位の銘柄は、2014年時点でも評判が良かった気がします。

M&A済み案件:13件

続いて、予想も含めた金額順です。()内は買収発表年月。
バリュエーションは企業価値全体を想定で、()内は取得比率。
例:カブクは15億のバリュエーションで90%を13.5億で取得。

フリル(2016/9):予想80億
Loco Partners(2017/2):予想60億(過半数)
Quipper(2015/7):実績47.7億
ペロリ(2014/10):実績35億
VASILY(2017/10):予想20億
カオナビ(2017/3):予想20億(持分適用)
カブク(2017/8):実績15億(90%)
Webpay(2015/2):予想13億
セカイエ(2014/12):実績13億
サムライト(2016/4):実績10億
マナボ(2018/6):予想10億
CuRazy(2016/9):予想7億
アオイゼミ(2017/12):予想6億

価格非公開案件が多く、予想の方が多いので予想が外れていると恥ずかしいですが、M&Aで20億円以上というのはやはりハードルが高そうです。

IPOかM&AいずれかでEXITとなった企業数は26社で26%となりました。4年も経つと、1/4は明確な結果が出るということですね。

倒産済み?:5件

検索してもHPが出てこないとか、人づてに清算したという話を聞いた企業群です。

クーロン
okPanda
Snapeee
10sec
tab

1億以上調達企業の倒産確率は4年で5%!リアルですね。

IPO予想企業:17社

ここからは本誌独自の予測となります。納得の案件も、「?」という案件もあることでしょう。

☆公募500億以上:3社
Sansan
スマートニュース
freee

☆公募100億以上:10社
KAIZEN Platform
ランサーズ
あきっぱ
FiNC
ココン
Karte
トレタ
anypark
BASE
ワンダープラネット

☆公募100億以下:4社
スマイルワークス
ユビレジ
XICA
Viibar

並べた順には特に意味はありません。上位3社はいつなのかと、公募いくらなのかという段階で、IPOは確実といえます。

悩んだのが公募100億以下の案件で、スマイルワークスやViibarといったGCP案件は、「伝家の宝刀小粒IPO」で突破してくると感じ、ここに置きました。

IPO路線と思われるが:8社

上記が比較的「IPOが手堅そう」と本誌で判断した銘柄に対し、この銘柄群は「IPO路線であったがすんなりは行かないかもしれない」ないしは「少し時間をかけてじっくりいきそうだ」という本誌での判断です。

トライフォート
ナイル
ごちクル
ビットフライヤー
A-SaaS
Paidy
Nagisa
Or:der

場合によっては、M&Aになる企業も出てくるかと思います。

M&A予想:11社

この企業群は単独でのIPOは難しいであろうが、どこかにM&Aされることで活きると判断した銘柄です。

リクロ:C2B2C
レピカ(アララ):AR
ストリートアカデミー:EdTech
ライフイズテック::EdTech
スタディプラス:EdTech
ツイキャス:動画
オーマイグラシーズ:EC
Creema:EC
トランスリミット:ゲーム
スペースマーケット:シェア
シナモン:写真→AIにピボット?

EdTechはIPOしてもさほど値が付いている事例がない。ゲームはPERが低くて利益が出ていても辛い。

予想保留:15社

この企業群は本誌にとって情報不足もあり、十分な判断ができず、保留としました。言い換えれば、リビングデッドの可能性も高い企業群です。

メディバン
リノべる
Drivemode
forkwell
IzumoBASE
インタラクティブソリューションズ
LOCUS
ietty
イベントレジスト
百戦錬磨
WHILL
リサーチアンドイノベーション
八面六臂
アイキューブドシステムズ
YOYO HOLDINGS

その企業の経営者によるアピールは立場的にポジショントークに感じざるを得ない場合もあるため、株主などもう少し客観的な立場で「この企業は全然リビングデッドではない!すごい伸びてるよ!」などの情報があれば、こっそりFB宛にメッセージいただけますと幸いです。

あくまでこれらの企業群は「判断保留」とさせていただきます。

回収不能予想:18社

上記の「判断保留」群とは異なり、評判や事業内容から推測するに、かなり厳しい状況にあると判断した企業群です。

GYAZO
unda
チケットストリート
PORT
キャッシュバック賃貸
Beatrobo
AdFlow
Tokyo Otaku Mode
あそびゅー
SUVACO
スマートエデュケーション
Filmarks
ワンオブゼム
papelook
Pathee
ウェルノート
イノーバ
Between

一瞬はメディアを賑わせたものの、IPO予想やM&A予想の企業ほどその後話題性もなく、倒産間際の企業もあるかと思います。2014年には億単位調達だったのが、数千万円の資本金に変わっている企業もあります(資本金5億以上の大企業適用を免れるための減資、であればポジティブですが、そうでもない気がします)

もちろん、この企業群の中にも全然元気な企業もあるでしょう。本誌が知らなかっただけであり、「回収不能」判定としているものの、M&Aの活路も見出しにくい、リビングデッドの状態である企業が含まれる比率が最も高い企業群がこちらです。

以上ですが、「2014年の億単位調達案件100社の4年後の傾向」をざっくりとまとめると。

・13社がIPO
・17社がIPO見込み(+αで8社の見込み)
・13社がM&A
・11社がM&A見込み

ここから、多少の変動はあるとしても25社程度のIPOは手堅いのではないでしょうか。

となると、億単位調達から25%程度のIPO、M&Aも20%程度は出るのではないかということことで、M&Aでリターンが出るのがその8割と仮定すると、100社に投資して40社は大小あれどもリターンを得られると予測します。

4年というと、ちょうどW杯のサイクルですね。

4年は、明暗を分けるには、ちょうど良いサイクルではないでしょうか。

1億以上調達:2014年上半期は47社、10億以上調達は5社。VC版リーグテーブル発表も(TheStartup:2014/7/5)



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